書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

読書記録

「ドレス」藤野可織著

藤野可織さんの「ドレス」は、不思議な小説です。 ドレス 作者: 藤野可織 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/11/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 短編集です。一つひとつのお話の出だしは、とても日常的な感じで始まります…

「女の機嫌の直し方」黒川伊保子著

今日は朝から、大雨ですね。ここまでダーッと降ってくれると、むしろ気持ちいいぐらい。雨は、公園の木々の埃をきれいさっぱり流し落とし、我が家のベランダの内側にまで降りこんで、手すりや床を洗いあげてくれています(^_^.)。でも、通勤、通学、外出され…

「笹の船で海をわたる」角田光代著

本日、二つ目の記事を書きます(^_^)。 今週から一気に夏のような暑さですね。うっかり月曜日は、先週からの流れで、普通に動きまわっていたら、夕方から体調を崩し、倒れました。具体的には、倦怠感とお腹下し。足元がスースーするあの嫌な感じ。この足元が…

「大惨事と情報隠蔽」ドミトリ・チェルノフ+ディディエ・ソネット著

「大惨事と情報隠蔽」を読みました。 大惨事と情報隠蔽: 原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで 作者: ドミトリチェルノフ,ディディエソネット,橘明美,坂田雪子 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2017/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件…

「自己評価メソッド」クリストフ・アンドレ著

今日は長文です。クリストフ・アンドレさんの「自己評価メソッド」の読書記録です。 自己評価メソッド―自分とうまくつきあうための心理学 作者: クリストフアンドレ,高野優 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2008/07/16 メディア: 単行本 購入: 3人 ク…

「我らがパラダイス」林真理子著

同年代(50代)主婦の間で、面白いと評判だったので、読んでみました。林真理子さんの「我らがパラダイス」。長編ですが一気読みできます。確かに面白い。 テーマは「介護」。でも、林真理子さんの手にかかると、「介護」のシビアさはリアルに、でも、決し…

「コリー二事件」フェルディナント・フォン・シーラッハ著

シーラッハは1964年生まれのドイツ人。ナチ党最高司令官バルドゥール・フォン・シーラッハの孫で、刑事弁護士兼作家です。 この小説「コリー二事件」はいわゆるミステリーではありますが、一風変わっています。 まず最初に、殺人が起こります。読者は、…

「隷属なき道」ルトガー・ブレグマン著

ルトガー・ブレグマン著の「隷属なき道」を読みました。副題に「AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日3時間労働」とあったので、面白そうだなと思って。 隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 作者: ルトガーブレグマン,野…

神様に好かれる人とは。

大好きな桜井識子さんが、ブログに、こんな事を書いておられて、なるほど!と思ったので、勝手ながら引用させて頂きます。 神様に歓迎される人とは、 「心が美しい人(完璧な人のことを言っているのではなく、人に優しくしようとか、正しく生きようとか、も…

風はろうそくの火を消すが、炎を燃え上がらせる

ナシーム・ニコラス・タレブ著の「反脆弱性」を読んでいます。読んでいます、というのは、まだ上巻しか読んでいないから。 反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛,千葉敏生 出版社/メーカー: ダイヤ…

「黙約」ドナ・タート著

久しぶりに読書記録を書きます。 今日は、大好きな作家さんの一人、ドナ・タートについて書きます。 彼女は、アメリカ・ミシシッピー州生まれの女性作家。1964年生まれ、という事で、ほぼほぼ私と同年代。20歳の時に書き始め28歳で完成した「シーク…

「ゲームの王国」小川哲さん

小川哲さんの「ゲームの王国」を読みました。とんでもなく面白い本でした。 一読すると、ポルポト前後のカンボジアの近代歴史を庶民の立場で書いたもの、という印象なのですが、よくよく読むと、この本、SFなのです。そう言われてみれば、歴史に合わない部分…

「わくわく感」が「人生うまくいく」に結びつく時

前回、「ワクワク感」を追い求めるだけでは、「人生うまくいく」とは限らないないんじゃないか?というような事を書きました。が、「ワクワク感」が「人生うまくいく」に結びつくケースもある、と思うので、今日はそれを書きます。 何に対して「ワクワク感」…

「駒姫」武内涼

最近、時代小説や歴史小説を読むようになりました。以前は全く面白さが分からなかったのですが、年のせいでしょうか、読みたいなあと思うのです。今回は、歴史小説「駒姫」を読んでみました。 基本的には、史実に沿った内容ですが、細部の味付けに作者の書き…

「日時計」シャーリイ・ジャクスン

私が、シャーリイ・ジャクスンの小説を初めて読んだのは、アメリカで、何の気なしに取った大学の教養講座で、でした。「The Lottery(くじ)」がその日の課題で、「The Lottery」は15分ほどで読み終えるような、とても短い小説でしたが、ラストシーンの衝…

青山文平さん2冊

ちょっと気に入ったので(上から目線)、青山文平さんの著書を続けて2冊読んでみました。「鬼はもとより」「つめをめとらば」。 前回の「遠縁の女」とあわせて3冊読んでみると、さすがに傾向というか、この著者の得意な筋書き、というのが分かってきました…

「フォークロアの鍵」川瀬七緒さん

川瀬七緒さんの「フォークロアの鍵」を読みました。認知症老人ばかり6人が入居するグループホームが舞台です。そこに、民族学の聞き取りを研究テーマにしている大学院生である主人公の女性が入り、老人達から過去の記憶を聞き出していきます。相手が認知症…

「人生を変えてくれたペンギン」トム・ミッチェル著

著者は作家ではありません。両親や親族は植民地生まれ植民地育ちで、著者の時代に英国に戻ってきた人です。本にはハッキリした記述はありませんが、かなり階級が上のお家柄のよう。野生動物が好きで、鳥の絵を描くのが趣味だとか。のどかなイギリス・コーン…

「サザビーズで朝食を」フィリップ・フック著

サザビーズ、、、クリスティーズと並ぶ、言わずと知れたオークション会社です。著者はこの2大オークション会社の両方で、競売人として、またディレクターとして活躍した人物です。この本には、美術界の全てが、その美とお金と狂気と人間味と滑稽さと伝統と…

最近の読書記録

今日は最近の読書日記を、まとまりなく、あれこれ書きます。読みづらかったらすみません<(_ _)>。 そもそも読書日記として書き始めたつもりだったこのブログ、何故か読書記録が全然書けず。本は沢山、途切れなく読んでいるのですが。。一冊読み終わると、そ…

中野信子さんの「努力不要論」

脳科学者である中野信子さんの著書「努力不要論」。サブタイトルが「努力したら負け」。昨今の「頑張らないほうが人生うまくいく」「無理しないでありのままで」の流れに、完全に乗っかっているが、タイトル詐欺に近いかもしれない。中身は「努力不要を脳科…

「氷結」上下巻 ベルナール・ミニエ著

著者はフランス人で、ミステリー作家。大抵の作品がベストセラーになっている。この小説「氷結」も、テレビドラマ化されるそうだ。 とはいえ、この作家の魅力は、筋書やトリックの面白さではないように思う。ミステリー慣れしている読者なら、最初から犯人な…

「キラーストレス 心と体をどう守るか」(NHK出版)

「キラーストレス 心と体をどう守るか」(NHK出版)を読んだ。過去読んだストレス関連の本の中で、これが一番分かりやすかったので、書き残しておこうと思う。 分かりやすかった一番のポイントは、記述が、著者の経験や持論ではなく、広く実験を行った結果を…

「裸の華」桜木紫乃

舞台上の怪我で引退を余技なくされた元ストリッパーの女性が、故郷札幌すすきのでダンスと酒の店を開く、というお話。元ストリッパーの女性の一人称で語られる、ストリップの世界の裏事情が興味深い。自分で店を開き、人を雇ってやりくりできるだけの才覚の…

「熊と踊れ」A・ルースルンド&S・トゥンベリ

スウェーデン人のミステリ作家、A・ルースルンド&S・トゥンベリ。過去の作品「制裁」も面白かったし、「3秒間の死角」は今まで読んだミステリーの中でも最高だと思ったものだが、新作「熊と踊れ」は、これはもう、過去の作品の何倍も面白い。怖いぐらい面…

「鬼才、五社英雄の生涯」春日太一著

(ネタバレあります) 鬼才 五社英雄の生涯 (文春新書) 作者:春日太一 文藝春秋 Amazon この本は、「鬼龍院花子の生涯」「極道の妻たち」などで有名な五社英雄監督の生涯を書いた本です。 私は、五社監督を、溢れんばかりの才気を武器に「俺は俺の撮りたい映…

「招かれた女」ボーヴォワール

お正月には何故か古典が読みたくなる。これはフランスの古典(多分)。 フランスの小説というのは割と性に合う。くどくど長々と心情を書き連ねているだけで、別段筋らしき筋もないところがいい。延々読んでいられる。楽しい。 これも、上下巻の分厚い長編に…

「橋を渡る」吉田修一さん

(ネタバレあります) つきつめて言えば、クローン人間がテーマになっている小説だと思う。カズオ・イシグロの「私を離さないで」と基本的には同じ事を書いているように感じた。けれど、吉田さんらしい味は確かにふんだんにあって、そこがこの小説の魅力なの…

「ヘミングウェイの妻」ポーラ・マクレイン

ヘミングウェイを偏愛しております。 彼は4回結婚していて、様々な記録が残っています。これはポーラ・マクレインさんと言う作家さんが、その記録を素に、最初の奥さんのハドリーさんの一人称語りという体裁で書いた小説です。ヘミングウェイは、4回目の結…

「おじさん仏教」小池龍之介さん

自分の間違いを言い訳や条件付き抜きで正味で認められる人は、いないのかもしれない。 「私は間違って見えるかもしれないけれど、それはこうこうこういう理由があって」とか、「確かに、○○の部分で言えば私は間違っていた(けれどそれ以外は間違っていない)…