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書くしかできない

子供、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

ドラマ「カルテット」を観て

日々の思い

 普段あまりテレビを観ないのだが、「カルテット」は毎週楽しみに観た。本当に面白かった。放映が終わってからだが、他の方のこのドラマへの感想を、あれこれ読ませてもらったら、更に面白かった。一人として、同じ感想ではないという事が分かったので。それだけ、種々多様な受け止め方ができるドラマであったのだ、という事だと思う。

 色々な感想の中で、わりと多数派かなと思ったのは、「負け犬がうだうだやっている、その中途半端さのリアル感が良かった」というもの。そうなのか。あの4人を、他の人は「負け犬」だと感じたのか、と私は不思議に感じた。

 というのも、私は、あの4人が羨ましいなあとずっと思って観ていたからだ。真紀さんも、すずめちゃんも、家守さんも、別府さんも、もし代れるものなら、どなたでもいいから代わりたい、と思うほど羨ましかった。

 何に憧れていたかというと、沢山あり過ぎて困るが、まずは、ピアノ以外の楽器を習ったという事が羨ましい。ピアノは町に沢山教室が溢れていて、ピアノが弾ける事なんか、さして珍しくもなんともないが、バイオリンやビオラを弾ける事は、とても稀少だと思う。友人が子供にバイオリンを習わせているが、まず先生がそれほどいないから、遠方まで通わなければならない、その送り迎えがハンパなく大変だ。その上、楽器を買えばOKではなく、その後のメンテが大変なのが弦楽器。友人は、子供のバイオリンの絃の調節に、わざわざ京都くんだりまで毎回出向いていくそうだ。その手間と費用を思うと、、、。これはピアノも同じだが、住宅が密集している日本で楽器を練習するにはそれなりに防音設備の整った部屋も必要だ。なんのかんので、子供に弦楽器を習わせるのは、親が金銭的にも時間的にも余裕がないと難しい。裕福だったまきさんや別府さんはまだしも、すずめちゃんや家守さんですら、幼少期から弦楽器を習わせてもらい(つまり教室まで毎週送り迎えしてくれ楽器のメンテもしてくれる、自己犠牲を厭わない親がいた)、大人になって人前で恥ずかしくない程度に演奏できるまでにしてもらえた、というのは、相当恵まれている環境だったと思う。ドラマでは、4人の可哀想な過去がわりと前面にでていたが、確かに気の毒な面も多いが、それでも、恵まれていた面もあったと思う。

 また、他にも4人に憧れた面はある。一人ひとり見ていく。一人ひとり不幸な過去を背負っているのは分かっているが、それでも、私には羨ましい面がある、という意味だが。

 まず真紀さん。大人になってから、本気で惚れてくれる男性が二人もいる、いた、という事。男運がいい、というか、良い人に好かれる質があるようで、逮捕されてからついた弁護士の男性すら、とても良い感じの人だった。弁護士の先生が、わざわざ自宅まで来てくれる、一緒に歩きながらコロッケを食べてくれる、なんて事は普通ならあり得ない。私が知っている弁護士さんも、人間的にとても良い人だが、さすがに自宅には来ないしコロッケを食べながら歩かない。良い男に惚れられる質を持っている、というのが、真紀さんの羨ましポイントだ。

 次に、すずめちゃん。どこかしら天然の匂いのする彼女だが、それでもうまく社会に溶け込んで生きてきている、という所が羨ましい。天然さがとてもうまい方向に出ていて、独特の個性という強さに天然の良さが活かされているし、一方で、天然ではありながらも、先を読んで地道に努力する、つまり計算して生きる事もできる人だ。こういう天然さを持つ人は本当に珍しい。

 次に、家守さん。軽々生きている感じがして、ああいう軽さは私には無いので憧れた。ドラマでは、35歳でまだバイト人生なんて悲惨、という描き方をしていたが、今日び、30でも40でもバイト人生の男性は少なくない。私は55歳でバイトの男性を知っているが、さすがに未婚ではあるものの、なかなか楽しく生きておられる。Vシネに出ていた家守さんと同じで、知人も女に不自由した事がない。知人の場合、実家がわりとしっかりしているので、いざとなったら実家に頼ろうとしているのかもしれないが、家守さんもビオラ奏者になれたぐらいだから、しっかりした実家がおありなのだろうと思う。しっかりした実家がある、という事は、人生において大きなアドバンテージだと思う。

 最後に、別府さん。まだ30代前半なのに、いくつか転職していたり、料理も含め家事が完璧にできたり、という器用さが凄いと思う。あれだけ家事ができたら結婚なんかする必要ないし、家でバイオリンの教室を開いたらいいのだ。優しく気配りできる人だから、子供受けもいいだろう。別府ファミリーというネームバリューもあるし、そこそこ成功するんじゃないか。私の家の近所で、もし別府さんが自宅でバイオリン教室を開いていたら、息子を通わせたいと思う。息子は喋るよりも楽器のほうが得意なたちで、今は(ありきたりの)ピアノを習わせているのだが、、、。

 というわけで、私はあの4人が、負け犬だとはとても思えないのだ。みんなしっかり自分の人生を歩んでいる。別に一流奏者にならなくても、ちょっと雇われて演奏するセミプロで、十分楽しいんじゃないか。だから、あのラストは、ちゃんとしたハッピーエンドとして描き切れていると思う。4人の恋愛模様に決着がつかなかった事を残念だと感じておられる方も多いようだが、私は全く気にならなかった。言われて初めて、ああそうだったな、と思ったぐらい。もし、「カルテット」に次回作が出来たとしたら、そこで引き続き描かれるのではないかな。楽しみが先にのびていいわ、ぐらいに思う。これだけヒットしたのだから、次回作、作られるといいなと思う。