書くしかできない

発達障害の息子、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

「大丈夫」という言葉は親が言いたい

 先日の記事に引き続き、息子の事を書いていきます。

 先日は、息子に「みんながみんな、あなたの事を愛しているわけではない」という事、そして「全ての人に愛される必要はないが、誰にも愛されないと生きていくのは難しい」という事、そして「今のように、他人の気持ちに配慮しないでいたら、それは自己中とみなされ、愛される事は難しい」という事を説明しました。

 息子は彼なりに理解したようで、自己中度が少し軽減してきました。

 自己中度の軽減について、具体例を一つあげます。

 彼は、不安神経症気味なところがあり、不安な事が一つあると、ずっとその事が頭から消えず、苦しいので、その不安を私に押し付けてきます。それも、延々と、自分の不安を私に話し、同じ話を繰り返し言い、私に安心させてもらう、という事を要求してくるわけです。

 「同じ話を何度も言う」という悪癖は直さねばならない、と本人も分かっているので、最近は同じ話を繰り返し言う事はなくなりましたが、不安を私に押し付けてくる癖はなくなっていません。

 どういう事かというと、不安になると、彼は私のそばにつきまとい、私の顔をのぞきこみ、私がニッコリ笑う事を要求するのです。言葉ではなく、態度で。正直うっとおしいし気落ち悪いので、私は笑うどころではないのですが、仕方ないので、笑います。すると一瞬だけ納得しますが、すぐにまた私の顔をのぞきこみ、私に笑う事を要求するのです。私が笑わないと、延々私の顔をのぞきこみ続け、私が移動するとつきまとってきます。更に、「お母さん、怒ってる」と私を責めてきます。

 いや、怒ってはいないけれど、意味もなく笑い続けるのは不可能だし、つきまとわれたら気持ち悪いから、不愉快。不愉快だから更に笑いづらくなる。という事を彼に説明しても、「でも、僕はお母さんに笑って欲しいから、笑って。笑ってくれないと不安になるから笑って」と言うのですね。で、「笑いたくない時に笑うのはしんどいのよ」と私が言うと、「しんどくても笑って」と言う。

 「あなたは、お母さんがしんどくなっても、自分の不安が減るほうがいいの?」と聞くと、「そう」と答える。「お母さんに苦しい思いをさせても、自分がラクになるほうがいいの?」と聞くと、「そう」と答える。

 それが、不安になった時の彼の状態でした。

 この彼の行動が、「他人の気持ちに配慮しないでいたら、それは自己中とみなされ、愛される事は難しい」という話を理解させた後は、なくなったのです。

 不安になっても、私につきまとわなくなりました。私に、不安を押し付けなくなった。

 めでたし、めでたし、というわけにはいきません。

 息子自体は不安に苦しんでいるわけなので。そこを何とかしてやらねばなりません。

 何が不安なのか?を聞いて、どうにか解決してあげられる事の場合は問題ないです。が、不安の原因を聞いても、どうしようもない事のほうが多いのです。たとえば、「受験に受かるか不安」と言われても、どうしようもないわけです。

 「どうしようもない不安は、誰にでもあるよ」と私は彼に言いました。「不安を持ったままでも、大丈夫なんだよ」と。「不安だから、何か悪い事が起こる、という事はないから。不安でも、何も悪い事は起こらない。大丈夫。あなたは絶対に大丈夫」と。

 「絶対に、何も悪いことは起こらない?」と息子は不安げに聞きましたが、「絶対に、起こらない。絶対に大丈夫」と私は自信を持って請け合いました。それで息子は安心したようで、不安げな様子がなくなりました。

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 「絶対に悪い事は何も起こらない」筈はありません。嘘です。悪い事は起こる時は起こります。私は嘘をつきました。私は、息子の不安を取り除く為に、嘘をつくという重荷を背負う事を選びました。息子に何か悪い事が起こった時は、全ての責任は私に来ます。息子は私を責めるでしょう。その日は必ず来ます。それでも、今の息子に必要なのは、「僕は大丈夫」と強く信じられる事だと思います。

 カウンセラーさんなどは、気安く「大丈夫よ」という言葉を、悩んでいる人に与えます。責任をとる必要がない立場だから言えるのだし、言う事で自分に依存させる事ができ商売がなりたちます。でも、責任などとってもらえないと分かっていても、それが商売だと分かっていても、「大丈夫」という言葉を欲しくて、「大丈夫」と言ってくれる他人にすがっていく人が多いです。

 責任をとる立場、何かあったら影響を受ける立場の身内は、そうそう気安く無責任に「大丈夫」という言葉は言いません。だから、「大丈夫」という言葉が欲しい人は、厳しい身内ではなく、甘い言葉をくれる他人にすがっていき、どんどん依存してしまいます。

 この年になって、そういうからくりが分かってきました。だから私は息子に、「大丈夫。絶対に大丈夫」という言葉を、言ってやりました。私が言ってやらなければ、この子は一人で苦しむか、無責任な他人にすがってしまうでしょう。今の時点で、一人で不安を解消できない彼が、私に依存するのは仕方ない。私は、彼から依存されなくなる方向に努力します。彼自身が強くなって、不安を持ったままで一人でしっかり立てるように、日々少しづつ励まし見守っていきます。成功体験を積んで、自分は大丈夫だ、という感覚を、彼自身が自分自身の力で作り上げるまで励ます見守ります。そこに到達するまでは、「大丈夫」という言葉は、他人ではなく親である私が、彼に言っていこうと思います。繰り返し、繰り返し。