発達障害児を育てている親にとって、性教育をどうするのかは、大きな問題です。
健常児なら、親が教えなくても、友達同士で、また何らかの情報を自分で探して、そのへんはクリアしていくものです。勿論、健常児でも親がきちんと教えてあげるほうが望ましい。でも、健常児は、親から教わらなくても自力でなんとかするのです。
でも、発達障害児は自力ではどうしようもない。
友達がいない、自分でもさして興味がないので情報を探そうという気もない発達障害児は、親が教えない限り、性関連に無知なままで大人になってしまいます。結婚するしないに関わらず、性的なことについて、誰かを好きになる気持ちについて、何も知らされないまま放置されることは、とてもかわいそうだし、同時に、とても危険な事です。
とはいえ。
性教育を親が子供に丁寧に教える事は、正直、本当に嫌なことです。心のハードルがめちゃくちゃ高い。本能的に生理的にとても嫌です。親はなんとかそのへんはスルーして、素知らぬ顔で生きていたいものです。でも、発達障害児相手にそうはいかない。
私もいろいろ悩んだ末、本を利用して教えようと思いつきました。私が使った本はコチラ↓。
イラスト版 発達に遅れのある子どもと学ぶ性のはなし: 子どもとマスターする性のしくみ・いのちの大切さ
- 作者:伊藤 修毅
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 単行本
この手の本は何冊か出ているのですが、アマゾンであれこれレビューを比べ読みして、この本が一番教えやすいかなと思い、買ってみました。
この本は、小学生向けに書かれているようですが、18歳の息子にも使えました。イラストが多くて、視覚優先の息子にも理解しやすかったようです。
特にこの本が良かった点は、口では説明できない男女の性器の写真(模型)があるので、説明しやすかった事。親が子供に性教育をする時に一番高いハードルは「性行為とは具体的にどういう事か」だと思いますが、イラストとはいえ性行為の具体的な絵があり、とてもとても!説明しやすかったです。
性行為だけでなく、性器の発達や性病予防、避妊、についても具体的に分かりやすく書いてあるし(なんせ対象が小学生なので)、性行為以前の精神的な変化、恋やときめき、相手とどう付き合うのか、やってはいけないこと、等についてもわかりやすく書いてあります。制度的な問題、結婚や離婚についても載っています。また、生理や妊娠出産の経緯、子育てとはどういう事か、等も具体的に載っています。発達障害の女の子にも役に立つと思います。
この本がなければ、やっぱり、ぼんやりとした「おしべとめしべ」とか、「精子と卵子が」とかの抽象的な説明でお茶を濁してしまい、子供は性行為の具体的イメージがわかないままに、終わってしまったと思います。
私はこの本を使って、息子にある程度しっかり教えられました。教えるまでは、「教えるの嫌だな」とものすごく憂鬱だったのですが、教え終わった後は、その分達成感があり、ほっとしました。
教わっている方の息子は、終始淡々と聞いていて、恥ずかしがる事もなく、妙に構える事もなく。私から、英語や化学を教わる時と寸分違わぬ態度で、時折質問を挟みながら、ちゃんと理解していってくれました。
本で教える良さというのは、本が残るという事です。口頭だと、教えたらそれで終わりになってしまいますが、本は置いておけるので、また疑問が出てきた時に、取り出して確認できます。とにかく具体的なイラストが本当に助かりました。
息子に聞いてみたのですが、この手の事は、学校でも教わらなかったそうです。先生も教えるのが嫌だったのでしょうね。その気持ちはよく分かる。学校で教えてくれればいいのに、というのは親のエゴで。これは親が責任持って教える事です。
というわけで、発達障害児への性教育どうしよう?と悩んでおられる方に、もしよろしければ、という本のご紹介でした。
ちなみに私自身はこういう事は、親から一ミリも教わりませんでした。だから、人生のところどころで結構困った記憶があります。教えたくなかった親の気持ちも分かるので、恨みに思うほどではありませんが、「スカートの丈」とか「髪型」とかについて細かく駄目出してくる暇があれば、性教育についても少しぐらい教えてくれても良かったのに、、と思わないでもありません。
親に対してそういう気持ちがあったので、自分は我が子に対しては、性教育ちゃんとしてあげようと思っていて、ちゃんとしてあげられて、良かったなと思っています。