書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

避けようのない危険

 また、当たり前のように、障害者施設でも虐待があったそうです。

障害者施設13人に虐待 全裸で放置 - Yahoo!ニュース

 

 前回の記事でも書きましたが、子供・高齢者・障害者は弱者であり、誰かにお世話してもらわないと生きていけません。そして、この国では、弱者のお世話をする人達の待遇が極端に悪く、そのせいで、本来お世話する対象である弱者を虐待するという、残酷な流れが止まりません。

 この記事については、コメントの数がとても多く、私が見た時点で1000件を超えていました。中から、勝手ながら引用させて頂きます。

 保育、障がい、介護。 これらの職種は、給与上げて良い人材を集めないといけない。全て国策なんじゃないの?これらの職種の方々。どれにも共通して言えるのは、いろいろな事情で家で見きれないからある職種でしょ。行政もわけのわからん仕事増やしてそこに無駄な人材を費やし、国費を消耗するだけなら、上記職種を手厚くしてくれ。給与上げても、こういうケースは少なからずあると思うが本気で取り組む人も出てくるので意識高い人集まるし、変なことやってたら密告も増える。

 ちょっと介護や保育などの施設での事件多すぎませんか? この数ヶ月で何件ニュースになってるの? 日本は少子高齢化がまだまだ進みます。もう今のやり方の延長線上にこの問題を解決できる未来が見えません。 保育士、介護士の雇用問題。 もっと国が動くべきです。いい方悪いかも知れないですが、特に介護職はやりたいからって人より募集が多いからなりやすいとか、他にやりたい事ないけど収入要るからって人が多い気がします。自分の身内でも大変で抵抗ある事を、仕事として他人がやるって事をもっと理解して、国も支援してバランスとらないと崩壊しちゃうよ。 そもそも人の世話をするための仕事する人が、世話の必要な人を苦しめるなんて事がこんなに起きてる事自体に問題にもっと真剣に取り組むべきです。

 保育士、障害者や高齢者介護士等の社会を支える エッセンシャルワーカーは、公務員にして、会社員給与の平均以上は支給すべきと思う。 女性の保育士、介護士の給料が手取り10万円とかあまりにひどいと思う。 国家資格取って手取り10万円は、職務に当たる上での当人のプロ意識にも大きく影響すると思う。 公務員にして、その重い責任ゆえ、虐待等の不祥事があれば、一発退職、資格剥奪で、一生その職につけなくなるようにして、その一方で、真面目に職務に当たる人に関しては、公務員としての恩恵を受けれるようにしたら良いと思う。 社会を支える方々の待遇を変える事、また行政が監視をする構造がなければ、それらの職業のなり手はいなくなるし、こういった虐待問題も顕在化せず、また減らないと思う。

 闇が深いよな。 家庭でも面倒見きれず、施設に入れば職員でも扱いきれずに精神的ストレスから虐待 過去にあった施設での虐殺事件の犯人も、そういったストレスから入所者を敵視し始めたのかもしれないね(事件自体は否定されるべきだとしてね)。 本質的なところから対応を変えていかないと、同じようなことは何度でも繰り返されるんだろうね。 ただ...非情な話になるけれども、そこに注力できるほど世界情勢や経済状況が甘くはない 。事件の関連者だけを裁いても何も解決しないんだろう 闇だけが深まっていくな。

 

 全くもって、同感です。

 ただ、こういう声は30年前から上がっていて、今だに国は一切動きませんし、動かないというより、むしろ後退しています。福祉予算は削られる一方です。

 国には、弱者を救う気は全くありません。これだけは断言できます。国は、伸びる方向、国が発展できる方向には、お金を出すにやぶさかではありませんが、弱者救済という福祉にお金は使いません。使ったって、国の発展には繋がらないからです。

 

 私達は、生涯で少なくとも2回弱者になり、病気や怪我で障害者になる可能性もあります。そしてまた、私達は弱者が見捨てられる国で、生きています。

 私達に出来る事は、生まれて来ない事、だけです。もう生まれてしまった私達は、新しく生まない事です。

 これだけ少子化が問題となっていても、政府のやる事は、せいぜい子育て支援金を出す事。選挙での人気取りが目的なのは明白です。

 私達の生みたくない気持ちは、そんなはした金でどうこうなるものではありません。私達は、必ず通る弱者時代における、避けようのない虐待の危険を、我が子に与えたくないだけです。

 

 現実的な解決案を考えるなら。コメント欄のご意見にもありましたが、こういう「弱者のお世話をするお仕事」は全て、国家公務員にするしかないと思います。お給料もそれなりの額で、福利厚生もしっかりしていて、年金も出る。

 その上で、死角を作らないようにして監視カメラを設置し、抜き打ちで外部検査員がチェックする。虐待まがいの行為が見つかった職員は、一発アウト、退職で、今後こういったお仕事には就けないとする。

 そうすれば、仕事内容が厳しくても、それなりに安定した生活を保障してもらえるというメリットが上回り、ストレスがたまっても虐待はしなくなるでしょう。それでも耐え切れず虐待をする人も出るでしょうが、それは監視カメラであぶり出し退職して頂ければよい。大事なのは、そういう人が、二度と「弱者のお世話をできなくする」事です。保育士も介護士も、どの施設でも。

 ただこれを実現するには、膨大な税金がかかります。

 

 政治家を選んでいるのは私達国民です。私達は潜在意識の中で、自分は弱者にはならない、と高をくくっているのだと思います。また、保育士さんや介護士さん方の報酬を上げる為に、税金が上がるとしたら、それは嫌だと思っているのだと思います。

 例えば、保育士さん介護士さん等「弱者をお世話している方々」を国家公務員にする為に、国民一律で年5万づつ税金を徴収します、と言われたら、払いたくないと思う人が多いでしょう。だから、そういう事を公約に掲げる政治家が出てこないのです。年5万など軽々払える富裕層は、そもそも公立の保育園や介護施設を利用しないので、そういう所で起こる虐待は、自分とは関係ないと考えます。一方、公立の園や施設を利用する一般層にとっては、年5万の税金増はしんどいでしょう。金持ちが払ってくれよ、と思うと思うし、一方金持ちは、自分とは関係ないから払いたくない、と思うわけです。

 上に引用した記事のコメント欄でも、我が事と捉えている方はおらず、皆さん他人事でした。「他人事だけれども、良くない事だから、改善すべきだと思う」というスタンス。自分自身が虐待される立場になる、という可能性を、考えている人はいませんでした。1000件のコメント全部を読んだわけではありませんが。

 この問題が解決しない根本原因はそこにあります。

 弱者虐待は、それを防ぐ事ができる立場の人間にとってはどこまで行っても「他人事」なのです。それが「我が事」となるのは、自分が弱者(子供・高齢者・障害者)になった時で、弱者救済を防ぐ為に動く事は不可能なのです。皮肉な話ですが。

 だから、「弱者への虐待を防止する」事に、本気になる政治家は出ないのです。

 私達日本人は、残酷で利己的な民族なのかもしれません。そうであったとしたら、そういう民族が繁栄するはずはなく、少子化が止まらないのは当然の帰結でしょう。

 他人の痛みを、どこまで自分の痛みと感じる事が出来るか、また、将来自分が被害者になる事を真剣に考慮できるか、そうできる人間が国民の過半数を超えるまで、この問題が解決される事はないと思います。