ネットフリックスの、細木数子さんを題材にしたドラマ「地獄に堕ちるわよ」を見た。
事前に少し聞いていた通り、前半はきれいごとだったが、後半は少し踏み込んで細木さんのやってこられた悪事を多少描いていた。溝口敦著「魔女の履歴書」を参考にしたらしい。
ドラマ(というかこの本)が事実だとすると、細木さんは渋谷の青線地帯で生まれ、銀座赤坂でクラブを経営し、暴力団幹部と繋がり、島倉千代子を手なづけて上がりを横取りし、歴代総理の相談役だった当時日本一の易者と無理やり婚姻関係を結び占い師として箔をつけ、テレビで顏を売り、桁違いの相談料を取り、相談者に墓を売るという霊感商法で更に儲け、巨万の富を築いた。さすがですね、という一生だ。
後年、週刊誌にそれまでの悪事を報じられ、突然芸能界の一線から姿を消したが、別にそれで困る事もなく、本は売れるし、相談者は引きも切らず。姉の娘を養女にし家族に囲まれ何不自由のない満足のいく晩年を過ごした。いやもうお見事。
で、このドラマを観た私の感想だが。
やはり富や権力は、悪事と道連れなんだなあという事。それはもう当たり前にそうなんだなあと。高市首相を見ても分かるが、数々の問題を週刊誌に書かれても否定はするが訴える事はない。本当にその悪事をしていないなら名誉棄損で訴えるべきなのだから真実は推して知るべしで、そこは細木さんも同じ。週刊誌に書かれても名誉棄損で訴える事はなく、大人しく一線から消えたので、書かれた事は全て事実だったのだと分かる。
悪事と道連れではない富や権力は、存在しないのだと思う。
それが、中途半端に賢い、でも愚かな人間が作った社会の限界なのだと思う。
個人レベルで選べるのは、「自分の精神衛生を重視し悪事は行わない」とするか「富や権力が自分にとって重要だ」とするか。両方とも少しづつ、という選択もあるだろうし、どちらかに振り切るという生き方もあるだろう。
そこにいい悪いはないように思う。
そもそも細木さんはそこまで悪い事をしたのか。
人は嘘をつきながら生きていくもので、細木さんや高市さんが沢山の嘘をついてきた事は悪事と呼ぶほどの事ではないと思う。
細木さんは「占い師」として多くの悩んでいる人に占いという言い訳を持って指南してきた。沢山の人の人生を狂わせてしまっただろうと思う。でもこれは、彼女を信じた人が悪いと言えばその通りなので、細木さんが悪いわけではないとも言える。霊感商法を信じた人が馬鹿なのだ、と。
高市さんも同じで、彼女が我欲から日本の舵取りを間違え、日本国民の人生を一気に狂わせてしまうだろうとしても、これは彼女を選んだ国民が悪いのだ。高市さんが悪いわけではない。
そう考えると、細木さんが悪事を働いたと言い切る事は難しい気がする。細木さんは、悪い人というより、弱い人だったのではないかと思う。何かをしたい、何かを得たい、という自分の欲を我慢する力が弱かった。
細木さんは死ぬまで幸せだったそうだ。もし細木さんが悪人だったのなら、おそらく死んだ後にペナルティーがくるパターンなのだろうと思う。見えない世界のペナルティーは、見える現世のペナルティーより遙かに大きいと聞く。本当のところどうだったのかは細木さんの魂しか分からない事だ。
私はそんな危ない橋は渡れないので、小心者らしく小さく生きたいと思う。