書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

再びDaiGoさん

 また、DaiGoさんの話を書くのですが。

 私が愛読しているブロガーさんが、こういう事を書いておられました。

一見立派な物言いだけど | 山犬の杜 (ameblo.jp)

 勝手ながら一部抜粋させて頂きます。

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メンタリストDaiGoという少なくとも245万のフォロワーを擁するインフルエンサーが、ホームレスや障害者といった人たちを「●ろしてしまったほうがいい」と発信するのは、その圧倒的な数で社会的弱者を襲撃しようとしているのと何も変わらない。 

 

245万人のフォロワーにとって偉大な偶像あるいは教祖であったメンタリストDaiGoのしたことは差別でもなんでもなく…ただの殺人教唆です。

 

その重大性がわからないおめでたい連中だけが擁護に回っているとしか見えません。

 

邪魔だから、目障りだから、ころしてしまえ。そんなことを平気で口にできる彼らのような、この国の社会システムを知らず、知ろうともしない狂人たちが標的とする社会的弱者には「失敗から学び、再出発できるチャンス」は無いのでしょうか。

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 仰る事はその通りで、全て共感なのですが、ですが私は一つだけぽつりと違和感を覚えてしまうのです。

 確かにそうよ、その通りだけど。

 ずっと弱者の母親として、人生のどこかで常に「死」を覚悟しながら生きてきた身としては、このブログの文章は、「きれいごと過ぎないか」と感じてしまうのです。

 だって、過去も、現在も、未来においても、日本における弱者というのは「緩慢な死」に追いやられていく存在だからです。自殺率が一番高い国です。

 確かに誰も、弱者に対して「死ねばいいのに」とは言いません。障害者の息子だって、誰かから「死ね」と言われたわけではありません。

 でも、普通に生きていたら、弱者は死ぬしかない状況に追いやられてしまうのが、この国の有様です。それを、誰も改善しないし、今後も改善しない。おそらく、もっと悪くなっていくでしょう。

 生活保護受給者やホームレスの方々の中には、かなりの割合で知的障害者精神障害者が含まれています。弱者は、どれだけ一生懸命真面目に生きていたって、複雑で狡猾な社会システムから排除されてしまうのです。弱者は、能力的に、この社会で生きていく事が困難なのです。そういう社会を改善しないという事は、遠回しではありますが、「弱者は死んでも構わない」と考えているのと、一緒です。

 確かに、DaiGoさんの発言は間違っているけれど、弱者を緩慢な死に追いやるこの社会システムを改善する必要性を感じないこの国の国民全員が、DaiGoさんと同じ精神性を持っていると、私は感じています。だから、DaiGoさんを特筆して責める気にはなれないのです。

 私は過去記事に繰り返し書いていますが、息子には障害があるので無事に生きていけるかどうかは危うく、計画通りに生きていけない場合は、安楽死させてやりたいと思っています。障害者に限り、安楽死を許して欲しいと心から思います。息子だけを死なせるわけにはいかないので、その時は私も自死します。過去にも何度も二人で死にかけて、その都度踏みとどまり踏みとどまり今があります。助けを求めても、誰も助けてはくれなかったですよ。自分達だけでした。

 DaiGoさんから「死ね」と言われなくたって、死ぬしかないんですよこの国の弱者は。

 直接「死ね」と言うのと、死んでいくのを見ながら助けないというのと、何がどう違うのか私には分かりません。

 

 ただまあ、DaiGoさんが一つ勘違いされていたなと思うのは、この国の社会保障の9割が、高齢者対策と医療に使われます。DaiGoさんが収めた税金も、だから、ほぼ生活保護には使われません。税金は、高齢者の為の年金とか医療にほぼ使われています。社会保障費の中では、生活保護とか障害者支援とか、本当に微々たる割合です。だからDaiGoさんも、「僕の税金が」と気にされる必要はないと思います。

 社会保障費の大半が、高齢者や医療に使われる事、弱者支援には使われない事を、この国の多くの国民が由としているわけです。自分は高齢者だから、もしくはいずれ高齢者になるから、医療は自分も使うから、税金の使い道の割合はこれでOKだと。自分は弱者ではないので、自分の税金を弱者支援には使われたくない、何か損した気がする、と。そういう人達がDaiGoさんの発言を、殊更責め立てる意味が私には分かりません。

 まあ、政治がらみになってきますとね、物事こんな単純な話ではありませんが。

 

 上にご紹介したブロガーさんは、「社会的弱者には『失敗から学び、再出発できるチャンス』は無いのでしょうか」と書いておられますが。

 うん、無いんですよ。と私は答えたいです。

 現状で言えば、弱者はこの複雑で狡猾な社会では必ず失敗しますし、失敗したら後は落ちていくだけで、救われる事はないのです。これが私の答えです。そして、弱者は死ぬしかないこの国の現状を維持している国民に、DaiGoさんを責める権利があるのでしょうか、と思います。

 これが、私の、ぽつりと感じる違和感です。私の意見が間違っていたらすみません。弱者の側から見れば、今回のことはそんな風に見える、という事です。

 

*参考:

社会保障の国際比較研究」より。(60頁)

「日本の社会保障の全体像については、「年金」が最大で53兆623億円(49.4%)、次いで「医療」が34兆634億円(31.7%)、「福祉その他」が20兆3692億円(18.9%)となっている。なお「福祉その他」のうち、介護対策が7兆8881億円(7.3%)となっている。(中略)政策分野別に見た社会支出の構成割合は、日本は諸外国に比べ「高齢」のウェイトが際立って高い。日本は社会保障に占める「年金」と「医療」の割合が伝統的に高いことが大きな特徴であると言えよう」