書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

初めて経験したドクハラ①

 昨日書いていた「大きな溜息」の原因について、今日は書きたいと思います。

 私は身内のほとんどが医者だという事もあり、病院やドクターに良いイメージしかありません。病院にかかる時はたいていは身内の紹介で行きますし、そうでない時も、ひどい医者に当たった、という事が一度もなく、この年までやってきました。

 今回、それが、どんなに幸運であったのか、身をもって知る事となりました。

 今回経験したドクハラは、私にとって深いトラウマになりました。食欲が落ち、朝起きても気分が悪く、頭も重く、精神をやるというのはこういう事か、と思いました。下手するとこのまま落ちてしまうだろうと、怖くもなりました。

 

 さて、どういう事があったかというと。

 以前、このブログで、歯の詰め物が取れた、というお話を書きました。

 その詰め物は、3年程前から通っている歯科医院で詰めてもらったものでした。その歯科医院の名前を仮にA歯科、そして、私の担当医でもあるそこの院長をA医師とします。

 詰め物が外れた翌日はA歯科の休日だったので、その翌日朝いちで予約を入れ、取れた詰め物を持参し、A歯科を受診しました。診察は順調で、詰め物の下の歯が虫歯になっていたので、詰め物が外れたとの事。なのでその虫歯を削ってもらい、新たに詰め物を作る事になりました。型取りをしてもらい、テンポラリーでゴムの詰め物を入れてもらい、その日は終わりました。

 その時は特に問題もなく終わりました。

 問題は、次の診察の時でした。

 詰め物が出来上がっており、A医師は私の歯のテンポラリーのゴムの詰め物を外し、横についていた若い女性の助手さん(仮にB助手)に、「Bさん、後は分かるね」と言って、別の患者さんの所に行ってしまいました。

 横になったままの私は、「治療の途中で何だろう?」と少し不思議に思いました。そしたら、B助手が私の右側(ドクターの位置)に来て、「では、詰めていきますね」と詰め物を手に取ったのです。

 は?助手さんが、そういう事するの? え?

 私は今まで、助手さん(何の免許もない、歯科衛生士ですらない素人さん)に、詰め物を歯にくっつける治療行為を、された事がありません。なので、その時は、それは違法行為ではないのか、という考えすら全く浮かばず、ただ不思議だ、どうして?と疑問だけは湧いていました。

 しかも詰める歯の位置は、一番奥の、上の歯なのです。プロがやっても難しい場所です。しかも一回詰めたものが、虫歯が出来たので落ちて、今回二回目なので、穴も大きいし、形も複雑です。薄い金属をふわっと乗せる、みたいな処置ではなく、かなりの大きさの金属を、かっちりはめ込むという作業です。こんな若い素人さんに、間違いなくできるのか? 一瞬で私の胸に不安が沸き上がったのです。

 助手さんは、まさに詰めようとしていたので、私の頭に疑問が沸いて、その疑問を実際に口にするまでに、ほんの数秒しかありませんでした。

「え? 先生がされるのではないのですか?」

 私が思わず発した質問に、B助手の手が止まり、顔色が変わりました。その直後、その存在に全く気が付かなかったのですが、私の左にいつの間にかいた年配の女性(助手か歯科衛生士かは不明)が、私の声にかぶせるようにとても早口で、「あ、分かりました」と言って、B助手に目配せされました。

 あっという間に、B助手とその年配の女性がいなくなり、私はぽつんと残されました。

 B助手が私の右側に来てからのこの一連の流れ全体で、1分かからなかったと思います。

 その後、歯に穴をあけられた状態で、誰からも声をかけられず、私はしばらくそこに放置されていました。

 しばらくしてA医師が私のところに戻って来て、来るなり「詰め物なんて、誰が詰めても同じなんですけどね」と言ってこられました。

 いや、、、、そうかもしれないけれど、接着剤でつけるわけだし、一度つけたら外せないのだから、素人にされて具合が悪かったら怖い、、、、こういう患者側の気持ちはどうでもいいの? と思いましたが、A医師のものすごい怒りと威圧感、私への激しい嫌悪感がばーっと伝わって来て、私は何も言えませんでした。

 想像して下さい。私は、ただでさえナーバスになりがちな歯医者の椅子にあおむけに横にならされていて、口の中には削られて穴のあいた歯があり、それを詰めてもらわないと帰れない状態なのです。これから私に治療を施そうとしている医師は、私に対してものすごく感情的に怒っていて、彼の手には、私をいかようにも傷つける事のできる先の尖った器具が沢山ある。

 言葉もなく私が固まっていると、更にA医師は、私のカルテを手に取り「待ちたくない、って書いてありますね」と言ってきました。

 はい? そんな事、一度も言った事がありませんが。そんな非常識な事を、病院で言うわけないです。完全な嫌がらせ、嫌味。A医師は、周囲の人に、私が自分勝手でおかしなクレーマーなのだという印象を与えようとしている事がわかりました。

 「そんな事は言っていませんが。何かの間違いだと思います」

 これは言わなければと思い、それだけはハッキリ伝えました。A医師は「あ、そう。じゃ、誰かこれ消しといて」と私のカルテを、ポンとそこに投げました。投げたんです。そして、院内の誰も、それを拾いませんでした。なんだこの状況。

 A医師はものすごく雑に私の詰め物の金属を手に取り、金属自体も、歯の詰める穴も、全く消毒する事もなく、パパっとくっつけてしまいました。その間1分ほど。そして、何も言わず消えていきました。

 B助手がまた私の右横に来て、これまた何も言わずに詰め物の周囲の余分な接着剤をはがし始めました。

 すると、消えた筈のA医師が、すごい勢いで戻って来て、B助手に「取れた?」と聞きました。B助手は「内側がまだです」と答えたら、A医師はB助手に、どけと言わんばかりに押しのけ、また何も言わずに私の口に器具を突っ込んで、ものすごく乱暴にガリガリと接着剤をはがし、ものの30秒でそれを終え、かみ合わせを見る為に紙を口に入れ、一回だけかみ合わせをチェックして少しだけ削り、終了。全てで3分かかっていません。

 そして、私は診察室から出されました。

 意味が分かりません。口の中はものすごい違和感で、接着剤のセメント感がまだすごう残っており、がりがりしていました。洗面所でとりあえず口をゆすぎ、ここで文句言ってももうどうしようもないと思い、その日は帰りました。

 

 家に帰ってすぐに、知り合いという知り合いに電話して、良い歯科医院を尋ね回りました。とにかく、詰めた所の違和感がものすごく、肩も頭も痛く、ひどい状態だったのです。電話しまくって分かったのですが、誰も、完全に満足している歯科医にはかかっていないようでした。「まあまあだと思うけれど、人に勧めるほど良いとは思えない」という人ばかり。それで、駄目もとで神戸の母に電話しました。最悪神戸まで通おうと思ったのです。

 そしたら、奇跡。

 神戸の母が、お稽古番長である事はお伝えしておりますが、私が電話したちょうどその日も、朝からあるお稽古に行っていて、そこのお友達が、その日、歯医者さんの話をしていた、というのです。その人は、以前大阪に住んでいて、とても良い歯医者さんにかかっていたのだけれど、最近神戸に引っ越してきて、良い歯医者さんが見つからずに困っていると。

 私はすがる思いで、母に、「そのお友達に、その大阪の歯医者さんの名前、教えてもらえる?」と聞きました。母はすぐに、そのお友達に電話してくれて、あっという間に返事が返って来て、聞いた歯科医院は私の家から30分ほどのところ。地下鉄で通えます。その日はもう時間が遅かったので、翌日予約の電話をし、その翌日朝いちの予約が取れました。

 そして、母のお友達からの紹介の歯科医院(仮にC歯科)に行きました。

 

 結論から言うと、C歯科は素晴らしい歯科医院でした。担当して下さったドクター(仮にD医師)は、40歳手前の女医さんで、とても丁寧に説明して下さり、何より親身になって対応してくれました。病院内も、すべて個室で、一人の患者に30分以上の時間を割き、その間担当医は同じ患者にずっとついていて、席を離れる事はありません。モニター等の設備も最新式で分かりやすく、自分の状態を見る事が出来ました。

 「二日前に別の病院で詰めてもらった詰め物が調子がおかしい。どこがどうおかしいのか分からないのだが、見てもらえますか?」とお願いしたところ、私の詰め物を見たD医師は、「え」と驚愕しておられ、「まずは写真で見て下さい」と私の詰め物を撮影し、目の前の画面に出して下さいました。

 その画面を見た私は、吐きそうになりました。

 詰め物の周囲に、大量の接着剤ががっつり残っているのです。接着剤は不透明な白い塊で、特に、隣の歯との間を埋めるかのようにくっつていました。

 「違和感は、この接着剤のせいの可能性があります。歯というのは普通、多少口の中で動いているものですが、接着剤がこうやって、2つの歯を固定してしまっているのです」

 そのおぞましい画像を眺めながら、私は泣きそうになりました。

「この接着剤、取れますか?」

 D医師は、

「二日前に詰められたのですよね。二日たっていますので、もうがっちり固まっているので、なんとも言えません」

 私は、

「取れなければ、もう一度、詰め物を削って取り出して治療をやり直さねばならないですか?」

「最悪は。でも、そうならないように、出来る限りやってみます」

 D医師はそう言って下さり、ものすごく時間をかけて、とても丁寧に、私の詰め物の周囲に残った接着剤を、削りとって下さいました。特に、歯と歯の間の接着剤を取る時は、とても大変で、最後は器具ではなく手で少しづつ削るという感じで、とても神経のる大変な作業だっと思います。なのに、私には一切痛みを与える事なく、少しでも痛みを与えそうな時は「すみません、少しチクッとするかもしれません」と声をかけて下さいました。その手の動きが、とても丁寧で繊細で、安心して任せる事ができました。

 そして、このD医師の親切で誠実な処置のおかげで、私の歯から、接着剤は全て取れました。D医師が「全部取れましたよ」と言って下さった時は、心から安堵しました。

 と同時に、こんな無茶苦茶な処置をしてくれたA医師に、怒りが湧きました。

 確かに私の不用意な一言が、A医師には失礼な言葉だったのかもしれませんが、そもそも何の資格もない素人助手が、患者の口の中の処置行為を、することは、法律で禁じられています。

 詰め物の型を取る行為は、まだ許せる。A歯科医院では、これも助手がしていましたが、私はこれはまだ許せるので、何も言いませんでいた。でも、詰め物をくっつける処置は、失敗したら許されませんから、これは医師がせなばならないと思います。

 しかも私は、「先生にやって欲しいです」と要求したのではなく、「先生がやってくれるのではないのですか?」と尋ねただけです。何か正当な理由で助手の人がやっても良いのであれば、そう説明してくれれば良かった。

 それを、感情的に怒り狂い、雑で恐怖しかない処置をされ、こうやって別の病院で後始末してもらう羽目になった。

 私はD医師に心の底から感謝すると同時に、D医師への感謝の念の深さと同じ量、A医師に対する怒りが心の中で爆発していました。

 長くなるので、一旦ここで終わります。続きは次回に書きます。ここまで読んで頂いて、有難うございました。