書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

石井妙子著「女帝 小池百合子」他。

 随分話題になっています。石井妙子さんの書かれた「女帝 小池百合子」。この本については、私がかいつまんで説明するより、アマゾンのレビューに目を通された方が、理解が早いと思いますので、貼っておきます。 

女帝 小池百合子 (文春e-book)

女帝 小池百合子 (文春e-book)

 

  寄せられたレビューのほぼ9割が、著者に対する賞賛ですが、中には「なぜここまで、著者は小池氏を批判するのか」といった意見も見られます。取材対象に対して、著者は最初から批判バイアスに傾いているのではないか、と。

 確かに。著者がこの本で挙げた小池氏に対する批判ポイントは、全てしっかりと裏が取れているとはいえ、あまりにも重大かつ膨大です。ほんの一部を挙げれば。

①テレビ界に売り込むメイン材料となった「カイロ大学卒」の学歴は出鱈目だった。

②芦屋のご令嬢も嘘。芦屋は芦屋でも外れの下町で、経済的にも恵まれていなかった。

アラビア語ペラペラも嘘。中一の英語レベル以下しか話せない。

④選挙時の公約のほとんどが実行されていない。

鳴り物入りだった豊洲・築地案件も、結局何もやれていない。

⑥オリンピックに影響するのを恐れ、コロナ対策を後回しにした上に、オリンピックが延期になるや否や、「ロックダウン」等という大げさな言葉を使って「強いリーダー」像を国民に印象づけた。初手が遅れた事に対して謝罪はない。また効果的な対応策も出せず、沢山の都民が犠牲になり、東京は医療崩壊ギリギリに陥った。

⑥選挙に当選した後の、選挙民への切り捨て方が酷い。

⑦徹底した「上にへつらい、下を切り捨てる」生き方。

まだまだ沢山ありますが、、、アマゾンレビューのほうが詳しいのでそちらをご参照下さい。

 この本で、著者が言いたかったのは、別にカイロ大学を卒業していない事が悪いわけではない、という事です。

 問題なのは、小池都知事という方が、「上にのし上がる為に、平気で嘘をつく人格」である、という事。

 また、小池都知事の政治家としての業績、在り方を冷静に調べ上げた後で判明した事実として、この人は「政治家としてやりたい事を何も持っていない」という事。ではなぜ政治家になり、上へ上へと上っているのかと言えば、ただシンプルに「少しでも上の立場になり、権力を享受したいから」だけである、という事。

 著者は小池都知事のことを、「虚栄心にとらわれ、その虚栄心ゆえに危険な演技者となるといったタイプの為政者である」と書いています。「こういう為政者は、国民を煽り、結果として国民を不幸に突き落とす。自分の言動の効果だけを計算し、自分が与える印象ばかりに気を取られ、それを優先し、それによって生じる現象に対する責任を、安易に考える傾向がある。」

 更に著者は、小池都知事の危険性について、思想家の言葉を引用してこう指摘しています。「デマゴークの態度は本筋に即していないから、権力の派手な外観を求める。また無責任だから、内容的な目的を何一つ持たず、権力の為に権力を享受することになりやすい。権力を笠に着た成り上がりものの大言壮語や、権力に溺れたナルシシズムほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」。

 

 この本が出版されたのは、都知事選の前なので、この本を読んですらなお、都民は小池氏を都知事に選んだのだと思うと、不思議な気がします。いや、意外と都民は、怖くてこの本が読めないのかもしれません。ものすごく売れてますが、買っているのは東京都民以外の人間ばかりなのかもしれません。

 この本にもありますが、小池氏は、生まれつき顔に濃い大きな痣があり、子供の頃からそれを化粧で隠し続けなくてはならなかった。また、親もかなり変わった人で、一人で生きていくしかなかった。そういう事が、彼女に「はったりで生きてナンボ」という生き方を選ばせたのかもしれません。この本では、彼女のはったりを、虚言癖というより自己防衛だ、と書いています。イカロスの翼だと。こんなに飛べるとは、彼女自身も思っていなかったのではないか、と。いつか翼が解けて墜落するその日まで、彼女は飛び続ける気なのだ、と。

 私がこの本を読んで、一番印象を受けたのは、カイロ大学に通っていた時の、小池氏の勉強方法です。同居人によると、学年末のテスト前に、小池氏は、アラビア語の教科書を一生懸命写していたそうです。普段、まったく勉強している姿を見ないし、アラビア語がほとんど分かっていない小池さんにしては不思議だと思って聞いてみると、小池氏はただひたすら「アラビア語」の文字を暗記していたのだそうです。内容は一文も理解できないままで。ただ、文字の羅列をひたすら書いて覚えていたと。でも、そんな勉強方法では、(アラビア語の)テスト問題すら、それでは理解できないでしょう、と聞くと、「とにかく、答えの欄に、何かアラビア語が沢山書いてあればいいのよ。大学は外国人の女の子の生徒に甘いから、点をくれる」と小池さんは答えたそうです。

 結果、彼女は期末テストをパスすることが出来ず、そのまま大学に行かなくなります。

 内容が全く分からない文章をひたすら書き写し、ただその文字の羅列だけを暗記する。なんという無意味な行為。その無意味さと、それなりに要する大変さが、全く釣り合っていません。

 そういう事を、小池氏は、都知事になってすらも、続けているのではないかと思われて、うすら寒い気がしています。

 小池都知事を見ていて、今までずっと何かしらの違和感を持っておられた方には、この本が、その違和感の答えになると思います。

 この本には、小池さんの嘘が相当厳しく暴かれていますので、もし内容に間違いがあれば、小池さんは著者を名誉棄損で訴える筈です。この本はどの書店でも売り上げ一位になっている事から考えても、世間に対する影響が大きいからです。でも、小池さんが名誉棄損の訴訟を起こす気配は全くない事から、ここに書かれている事は、おおよそ事実であろうと思われます。

 でもまあ、小池氏のような人間は、世の中にきっと沢山いるのだろうと思う。「生きていくには、はったりだって必要なのだ」と考えておられる方ですね。あと、「〇〇になりたいから〇〇になったのであって、〇〇になって何をしたい、という考えは何もない」という人。○○には何でも好きな職業や立場を入れてもらえばいいのですが。

 

 著者の石井妙子さんは、徹底した取材をもとに、沢山のノンフィクションを発表しておられます。最近(といっても10年近く前ですが)読んだ中では、「日本の血脈」が凄かった記憶があります。小泉進次郎香川照之オノ・ヨーコ秋篠宮紀子妃、等々、注目の人士の家系を辿り、血脈意識に切り込んだ本です。個人的には、小泉家の話が面白かった。 

日本の血脈 (文春文庫)

日本の血脈 (文春文庫)

  • 作者:石井 妙子
  • 発売日: 2013/06/07
  • メディア: 文庫
 

 

 小泉進次郎さんは結婚されましたし、お子さまもお生まれになりましたが、そのへんのことも、石井妙子さんが取材されると、どういう風に描かれるのだろう?

 どの家にも、外には出したくない秘密があるものです。犯罪ではなくとも、外聞が悪い事実があれこれあるのが普通です。みんな、そういうものをだましだまし生きているわけで。私の家の血脈など、石井さんに取材されたら、どんな悲惨な事になるのやら。

 私は、まだまだこの著者の本を読み続けたい読者の一人です。元気で書き続けて頂きたいです。