最近は、夫のことで不満に思うことは、ほぼ無くなったのですが、一つだけまだ残っていて、これは永遠に無くならないだろうなと思う事があります。
それは、返事をしない、という事です。
正確に言えば、夫は、「聞かれたくない事、答えるのが面倒な事、答えたくない事、を私から聞かれた時、『言いたくない』とか『分からない』と答えるのではなく、『え?』と言う」のです。
「え?」と言う事で、答えたくないのではなく、そもそも私の質問がよく聞こえなかった(もしくは意味が分からなかった)体を装うのです。
彼は、「言いたくない、答えたくない、答えが分からない」という回答はしたくないわけです。彼の自尊心が許さない。でも、「え?」と言っておけば、悪いのは夫ではなく、私になります。私がちゃんと言わないから悪い、という事になります。
ものすごく極端な言い方をすれば、私に罪を押し付けてくるわけです。
何かを聞いた時、「え?」と返されたら、もう一度、繰り返し、同じ事を言わねばなりません。もう少し大きな声で、活舌をハッキリと、言い回しはより分かりやすく工夫して、再度言い直さないといけません。
そうやって、再度言っても、また夫から「は?」と言われる。
「え?」の次は「は?」です。また、私は、繰り返し、同じ事を言わねばなりません。三回目です。
実際には、夫は、最初の一回目で、私が言った事は、ハッキリ聞こえているし内容も理解しているのです。でも答えたくないから、聞こえなかったフリをする。
何度も同じ事を言わされるコチラの身にもなって欲しい。
そして、三回同じ事を繰り返し言ってやったら、ちゃんと答えるのかと言えば、答えないのです。「何度も言ってきて、しつこいヤツ」という風に、コチラを見てくる。私にしつこくて迷惑かけられている風を装い、答えない。
はい?
私が悪いんですか?
もう夫と付き合って30年を超えますから、私もとうに諦めていて、夫に何かを聞いて「え?」と返されたら、もう同じ事は二度と言いません。繰り返して聞いたところで、答えが返ってこないことは分かっているからです。
夫は、自分が100%安全で正しいと分かり切った事以外は、答えないのです。確信がない事や、正解がハッキリとはどちらか分からない事、少しでも自信がない事には、答えない。「え?」とか「は?」とか言って逃げるのです。まあ、男らしくないというか、ずるいですが、それが彼なので仕方ない。
分からない、とすら言わない。そして、質問したコチラが悪い風にしてくる。
だから、基本彼には何も聞きません。し、聞いて「え?」と返されたら、もう二度と同じ事は聞きません。「え?」は、「分からない」と同じ意味だからです。そういう時は、「彼には答えが分からないのだな。じゃあ、私一人で考えて、私一人で答えを出し、私一人でやるしかないな」と諦めます。
わりと、たいていの事は、私一人で考えてやってきたなと思います。
それと、「え?」という返事とは、少し違うのですが、夫の事で諦めている事があり、それは「なんでもとりあえずもったいをつける」という事です。
要するに、「すぐに言わない、答えない、やらない」人なのです。
本当に、どんな事でも、です。とりあえず、もったいをつける。
私が、何でもテキパキやってしまい過ぎる人間なのかもしれませんが、夫は何でもあえてもったいをつけてグズグズする人です。
もったいをつけたりグズグズしたりして、相手を待たせる事に、妙な喜びを感じているようなのです。
これは息子も夫がいないところでよく愚痴るのですが、「パパはいつもグズグズするから嫌い」と。
何か、本当に単純なこと、例えば、来週の日帰り旅行の行きの新幹線は何時だっけ?というようなこと、切符を買ったのが夫だから知っているのは夫だけなので、準備の為に知りたいから聞いたような時、切符をネットで買った直後に聞いているのだから、忘れるはずもなく、すぐに答えられる簡単な質問なのに、夫はすぐには答えない。
何か、ニヤニヤして、はぐらかし、答えない。
もったいつける意味が分かりません。
そういう時、私は、「え?」と言われた時と同じく、二度と聞きません。夫が新幹線の時間を私に言いたくないなら、別に構わない、という事です。どうして、私が、「お願いだから教えて」と何度も頼まねばならないのか。馬鹿じゃないのか。
だから、一度聞いて、夫が答えなければ、どういう理由で答えないのだとしても、とにかく、一度で答えないなら、私は二度は聞きません。夫に対して、私は、同じ事は一度しか言わないと決めており、それで生活はちゃんとまわっています。
新幹線の時間のように、私に知らせておかないと、むしろ夫自身が困るような場合は、何かの折に夫から言ってきますから、放っておきます。付き合いきれません。
答えたくない事は「え?」と言ってはぐらかしたり、とりあえずどんな時でもすぐにはやらずにグズグズする事もったいをつける事は、もしかしたら、彼の仕事上、身についた処世術なのかもしれません。職場では、その作戦で、うまく生き抜いているのかもしれません。だからといって、その作戦を、家庭に持ち込まないでもらいたい。家庭は職場という戦場じゃないのです。もし夫が、家庭を戦場とみなしているなら、私や息子を敵として扱っている、という事になります。それは、彼が、家庭ですら絶対に「負けない」事を可能にしているでしょうが、であるなら、彼と一緒に住んでいる私や息子は、やすらぎの場である筈の家庭内で、常に理不尽な「負け」を押し付けられ、心が休まる事がありません。彼は一人勝ちで満足したいのかもしれないけれど、そうはいきません。
私は夫に対し、同じ事は一度しか言いません。