書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

「持続可能な魂の利用」松田青子著

 

持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

 

  ちょっと洒落た題名です。まつだあおこ、さん著。一瞬、まつだせいこと読むのかと思いましたが、あおこ、でした。1979年生まれだそうで、聖子ちゃん世代ではないのに、このペンネームは不思議。

 さて、内容ですが。

 正直、アイディアと観念だけが先走った感は否めません。でも、なかなか読ませる。面白い(上からの評で申し訳ないですが)。

 まず、出だしが秀逸です。

 「おじさん」から「少女」が見えなくなった。おじさん、や、少女、の規定は曖昧なのですが、とにかく、中年男性は、若い女の子の姿を、見る事が出来なくなった、そういう世界が始まった、というところから始まるのです。

 どういうこと?と思いますよね。そして、読み進めていけば、具体的にどういう事か分かるのだと思いますよね。

 それが、、、、分からないのです。読んでいけばいくほど、新たな筋書きが始まっていくだけで、最初の疑問の答えは得られないのです。

 とはいえ、なんらかの関連性はうっすら感じられる。そうやって進んで行って、最後は「えええ???」という終わり方です。まあ、悪く言えば、無理やりつじつま合わせた感じ。良く言えば、小説って自由だな、って感じ。

 でも、飽きずに読めます。これはすごい。読んでて楽しいです。これもすごい。おそらく、著者が書きたいこと、言いたいことを、その時その時で、思いっきり書き込んいったのだと思われます。だから、つじつまはあまり合わないのだけれど、勢いがあって面白い。

 最後まで読んで、すごく思ったのは、著者はとことん「おじさん」という生き物が嫌いなんだな、という事です。それは嫌というほど伝わります。「おじさん」を自称されている方に、ぜひ読んで頂いて、感想を伺いたいなあ。