書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

またしても、息子のこと。

 今日は結構重いことを書きます。

 私の息子は発達障害で、その障害特性として「いつも同じじゃないと不安になる」というのがあります。また、「クラス内の騒音がとても苦痛」というのもあります。

 3学期は、風邪やインフルエンザが流行るので、ちょこちょこ教科の先生がお休みになり、代行の先生が来る事が多いので、それだけでも息子にとっては負担なのですが、先日はとうとう、担任の先生が風邪でお休みされました。熱が出たとのことで、まだ、インフルかどうかは分からないという状態。

 帰宅した息子は、見るからに不安定で「担任の先生が明日からも休むらしいから、僕も休む」と言いだしました。

 あ~。また出た。息子の「休む」癖。

 健常児だったら、あり得ないと思います。担任の先生が休むからって、自分も休むという発想。代行の先生が来るんだから、それでいいじゃん、というか、私が高校の頃は、担任なんてどーーーーーっでも良かったです。名前も不確かというか、存在を感じなかったというか。

 でも、息子にとっては、担任の先生がいるのが「普通」の状態なので、いないというイレギュラーな状態には耐えられないのだそう。特に、ホームルームの時間、代行の先生だとクラス全体がうるさくなるし、ホームルーム自体が代行の先生の不慣れさ故に長引くのがすごく嫌なのだとか。

 しかし。明日からは学年末試験なのです。いえ、普通の授業の日だって、そんな理由で休んではいけませんが、学年末試験ですよ。担任の先生がいない、という理由だけで、何故休むという判断を、この子はするんだろう?

 学年末が内申にどれだけ重要か、分かっている彼。指定校推薦をもらう事も可能性として入れている彼。だったら、学年末試験はどうしたって欠席できないという事は、よくよく分かっている彼。なのに、担任が休むから僕も休む、と主張する彼。

 「それは駄目だよ」と私が言ったら、息子の目の色が変わり、反射的に私の肩を噛んできました。

 それほど強くではなかったけれど、「あ~、また悪癖が出た」とガックリしました。まだ治ってない。

 自分の頭の中の理想の状況と、現実とが食い違う時、息子は、ひどいストレスを感じ、現実のほうを、自分の理想になんとかして一致させようとします。

 その行動の一つが、私への暴力です。絶対に駄目だという事は、過去に散々話して、自分でも分かっているのに、またやってしまう。

 私は心底ガッカリして、もう死にたいと思いながらも、2時間ほどかけて、息子に、何故担任の先生が休むからといって、あなたが休んではいけないのか、丁寧に説明しました。3時間かかったかな。時間は覚えていません。試験前なのに、こんな無駄な事に時間を使うなんて、と思いながら、でも仕方ない。

 3時間の話し合いの末、息子は、やっとこさ学校へ行く事を了承しましたが、まだまだ不安定でした。

 夕食の時間が随分遅くなってしまい、いつもよりずっと遅い時間に息子がお風呂から出て来たタイミングで、夫が帰って来ました。いつもは息子の次に私がお風呂に入るのですが、夫が帰って来たので、「あなた、先に入る?」と聞きましたら、夫は「うん」と言いました。

 が。グズグズマイペースの夫ですので、お風呂に入る前に、あれこれやっておきたい事があると、それを後回しにはしません。私を待たせている事などお構いなしで、自分の気になっている事をまず全部片づけて、それからゆっくりお風呂に入って、それからゆっくりテレビを観ながら夕食を食べる、というのが彼のいつものやり方なので、その態度は崩しません。

 一方。お風呂から出て来た息子は、息子で、常に、自分が出た直後に次の人が入る、というのが息子のペースです。自分が出た後に、次の人がすぐに入らないのがものすごいストレスなようで、いつもは私が彼の次なので、自分が出るや否や「お母さん、入って」と言いに来ます。私が少しでももたついていると、ずっと後ろから「なんで入らないの?入ってよ」と言い続けます。

 でも、今回は夫が息子の次に入るわけで、その夫はすぐには入らず、見ている限り、何をやっているのかひたすらグズグズしています。私は、息子が、イライラしているのがハッキリ分かりました。ただでさえ、学校を休む休まないで不安定になっているので、息子のイライラが極限まで来ているということも感じました。

 それで、夫に「すぐ入る?入らないなら、私先に入ろうか?」と声をかけました。すると夫は、急かされたと思ったのか、とてつもなく不機嫌になり「なんで?これとこれをやったら入るよ。どうしたの?なんなん、この空気。おかしいやろ」と文句を言い始めました。夫は、自分が正統的な意見を言っていると思っているので、態度も大きく、私達に対して、お前がおかしい、俺が正しい、を上から目線で言い募ります。声がだんだん大きくなります。その間、私は何ひとつ言い返さなかったのですが。

 また何か、夫が勝ち誇ったように大声で一言いいました。その夫の大声を聞いた瞬間に、ワナワナしていた息子が「お母さん、止めて」と私の指を噛んできました。

 かなり強く。

 正直、指が取れたかな、と思いました。

 息子が口を外すと、指から血が吹き出しました。かなり深く傷が開いていました。

 

 息子は、頭が単純なので、誰かが大声を出すと、大声を出した人間が正しく、罵倒された人間が間違っていると判断します。我が家の場合は、大声を出すのはいつも夫で、罵倒されるのはいつも私なので、息子の中では、話の内容など関係なく、いつも夫が正しく私が間違っている、という理解になります。そして、大声を出される事が苦手な息子は、夫が大声を出すのを止めさせるためには、間違っている私を止めればいい、という考えになり、私を止めるには、私に暴力をふるえばいい、という考えになるようです。

 これも、間違っているという事は、散々、散々、過去に話してきたのですが、その時は分かったようなことを言うのですが、実際には理解していないのですね。障害って本当におそろしいなあ。

 

 私は、指から血を吹きだしながら、茫然としました。ガッカリ。と心の中で思っていました。もう、この子にはガッカリ。自分の人生にガッカリ。まだまだ私の頑張りが足りなかったのか。もう1つ山を越えなきゃならないのか。

 私は息子に言いました。

「今度、お母さんに暴力をふるったら、お母さん、この家、出るから」

 息子はとてつもなく反省し、大泣きしながら、もうしない、もう絶対しない、と言いましたが、私は信用できませんでした。

 今度、息子が私に暴力をふるったら、私は躊躇なくこの家を出ようと思っています。持ち出し荷物も作りました。

 私が家を出れば、息子も、自分のした事の結果が分かるでしょう。私が彼を許している限り、息子は私に暴力をふるう事を、どうしても止められないのです。私が彼を見捨てない限り、彼は、暴力をふるう事が駄目だ自分が損をする、という事を、理解できないのです。私が彼を許している限り、暴力をふるう、謝る、許してもらう、もうしないと約束する、また暴力をふるう、謝る、を延々ループするだけです。 

 だから、次があれば、私は家を出ます。その事を、きっちり息子に言いました。それが、唯一、息子の私への暴力癖を、治す方法だと今回身に染みました。それ以外ありません。

 

 ただ、私には不思議でなりません。息子を一番助けているのは私で、おそらく私なしには、息子はこの社会で生きていく事はできません。私がいなければ、学校にも通えていなかったと思います。それを、息子はよくよくわかっているはずなのです。

 でも一方で、息子は、私にだけ、暴力をふるうのです。息子の頭の中の理想と、現実が食い違う時は沢山ありますが、私に対する時以外は、彼はそれを耐えるのです。でも、私に対する時だけは、彼はそれを耐えずに、私に暴力をふるうことで、理想に現実を一致させようとするのです。

 自分の一番の味方を、なぜ一番傷つけていいと考えるのか。息子の頭の中の捻じれた脳構造が、私には理解できません。

 おそらく、私が、彼を見捨てないとたかをくくっているのだと思います。

 泣けばすむと思っている。謝れば許されると思っている。

 

 もうその時期は過ぎた事を、彼には分からせないといけません。次に彼が私に暴力をふるうことがあったら、私は彼を見捨てます。それが、受験の前日であっても。どんな状況であっても。そうしないと、彼は、暴力が駄目だという事が、どうしても理解できないからです。

 私に見捨てられたら、彼は、高校にも行けない、当然大学にも行けない、就職もできないでしょう。でも、表面上、きちんと学校に行けていても、仕事ができていても、暴力をふるうのを止められない方が、恐ろしい事です。まず何よりも、暴力をふるう事をやめさせないといけません。高校中退になっても仕方ありません。それで、彼が暴力をやめられるなら、そのほうがずっと彼の為になります。

 次暴力をふるわれたら、家を出ますから、という事は、夫にもきちんと言ってあります。けっこう現実化するかもしれません。その時はその時です。障害児を育てるという事は、肚をくくって全力でやらないと。今までにも何度も超えてきた山を、また一つ越えることになるかもしれません。

 

     私は一度も息子を叩いた事がないのに、何故息子は、暴力を物事の解決方法にえらぶのか、以前から不思議だったのですが、今回理由がわかりました。息子が小さかった頃、私がいない所で、夫が叩いた事があったそうです。数回。たった数回でも、記憶力のいい息子の頭には、きっちりインプットされてしまったのでしょう。残念です。