書くしかできない

過ぎていく日々を書き留めています

おこもり生活七日目

 これは少し前の、2月の話になるのですが、82歳の実母がこのコロナ自粛の日々をどう過ごしているのか気になり、車で30分ほどかけて、ブ~ンと様子を見に行きました。実母は年齢のわりに元気で、毎日何らかのお稽古に出かけていくというお稽古番長。それが、このご時世で、全部お休みになったそうで、行く所がないと愚痴っていたからです。

 行ってみたら、リビングの一角が妙に華やか。何かと思えば、雛人形でした。

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 私や姉が結婚してからかれこれ20年以上、一度も箱から出していなかった雛人形を、この機に出して虫干ししようと思ったのだそうです。本当は5段だか6段だかの階段があるのですが、この階段を出すのはとっても大変。なので母は、棚などの上にただ並べるだけにしていました。

 この雛人形は、母が生まれた時に、母の父親が東京は三越まで行って、買ってきたものです。母の実家は地方にあり、当時だと、東京に出るのは一日がかり。往復だと二日かかる。祖父は待望の娘の誕生をことのほか喜び、それだけの手間暇をかけて、雛人形を誂えたというわけで、祖父の喜びの大きさが伺えます。

 雛人形と一緒に、箱には「雛人形の飾り方」の紙が入っていました。「雛まつりは桜咲く国のクリスマス」というキャッチコピーが斬新です。旧漢字にも時代を感じます。

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 80年経つというのに、それもここ20年以上は箱に入れっぱなしで一度も外に出さなかったというのに、雛人形にもお道具にも、虫ひとつつかず、色褪せる事もなく、どこかが欠けることもなく、綺麗なままでした。金屏風にも傷ひとつなく。上品な表情もそのまま。さすが三越

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 私や姉がまだ実家にいた頃は、この雛人形は毎年飾られていました。なので、時代物の小説を読む時、私の頭に浮かぶ光景は、いつもこの雛人形達です。着物や所作やお道具など。中でも牛車は私の一番のお気に入りで、畳の上に下ろして遊んでいました。母はそういう事を私がしても、あまり怒らない人でした。箪笥の引き出しの中にもいろいろ小道具が入っていて、開けたり閉めたり、中の物を出したりしまったり、楽しかった思い出です。

 コロナ騒動のおかげで、懐かしいお雛様に会えました。今頃はもう、母の手によって丁寧に箱にしまわれ、実家の納戸で眠っている事でしょう。次はいつ会えるのでしょうか。また20年後かな? きっとその時も美しいままで艶やかな姿を見せてくれるでしょう。当時の日本の職人芸の優秀さ。すごいです。

 雛人形は魔を祓うとも言いますから、季節外れではありますが、縁起物としてブログに載せてみました。昨日に引き続き、今日も一日雨ですが、皆様どうぞお元気でお過ごしください。私は雨の中ですが、買い物に行って来ます。ではまた~。