書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

関西ケアホーム事情

 私には82歳の母がおりまして、まだ元気で一人暮らしをしてくれています。本人は、90歳になったら、どこかのケアホームに入ると言っていまして、友人知人の入っているケアホームに遊びに行くなど、アチコチ見学しているようです。

 そんな母のケアホームについてのこぼれ話を聞いたので、今日はそのことを書きたいと思います。

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 ケアホームとは、ざっくり言えば、有料老人ホームの事です。

 一人ひとりに、学生のワンルームマンションのような個室があり、衣食住から掃除まで、全部ホームのスタッフがやってくれます。歩くのが不自由なら介助もしてくれるし、それ以外の不自由な部分もケアしてもらえます。たいていの所には、医療スタッフもいて、簡単な治療もしてもらえます。また、ホームから病院に通院する事も可能です。ある程度の介護がついているわけです。

 でも、病が重くなったら病院に入院せざるを得ないし、私の祖母も、ケアホーム暮らしを10年ほどした後、最後は病院で亡くなりました。

 入居時に、一人1000万円以上(ホームのグレードによって価格は変わります)の一時金を支払い、更に毎月一人15万円(これもグレードによって変わる)以上を払い続けます。ご夫婦で入るならこの倍になるわけですが、ご夫婦同室だと何割か安くなるようです。また、最近では、一時金が不要の代わりに月々の支払が多目に設定されている所も出てきました。まとまった貯金はないけれども、年金が多目に出ている方向けだと思われます。

 ホームの立地条件が良いとか、個室が広いとか、スタッフの数が多い等だと値段が上がったりするようです。例えば、海沿いのケアホームは、確か一時金が3000万円を超えていました。それでも、「介護認定の方は預かれません」との事で、元気で一人で暮らせる老人しか入れないとのことでした。一方、もろもろの条件は悪いけれども介護には力を入れています、スタッフも多いです、というホームもありました。

 自分の終末人生において、何を求めるのかで、ホームを選べばいいのだと思います。

 母の友人のAさんは、80歳で、そこそこ豪華なケアホームに入居されました。体のどこかが悪いわけでもなく、一人で暮らせてはいたのですが、家事全般をこなすのがだんだんと大変になってきたので、怪我でもされたら困るという家族の勧めもあって、入居したのだそうです。

 Aさんの入ったケアホームに、母も遊びに行ったのだそうです。ランチを一緒に頂いたのだとか。広くて綺麗な食堂で、Aさんと一緒にテーブルにつくと、まるで懐石料理のようなランチが運ばれてきたのだとか。小さくて綺麗な器がずらっと20個ほど並び、そこに見目麗しく美味しい料理が少しづつ載っていたそうです。ゲストが来たから特別料理なの?とAさんに聞くと、いや毎日こんな感じなのよ、との事。

 いいわねえ、豪華ねえ。と母は感心して帰って来たのですが、その数か月後、Aさんはそのケアホームを出て、また一人暮らしを始めたのだそうです。理由を聞くと、「入居している人達がみんな一日中ぼんやりしていて、話し相手にもならなくて、こっちまでボケそうだったから」とのこと。

 確かに、衣食住全ての面倒を見てもらって、自分は指一本動かす必要がない生活を毎日毎日送っていると、心身ともにボケてしまうかもしれません。また、ホームにいる人達が、かろうじて病気はしていないまでも、生きているのがやっとというような、言葉は悪いですがエネルギーの少ない方達ばかりだと、一緒になって元気を失ってしまう気がしてくるのも頷けます。

 そんなAさんの経験談を聞いたせいもあって、母は、本当に動けなくなるまで一人暮らしを続けると決めたようです。と言っても、今はまだ、私より元気なぐらいなので、まだまだ大丈夫だと思います。

 とはいえ、いずれは入らなければいけないところ。ケアホームという所が、母も、そして私も、人生の最後の年月を過ごす場所である事は変わりません。

 一人の狭い部屋。特にやるべき事のない毎日が永遠に死ぬまで続くという事実。そんな日々を楽しく過ごす為には、当然ある程度の質のケアホームに入居できる事が第一ですが、それだけではなく、痛い所苦しい所のない健康を維持している事や、一人でも充実して過ごせるだけの頭や心の柔軟性を保っている事も、大事だなあと思います。

 いずれ、と言いながら、52歳の私にとっては、あと30年後の現実です。

 そう考えると、残された自由な日々を、心残りのないように、過ごしたいなあと思います。

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