書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

息子への正しい対応がやっと分かった

 息子と最近、じっくり話す機会が何回かありました。都度2時間ほど話すのですが、以前のような「同じ事を延々繰り返し質問されるしつこい絡み」ではなく、建設的な話し合いです。

 その中で、息子が過去繰り返し私に言って来た事について、その真意は一体何なのかを時間をかけて話し合いました。

 息子はどんなに気分が良い時でも、ある種の私の言葉や態度で、一気に気分を害してしまうと言います。とても不安になり不安定になり神経質になり、イライラするとの事です。

 具体的に私のどういう言葉や態度がそうさせるのか?と尋ねても、息子にはそれが説明できませんでした。ただ「息子を落ち込ませるようなニュアンスの言葉や態度」なのだと。

 以前はそこまでの説明すらなく、ただ「24時間ニコニコしていろ」とか「お母さんの態度が気に入らんねん」とキレられていました。

 だから、具体的に私のどういう言葉や態度が気に入らないのか?そこを説明してくれないと分からない、とずっと思っていました。私は基本的に、息子には腫物に触るように細心の注意をはらって接しており、息子からの要求にはイエスしか答えません。嘘でも何でもイエス一択です。それでも気に入らないと言われて、途方に暮れていました。

 でも息子は別にノーでも構わないと言います。ただその時の私の言い方・態度が問題なのだと。どんな言い方・態度なの???

 

 今回、その答えが分かりました。

 息子を落ち込ませる私の言葉や態度というのは、ズバリ「無力感を感じさせるようなこと」なのだそうです。

 この「無力感」というのが、キーワードでした。

 

 息子の障害特性の1つに、不安感がとても強い、というものがあります。すぐに強迫性障害のようになり、延々歯を磨いてみたり冷蔵庫のドアが閉まっている事を確認してみたり、爪をむしったり髪を抜いたりします。普通の人が不安を感じない状況でも、息子は強い不安を感じるのです。

 

 息子は基本的に「自分は必要量よりもたっぷり持っていると思える状況」でやっと安心できるのです。余裕がある、という事が息子には何よりも大事なのです。

 

 なので、息子との対応で気を付けるべき事は、息子が必要量よりも何倍も持っていると思わせる事、逆に言えば、必要量に足りないとは思わせない事、なのでした。間違っても、息子が持っている(と思っている)ものを、雑に奪ってはいけません。奪ってしまうと、息子に無力感を感じさせてしまうのです。

 

 具体的な例で言えば。架空の話ですが。

 例えば息子は、大学の学部の中では一番勉強が大変な学部の所属しています。その為か、学内で少し優遇される事があります。

 息子の中では今沖縄がブームで、次回の学部のイベントが沖縄で開催される可能性はあるよね(なぜならうちの学部は特別だから)と言ってきたとします。

 息子は学部イベントも楽しみにしているので。好きな沖縄とイベントを合体させたいと思っての発言です。

 しかしながら、それは100%あり得ません。なので私が「それは無いよ」と言ってしまうと、息子の持っていた希望を奪う事になります。持っていたものを奪われると息子は無力感に苛まれ激しく落ち込みます。

 息子は、自分の学部はある種の特別扱いを受けられる(それが息子にとっての余裕となっている)と思っています。沖縄でイベントが出来る、というのも、余裕の1つとして息子は捉えています。別にそれが出来なくてもいいのですが、出来ると思うと安心するわけです(このへんの感覚は健常者には理解が難しいです。息子は別に、おごり高ぶっているわけでも、自分を特別扱いしろと考えているわけでもありません。ただ、余裕がある、と思いたいだけなのです)。

 でも、沖縄イベントは無い、ですよね。

 なので、「無い」と彼に告げる時に、十分に工夫する必要があるという事です。雑に「無い」と言ってしまってはいけない、という事。

 「それは実現すると楽しいね」「それは楽しみだね」とまず息子の希望に乗っかる。その上で、「でも、実現するかどうかは時の運だね」とさりげなく無い可能性が大きい事を示唆する。最後に「でも、実現すると嬉しいね」とフォローを入れる。

 こういう対応だと、息子も落ち込まないですむのです。息子も馬鹿ではないので、沖縄でイベントが行われる可能性が低い事は分かっていて、それでもあるかもと思う事が安心につながっているのですね。心の余裕になっているのです。だから、頭からバッサリ否定してはいけないのです。それは息子の心の余裕を奪い取る事になるからです。

 繰り返しますが、息子は別に、沖縄で絶対にイベントが行われるとは思っていません。ただ、行われるかもしれない可能性があるという、それが心の余裕になっていて、日々の安心を底支えしているのです。非現実的であるとどこかしら分かっていて、でももしかしたらという希望をうっすら持っている事が彼には大切なようです。

 ちなみにこれは架空の例でして、息子は沖縄はどちらかというと苦手です。人が大勢集まるイベントなどは大の苦手です( ´艸`)

 

 それと。

 息子は私以外の人間からなら、何を言われても無力感は感じないそうです。

 

 発達障害児をお子様に持たない方には、理解できない事かもしれません。すみません。私の備忘録みたいなものに、お付き合い頂き有難うございます。ではまた~

 

 

 あと、これは追加で思い出した事なんですが。

 どんなに表現に気をつけたとしても、息子にとって嫌な事(ノーの返事)は、一度に1つだけにすることです。

 1つ嫌な事を言われると、それがどれだけ気を使ったいい方でも、息子は不安になります。それで、安心を得る為、似たような気がかり事を更に聞いてくるのがお決まりのパターン。

 上の例だと、沖縄イベントが無理かもなら、夏休みが1ヶ月のぴる可能性あるよね?とか聞いてくるわけです。

 ここで、「いや、のびないよ」と答えたら、それがどんなに気を使った表現でも、息子にはアウトです。1度に2つ以上の「ノー」があると、息子は無力感に押し潰されることになります。

 この場合は、夏休みの方は、絶対にのびないと分かっていても「のびると思うよ」と言っておくのが正解。

 そして、その後半年ほどかけて、少しづつ夏休みはのびないかもしれない、という方向に持っていくのです。急に言うのではなく、色んな情報を挟みながら、少しづつ階段状に。小出し小出しに、誤魔化し誤魔化し。

 面倒くさいですけど、こうしないと彼はキレるんですよ。私にだけですが。

 嫌な事、否定するようなことは、一度に1つだけ。これは息子対応の必須要項です。

 そしてまた、嘘でもイエスを言う時も、息子が納得出来る理屈を添えなければいけません。ただ雑にイエスというだけだと、息子は安心できないのです。

 とにかく息子を安心させること、日々私はそれだけを考えて彼と接しています。