書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

帰って来ました。

 海辺の宿から帰って来ました。

 本当は、家族3人で行く予定だったのですが、息子と夫は結局義実家のほうへ行く事になり、海へは(今回は和歌山へ行きました)は、私一人で行く事になりました。

 車で行って車で帰り、ホテルの部屋と、ほぼ誰もいない海岸とで、過ごしました。ホテルから歩いてすぐに海。

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波打ち際ギリギリにビニールシートを敷き、水と本とウォークマンを置いて、一日海を見ながらぼーっと過ごしました。2月とはいえ、最高気温20度の日が続いていて、晴天だったので、半袖でも暑いほど。

 朝夕のお食事だけは、ホテルのレストランまで食べに行かねばならなかったのですが、ビニールの衝立で仕切られていて、離れた6人テーブルに一人づつという配席で、コース料理を一度に全部運んでくる(できるだけウェイターと客が関わらないように)システムでした。前菜からスープからメインからデザートから食後のコーヒーまで、一度にテーブルに置かれるという、イラチな私には最適な配膳スタイル。まあ、コーヒーを飲む頃には、すっかり冷めていましたが、一品一品出てくるのを待つよりずっといい。

 まあそんな感じで、海辺の宿で、誰とも喋らない孤独な休日を過ごしました。なんという幸福。

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 海岸ではずーっと波を見ていました。ひと波ごとに、自分がもとに戻っていくのを感じました。これほどの贅沢ってあるだろうか。結局のところ、自分って、イギリスっぽいものが好きなんだなあという、しょーもない事に気が付きました。頭の中をぼーっとさせて、別に考えるべき事も何もない状態でいると、いつの間にか、以前行ったイギリスの公園(ケンジントン公園が一番好きだった)とか、骨董市とか、ホテルの部屋とか、不思議の国のアリスの筋書きとか、そういうものがずっとつらつら頭の中を行き来していて、ああ私はこういうものを考えている時が一番楽しいのだなあと思いました。

 自分がイギリスが好きだという事を、ものの見事にすっかり忘れて生きていました。驚き。

 ずっと若い頃、湖水地方に行ってみたいと強く思っていて、まだ行けていない事も思い出しました。なぜ行かなかったんだろ。子供を産む前なんて、時間は一杯あったのに。金銭的なことかな。でも、貯金は一杯あったのにな。

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 一日、波打ち際に座って、自分の考えたい事だけをぼんやり考えて続けていて、頭がだるだるにふやけた気がしました。ずっとカチカチだったんだなあと、それも分かりました。

 ホテルの部屋では、BSで大リーグのダイジェストをやっていて、ずっとぼんやり見ていました。以前アメリカに住んでいて、よくドジャースタジアムに通っていたので、わりと大リーグにはなじみがあり。投手がガム噛みながら投げてたり、観客がモデル?と思うほど綺麗だったり。自由で気ままで、子供もいない、結婚もしていない頃の自分に戻っていました。

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 時々、息子や夫からラインが入り、現実に戻るのですが。

 息子が、「〇〇神社に行って、おみくじ引いたら末吉だった」と送ってきたので、大吉ではなかった事で落ち込んでいるのがまるわかりで、これは何らかの慰めを返してやらねばならないなと思い、「末吉なら『普通』って事やし、今、学校も休み中やから、運勢が普通でちょうどいいんじゃない? ここぞという大事な時に、大吉になるほうがいいやん」と送りました。それでも納得しない息子は更に、「家に帰ったら、おみくじに書いてある内容を一緒に読んで」と送ってきました。ああまた、おみくじの一言一句に不安になり、私に安心させてもらおうとしているのだなあと分かりました。どんなネガティブな内容でも、ポジティブに変換し、かつ説得力のある説明を無理やり作り出さねばなりません。落ち込むなら、おみくじ引かなきゃいいのに、などと言ったら最後、何時間もからまれます。ああ、これが私の現実。息子を慰め、励まし、細心の注意をはらって接するよう、気遣いを強要される日々。

 

 それでも、どんな現実を生きていても、私の芯のところには、いつも幼く未成熟で不完全で子供じみたものが、否定される事なくひっそりとなくならずに存在していて、本当の本当に自分一人の孤独な時間をたっぷりもらえれば、いつでもそこに戻る事が出来るのだと分かり、幸せな気持ちになりました。

 現実がどうであっても、私の芯は変わらない。どれだけ長い時間が過ぎても、私の芯は何一つ変わっていない。その事が分かって、笑い出したくなるような、安心した気持ちになりました。

 また今日から現実。しっかりやります。 

 

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