定期的に有名人の不倫騒動が勃発し、そのたびに必ず出てくる言葉がコレ「他人の家のことは放っておけ」。
不倫で叩かれている人物を、擁護する目的で言われる言葉だと思います。
不倫なんてその家の問題なんだから、他人が横からどうこう意見すべきじゃない、というご意見。ある意味ではその通りだと思うのですが、ちょっと雑だなとも思う。
そもそも「不倫」と一言で言っても、否定されている部分というのは実は、「不倫行動そのもの」ではないと思うから。
不倫なんて、古今東西したい人はしているわけです。不倫が存在しない世界なんて有り得ないです。何が問題になるのかといえば、不倫行動そのものではなく、それを配偶者にバラしてしまう行動、の方です。
もちろん、ご夫婦で「お互い不倫OK」という了解が得られているなら、何の問題もないし、それこそ他人が口出しする事じゃないです。叩かれてしまうのは、そういう了解がないにも関わらず、配偶者に不倫した事をばらしてしまう行為です。
不倫をしても、配偶者にも世間にも隠し通し、不倫自体も永遠に続く事は稀なので終わる時も相手と穏便に別れ、不倫したという事実を墓場まで持っていく、これが不倫のマナーです。こういうマナーを守っている人は、たとえ不倫していても、別に叩かれない。誰にも気付かれないし、よって誰をも傷つけないからです。
叩かれるのは、不倫を配偶者にバラしてしまう行為です。そこがマナー違反だと叩かれている。
不倫を配偶者にバラしたとしても、それだとて家庭内の問題だから、他人が口だしすることはない、というご意見なのでしょうが。世間の人もわざわざ、不倫した本人の前まで行って、胸ぐら掴んで「いい加減にせーよ」と怒りをぶつけるわけじゃない。不倫のマナーを守らない人を見て、不愉快だと感じ、不愉快だと発するだけです。
マナーを守らない人を見て、不愉快だと感じることは、それは個人の自由なんじゃないかと私は思います。
社会には沢山のマナーがあって、マナーとは、人と人がお互いに嫌な思いをせずに暮らす知恵です。だから、守らない人を見たら、自然に不愉快に感じるわけです。社会生活の安全が脅かされると感じて。
たとえば、咥えたばこで混みあう道を歩いている人を見たり。混んでいる電車で足を開いて二人分の席を占領して座っている人を見たり。このご時世、マスクもせず盛大に咳き込む人を見たり。
「わっ！」と思うし、近づきたくないし、止めて欲しいなと思う。自然なことで当たり前の感情だと思います。
それと同じで、不倫を配偶者にバラしてしまう人を見たら、誰しも「わっ！」と思うし、止めて欲しいなと感じます。何故なら、不倫は一生涯隠し通すもの、というマナーがあるからで、マナー違反を不愉快に感じない社会になってしまう事が、不安だからです。
「不倫はいいよ。でも、最低限隠そうよ」というマナーが守れない事が、別に何の問題にもならない社会になる不安。それが嫌だから、強く不快感を感じ、「不快である」と発信するわけで。これのどこが悪いのか、分かりません。
他人の家の問題に口をつっこんでいるわけじゃなく、「そういう事が不快だ」と発信しているだけだから。そういう発信が世論を構成し、不倫のマナーをみんなが再確認するわけです。誰も不快感を発信しなければ、不倫のマナーは変化していきます。やったもん勝ち、個人の自由、配偶者が傷ついても構わない、それでもいい、という人が多いなら、そうなっていくでしょうし、それでは嫌だ、という人が多いなら、やはり不倫がバレたら叩かれるという世情は変わらないでしょう。
不倫したい人は、すればいいと思うのです。個人の責任で。ただ、配偶者にバラさない事、これだけを厳守すれば何の問題もない。逆に、これが守れない人は、不倫する権利はない。それだけの事です。と、私は思います。
これを「社会が不寛容になっている」とか言って批判する人がいますが、じゃあ逆に、何でもかんでも「OK」にすべきなのかな？と私は疑問に思います。何でもかんでも「いいよ、いいよ、問題ないよ」で流し、「問題あるけど、私には関係ないし、しょせん他人事だから意見しないね」と口をつぐむ事の積み重ねが、あたたかい住みやすい世界を作っていくのかなあ、本当に？と疑問に思ってしまいます。
もっとシンプルに、不快に感じたら不快だと発信していいんじゃないの？と思うのですが。というかまあ私は、嫌だと感じたら嫌だと言いたいです。
少し前なのですが、岡村隆史さんがご自身のラジオ番組で、「不倫ってこんなに悪いことやったんかな。昔は、不倫がバレてもここまで叩かれてなかったと思うんやけどな」と発言しておられました。
つまり、岡村さんは、「昔の世情が正解」という前提に立って発言しておられるわけです。
でもさ。それもどうなのかなと思うわ。何でもかんでも「昔が正解。現代が間違い」とする傾向、おかしくないですか？
昔こそが間違っていたのかもしれないじゃないですか。違いますか。
不倫がバレても叩かれない、という昔の世情がおかしかったわけで。今の世情が正しいのかもしれないと、なぜ、岡村さんは考えないのかな。
というのも。不倫がバレてもさほど叩かれない、という昔の傾向って、男性に限られていたからね。男の浮気は甲斐性のウチ。みたいな。芸能人なら、女遊びは芸のこやし、みたいな。
でも女性の不倫には、おそろしく不寛容でした。処刑されたり、夫から暴力をうけて殺されても文句言えなかったり、そういう国もありました。
それはおかしいでしょう。どう考えても。
だとしたら、男性も女性も平等に、不倫がばれたらアウト、という今の世情は、男性も女性も平等という部分においては少なくとも、昔よりは正しい気がしますけど。
岡村さんは好きだし、ラジオもよく聞かせて頂くのですが、時々「ああ、独身男性なんだなあ」というご意見があります。それはそれでいいんですけどね。それも個人の自由なので。ただ、ああ独身男性なんだなあ、家族に対する責任なんて背負った事がない人のご意見なんだなあ、と思いました。
これも芸人さんですが、松本さんが「結婚したら浮気でけへんのなら、モテる男は結婚なんかできへんやん」と言っておられましたが。
いや、浮気はされたらいいと思う。ただ、世間にも配偶者にもバレないように、されたらいいだけです。松本さんほどの知恵と財力のある方なら、何の問題もないでしょう。もうされていて、牽制の為の発言なのかもしれませんが。本音の部分では、若い綺麗な女の子と浮気しても、それを世間に公表できないのなら（どや。俺、まだまだモテるねんで）、浮気の醍醐味がない、という事なのかもしれませんし。本当のところは分かりません。松本さんの場合、奥様は結婚当初から浮気公認だそうですから、世間の目からのみ隠せれば良いのだから、より簡単だし、罪悪感も持つ必要がないでしよう。万一世間にバレたとしても、奥様公認ならさほど叩かれないでしょう。
まとまりませんが、ここで終わります。
