書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

「母親になって後悔してる」オルナ・ドーナト著

 

 

 著者は、イスラエル社会学者であり、子供を産まない選択をしている女性です。イスラエル出生率は3人との事で、2人をとっくに切っている日本より「子供を産まないと後悔するよ」信仰は、強いと思われます。

 よって、かの国では、この本はかなりセンセーショナルだったそうですが、日本に住む人間としては、「何を当たり前のことを、、、」感が強すぎました。

 正直に書くと、お勧め本では全くありません。論文調でまわりくどく、読んでいて面白くないのと、目次分けされているのに内容が最初から最後まで一緒という驚きの冗長さでして。目次分けの意味、全くないし。最初から最後まで、「産んで後悔した女性」の例を、インタビュー形式で並べているだけです。

 その1つ1つが、新鮮味もなければ、驚きもなく、「そうでしょう、そうでしょう、はいはいはい」という感じ。

 

 しかも、何て言ったらいいのか、著者の態度が潔くないんですよね。学者さんが論文みたいに書いているからだと思うのですが、「母親になって幸せな人もいるし、後悔している人もいる。両方いると私は知っています」とくどくど念押ししてくるところが、イヤだったなあ。読んでいて、「くどい!!!」と叫びそうになりました。

 あなたは「産みたくない派」なんでしょ?だったら、そういうスタンスで書けばいいじゃない。これは論文じゃないんだから、正しく中立である必要はどこにもないじゃん。

 もっと、著者の人間味が出ていたら、著者の本音が出ていたら、面白かったかもしれませんが、終始この著者は、「賢く優秀な学者」の仮面を被って書いているので、まったく面白くなかった、、、。

 

 この本を読んでいて、一番腹立たしかったのは、インタビューに答える母親たちの言葉の中に、繰り返し、こういうメッセージが出てくる事でした。

「母親になった事は後悔しているが、子供たちについては後悔していません。得られた子供たちを愛しています」

 

 なんか綺麗に言っているんだけども、母親になるという事は、「子供の母親である」という状態の事だけではなく、もれなく「子供を育てる」という苦行がセットでついてくるのです。

 上の綺麗事を翻訳すると、「我が子の母親であるというこの状態は喜びだが、子育ては辛い」という事です。

 そりゃそうでしょう。誰だってそう。誰かが子供を代わりに世話してくれて、苦しいことしんどい部分を経済面も含めて全部肩代わりしてくれるなら。誰かが自分の代わりに、子供の過去も現在も未来も全てに責任を取ってくれるなら、母親になった事を後悔する人は皆無ですよ。血を分けた我が子がかわいくない人はいませんよ。

 この本の、良い人間であろうとする保険には、うんざりしました。

 

 でもまあ、この本のテーマ「母親になって後悔している」という事について、少し書きたくて、お勧め本でもないのに、取り上げてしまいました。

 

 私は、母親になって後悔しない女性は、いないと思っています。だって、子育ては苦しいですから。ただただ苦行です。産んだ瞬間から死ぬまで、誰かの母親である事から逃れられません。一生死ぬまでですよ。産んだ瞬間にもう、誰かの母親ではなかった自分には、戻れないのです。結婚は離婚すればいいですが、出産は元には戻れません。

 ご本人が子育てが好き子供が好き、そこに自身の生きがいを感じる場合は、後悔より達成感や楽しさが勝つから、結果「子供を産んで良かった」になると思います。

 でも、楽しさより子育ての苦しさが勝る場合は、「産んで後悔」になる、シンプルにただそれだけの事だと思います。

 

 子育ての苦しさが楽しさより勝るというケースは、色々あって、

子供が極端に育てにくいとか、平均より遙かに劣っているとか、何らかの問題や障害を抱えているという、子供に問題があるケース。

あと、夫が非協力的だったり変人だったり、という家族に問題があるケース。

更に言えば、貧困だったり、シングルマザーだったりという経済的問題のケース。

あと、母親自身が、子供の世話をする能力を持たないというケース。性格だけでなく、母親自身が障害だったり病気だったり、というケース。

 まあ、こんな感じかな。こういう場合は、産んだら後悔する率が高いわけです。勿論、何の問題もないけれど、子育てによって母親個人の自由がなくなり、世話という労働が増える事に苦痛を感じて後悔する、というケースも多々あります。

 

 普通に考えて、当たり前の事だと思うんですよね。

 

 それでもまあ、人間も哺乳類ですから、産んで育てる、という本能があり、あまり何も考えないでいると、す~っと結婚しす~っと出産してしまうんですよね。

 哺乳類動物で、「産むか産まないか」を考える種は人間だけでしょう。野性の動物は何も考えずに産むので。ただ、育てるか育てないかといえば、野性動物にも、多くはないにしろ、育児放棄する個体はいるようですね。

 

 私個人的には、発達障害児が生まれる率が高すぎるので、子供は生まないほうがいいんじゃないかと思います(いつも書いてますが)。

 日本は、福祉に対してお金を出さない国なので、障害児を産んでしまうと、地獄が待っています。障害児に対する責任も義務も、全部母親に押し付けられます。脅すわけではなく、私が妊娠前に、この事実を知っていたら絶対に妊娠しなかったので、つたないブログではありますが、言い続けて誰かの助けになればいいと思って書いてます。特に、ご自身や親族に、あやしい人がいたら、遺伝する率は高いので、子供を持つ時は、よくよく考えて覚悟の上で持たれたほうがいいと思います。

 それだと日本の人口が減ってしまう、少子化が進む、うんたらかんたら言われますが、知ったこっちゃないですよ。こちとら、息子が生まれてから20年、常に死を隣りに感じながら(苦し過ぎる、死んだほうがマシ、今日だけ頑張ろう、明日死のう、と思い続けて)子育てしてきたんですからね。この苦行をしなくてはならない女性は、一人でも少ないほうがいいです。それで日本が消えても、そっちのほうがマシと思います。

 障害児を育てる母親の酷過ぎる苦行の上にしか、国家が存続できないなら、そんな国家は消えてなくなったほうがいいです。

 十万人に一人とか、百万人に一人とかの確率の障害なら、それを心配して産まないというのもどうかと思いますが、発達障害の場合、グレー児を含めると6人に1人ですからね。めちゃくちゃ高い確率です。母親の6人に1人は、死ぬほどつらい思いを、今この瞬間にもしている、という事です。産まなきゃよかったと、全員が思っていると私は思う。いや分かりません。産んで良かったと思っている人もいるかもしれませんが。私は絶対そうは思えないなあ。

 

 そうそう、この本にも、発達障害児を産んで後悔している、という母親へのインタビューがいくつも載っていました。発達障害という言葉は使われていませんが。

 イスラエルにも沢山いるんだな~と思いました。日本でも大変ですが、イスラエルだともっと大変だろうなあ。ああ、気の毒。

 

 なんか変なレビューになってしまいましたが、今日はこのへんで。ではまた~