書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

息子のこだわりについての私の対処法。

 今日は、息子の事を少し書きます。

 先日も触れましたが、なんとか全ての科目合格出来て、来年度も無事進級が決まりました。ほっ。

 でも、何の波もなく来れたかというとそうでもないので、その事を今日は書きます。

 期末試験が全て終わった後、息子が例によってピリピリし出しました。学年の半分が落ちる科目が2つあり、その科目は息子も自己採点でどうも落ちている感じがする、と。

 合否結果が出るまでに一週間ほどかかるので、出るまでの間、ずっとピリピリ。毎晩、私の部屋にやって来て、「落ちていたらどうしよう」「あんなに勉強したのにできなかった」「神様は僕を見放したのか」と、言ってもしょうがない事を、グズグズ延々言い続け、その一言一言に対して、私に返答させようとします。

息子「落ちていたらどうしよう」

私「大丈夫よ。受かってるよ」

息子「自己採点したけど、合格点に足りない」

私「うまく書けているところにプラス点くれてるかもしれないし、配点まで分からないよ」

息子「あんなに勉強したのにできなかった」

私「先生の問題が難し過ぎたから仕方ない。先生のくれた資料にも、テキストにも、一切書かれていない事ばかり問題に出てた。渡されたものを理解して丸暗記しても、解けるはずがない」

息子「落ちたらどうしよう」

私「大丈夫よ。配点には調整も入るし」

息子「神様は僕を見放したのか」

私「大丈夫よ。まだ落ちたと決まったわけじゃないし」

・・・・・・

 これを延々繰り返すわけです。息子本人は、私に不安をぶつけ続けている間は、不安感の苦しさから逃れる事ができるので(苦しさを私に押し付ける事で)、止めないのですね。いつもの事です。

 でも、今年は少し違いまして、15分ほどこれを続けたら、息子自身の力で、止める事ができました。自分で止めて、後ろ髪ひかれるようなそぶりを見せながらも、なんとか私の部屋から出ていく事が出来ました。

 試験結果が出るまで、毎晩、15分私にからみましたが、それ以上続ける事はなく、あっさりと自分の部屋に戻る事が出来ました。

 成長したなと思いました。

 

 息子の中では、母親にからむのは良くないという事が、とても強く認識できているようです。何故良くないか、①お母さんが疲れて病気になる、最悪死んでしまうから(こういう極端な思考が息子の特徴) ②良くない事をしたら、神様に見放されるから

 この二点がしっかり認識できたおかげで、私にからみたい欲を、抑える事が出来るようになったようです。

 ①については、たまたまですが、小学校の同級生のお母さんが、癌になられたと聞いた事も影響しているようです。その同級生も明らかに発達障害で、大人しい息子と違い、攻撃性の強いタイプでした。お母さんにもさぞかし苦労をおかけしたのだろうという事は、子供である息子にも、十分察せられたわけです。そのお母さんがご不幸にも癌になられてしまった、という事は、母親に苦労させると癌になってしまうから、苦労させてはいけない、という風に、息子の脳内で、理屈が繋がったようです。〇〇君のお母さんは癌になっちゃったからね、僕はお母さんにもう絡まないよ、とよく言うようになりました。

 

 私に絡むというのは、息子のこだわりの一つです。発達障害者は、大なり小なりこだわりを持ち、こだわりの対象は移り変わりますが、「こだわりを持つ」という事はなくなりません。こだわりの対象が、人に迷惑をかけないものであれば静観していればよいのですが、迷惑をかけるものであると、止めてもらいたいわけです。

 でも、迷惑だから止めるべき、という理屈は、絶対に発達障害者には通じません。

 そのこだわりをやめてもらう為には、何よりもまず、こちらが受け入れる、我慢する、耐える、という事が必須になります。理屈を言い聞かせて叱ったりすると、それがこだわりを余計強固なものにしてしまい、放っておけば、例えば3年で他の対象に移っていく筈のところを、永遠にこだわり続ける事態になってしまったりします。

 なので、大事なのは、どれだけ迷惑であろうと叱らず受け入れる。そうしておいて、ただしそれが迷惑な事である、良くない事である、という理屈も、同時進行で伝え続ける(叱るのでも止めされる目的でもなく、ただ淡々と事実を伝える)。ただ淡々と事実を伝えるだけでも、敏感になっている子供には受け入れがたく、反発したりキレたりしますので、要注意です。私は、タイミングを見計らって、子供が穏やかで満ち足りた気持ちでいる時に、何気なく淡々と伝えるよう、心がけていました。

 

 私は、こんな風に伝えていました。

「あなたは発達障害だから、お母さんに絡んでしまうのは仕方ないよ。あなたが悪いんじゃない。障害のせいだからね。でも、あまり長時間あなたに絡まれると、お母さんは疲れてしまう時があるから、それだけはごめんね」みたいな感じです。

 そこにたまたま、同級生の母親が癌になられた、という情報が入り、息子の頭の中で、母親に絡む⇒母親が癌になる、という風に繋がったのだと思います。これは、私が予想して計算していた事ではなく、たまたまですが、慎重に子育てしていると、こういう計算外のたまたま、が時折おこり、うまく繋がってくれるように思います。

 

 というわけで、息子は試験結果が出るまでの不安な時間も、私に長時間絡む事なく過ごせ、試験結果も良かった為、お母さんに絡まなかった⇒全ての科目に合格した⇒神様が守ってくれた証拠⇒悪い事をしないと神様は守ってくれる、という風に繋がったようです。

 発達障害児のこだわりはしぶとく、止めさせる事は本当に困難だし、恣意的に止めさせる事はまず不可能ですが、息子の頭の中で彼なりの理屈が繋がると、自然に止めていくようです。

 

 だからといって、今の息子が、全てうまくいっているわけではなく、今でもいつも何かしら「トンチンカン」な事を言い、自分の頭の中で作り上げた「あり得ない願望」が現実になるはず、と思い込み、それを私に話して同意させる、という事を繰り返しています。

 いつも例に書きますが、明日は雨の予報でも「明日は晴れだよね」と私に言い、私に「そうだね」と言わせる、というやつです。内容はその時、その時で変わりますが、「あり得ない願望である」という部分は共通ですし、他の人間からしたら、「どうしてそんな事が現実化すると思えるの?」と思う事ばかりですが、本人は「絶対に現実化する」と思い込んでいます。

 「あり得ない願望」が何か天才的発想、とかそういう事ではありません。ただの本当に幼稚で自分勝手で一方的思考の作り上げた夢の世界です。それが現実化すると息子は思い込んでいます。内容はその時その時で変わりますが。これも息子のこだわりと言えばいえるかもしれません。

 これに対する私の対処法は、やはり同じです。受け入れる、です。どんなにバカバカしいあり得ない愚かなおかし過ぎる事であっても、「そうだね。きっとそうなるよ」と言います。一万パーセントあり得ない事でも、「きっとそうなるよ」と言います。

 で、実際にその時が来たら、当然ですが、そうならないわけです。

 息子がどうなるのか?と言えば、たいていの場合、あっさり諦めます。その変わり身の早さには、驚かされます。昨日まで、あれほどこだわっていた願望が、叶わないと分かった途端に、さっと消え、その後に新しい、これまた非現実的非合理的ちんぷんかんぷんな願望が、彼の頭の中に生まれます。

 そしてまた、それが現実化すると私に認めさせようとし、私は「きっとそうなるよ」と答えます。

 自分の願望が現実化しなかった時、彼の頭の中では、無理やり何かしらの理屈が繋がるようですが、ここのところの説明をすると長くなりすぎるので、またの機会にしたいと思います。

 

 あくまで息子の例なので、全ての発達障害のお子様に当てはまるわけではありませんが、ご参考になればと思い、書きました。

 今週は少しあたたかくなるようで、嬉しいです。今日あたり南側のリビングにいると、日差しのおかげで暖房がいりません。春はもうすぐそこでしょうか。

  

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