書くしかできない

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クマ被害が止められない

 今年はクマ被害が例年とは桁違いに多い。いきなり何故クマ?と思われるかもしれないが、実家がわりと山の近くなのだ。季節によってはイノシシは普通に庭に来る。例年その数と頻度が増えたと親に聞いていたので、クマ被害が他人事とは思えない。実家は里山ではなく、普通の住宅街。むしろ都会。神戸は山と海が近く、間に細長く街が広がっているのでこうなるのだ。

 昨日は、一日で3人の方がクマに襲われて亡くなった。ちなみに例年のクマによる死者は、年間3人だが、今年はすでに10人の方が亡くなっている。(命はとりとめたが)襲われたケースは、現時点で100人近い。クマは、人間の顏を狙って爪で襲ってくるので、命をとりとめたとしても、顏に原形が残らなくなってしまうそうだ。目がなくなる、鼻がなくなる、顏自体が陥没するなど、想像するだに恐ろしい。その後のその方々の人生を思うと、ショックと痛みで大変な苦しみであろうと思われる。

 山にキノコ狩りに行った等、自らクマの生息地に入って行った例もあるが、クマのほうから町に降りて来たケースもある。山に入っていった例でも、例年同じ場所にキノコ採りに出かけており、クマに遭遇した事など一度もない、という方々が襲われている。

 日本のクマは二種類。北海道のヒグマ、本州のツキノワグマだ。ツキノワグマは人間は襲わないと言われていたが、今年はツキノワグマも人を襲っている。

 理由は何か。

 クマの生息地が人間の開発によって狭められているせいだ、と言われているが、実際はそうではないらしい。むしろ、人口減少により人が都会に移り住むようになって、山が放置されており、クマの生息地は増える事こそあれ減ってはいない。

 江戸時代までの暮らしの燃料は、薪だった。人々は炊事から暖房まで薪を必要としたから、常に山に入って木を切っていた。家を作る材料も木だった。江戸時代までの山は、今よりずっと禿げていたそうだ。近代になり、燃料が薪からガスや電気に変わり、家も鉄骨コンクリートになった。木造家屋の木も輸入する。山で木を切る事がなくなった。今現在の日本の山は、かつてないほど生い茂っているそうなのだ。

 ではなぜクマが、人里に降りてくるのかと言えば、クマの頭数が昨今激増しているからだそうだ。猪も鹿も激増しているが、それらは人を襲わない。だからクマほど問題にならない。また、猪や鹿は殺処分がクマよりは容易らしい。

 クマは年間、計画的に殺処分が行われている。毎年捕獲処分の頭数は、6千頭程だそうだ。

 現在の日本のクマの頭数は、ヒグマが一万頭、ツキノワグマが十万頭と言われている。そのうち6千を処分にしても10万頭以上が残る。クマは繁殖力が強く、毎年2割づつ増えていく。来年は12万頭になる。6千頭づつ処分していっても5年後には25万頭になる。

 

 じゃあってんで、せめて現状維持の頭数に抑える為に、殺処分頭数を増やせばいいかと言えば、そう簡単にはいかない。クマを殺せる猟師が激減しているのだ。

 クマを猟銃で殺すのは大変に難しいらしい。長年猟師をされている方が、今年はクマを殺そうとして逆に殺されてしまった。それぐらいクマというのは恐ろしく強い。

 捕獲して殺すなら安全かといえばそうでもなく、捕獲しても射止めようと近づいたら罠に挟まった足の先を残して罠から逃げ、逆に射止めようとして近づいた猟師を殺すクマもいる。足先をなくしてもクマは生きられるぐらい頑丈なのだ。

 だから、現在のクマ猟師の数では、年に6千頭が処分できる最大数なのだそうだ。しかもクマ猟師は全く後継者が育っておらず、全員が超高齢者で、数年後にはいなくなってしまうとの事。

 

 クマの生態を話しておられた方がいて、興味深かったのだが、クマは目は悪いが、鼻が異常に良いらしい。何キロも離れた先の1個のリンゴの匂いが嗅げる。つまり里のスーパーの食品の匂いを、山の中にいても嗅げるのだ。

 またクマは雑食だが実は、肉しか消化できないらしい。でも、果物や野菜を食べるのは大好きなのだそうだ。例えば件のリンゴなら、丸のみでどんどん食べてしまう。糞にはそのリンゴがそのまま出てくるそうだ。一切消化せず。消化できないなら食べるな、と思うが、食べるのは好きなのだそうだ。全く食べるものがなくなれば、果物や野菜もしっかり消化するのかもしれない。

 クマにとって、長年人間は食べ物ではなかった。よく分からない存在として、むしろ人間を避けていた。ところが頭数が増え、人間と関わる事態が増え、ふと襲ってみたら簡単に襲えるという事がわかった。人間のいる場所には食べ物が豊富にある事も分かった。クマは頭が良い上に比較的長生きなので、里の豊富な食べ物を狙って毎年おりてくるクマが増えたのだ。

 これが現在クマ被害が激増している背景だそうだ。

 クマによる被害は、来年はもっと増えるし、再来年はもっともっと増えるだろう。

 一方で、キャンプや登山ブームで、不用意にクマに近づいてしまう人間も増えている。

 クマの頭数を現状に留める策は、自治体レベルで考えても追いつかない気がする。猟師がいなければ処分もできない。まずは国が、クマ猟師の育成機関を作るべきだと思う。

 今年は東京都にもクマが出没し始めている。ある日いつもの道を歩いていて、クマに出くわし、襲われるという事も、あり得ない話ではなくなっている。今年は、マダニ被害も増えたが、これも、野生動物が里におりてくる事によって広がってしまった結果だそうだ。動物の体には必ずマダニがついており、それを人間の生息地に落としていくのだ。

 野生動物と人の安全な棲み分けの為には、きちんとした頭数制限が必要なのだと思う。それはつまり、野生動物を殺す、という事で、心苦しい。

【クマ被害】玄関開けたら…クマに襲われた70代男性がけが クマの出没相次ぎクマ出没警戒対策本部設置の新潟・長岡市で|FNNプライムオンライン

 「日本は全世界でも緊迫した状況」クマ被害相次ぐ背景に“2つの不足” | KSBニュース | KSB瀬戸内海放送

 

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