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「子は親を救うために『心の病』になる」高橋和巳著

 

子は親を救うために「心の病」になる (ちくま文庫)

子は親を救うために「心の病」になる (ちくま文庫)

 

  本屋さんで、平置きになっていて、気になっていた本です。三か月くらい、ずっと同じ場所に平置きになっていて、よく売れているのか、いつも残り冊数が僅かな状態。あまりに気になるので、買ってみました。

 著者は、都内でクリニックを開業している精神科医。1953年生まれ。東京医科歯科大の精神科勤務を経て、開業されたそうです。著作も10冊を超えています。

 

 この本で書かれているテーマは3つ。

<1>子供が不登校になる原因理由

<2>親が子供を虐待する原因理由

<3>心の成長の仕組み。最終的に辿り着く所とは。

 

 1つづつ見ていきます。

 まず<1>。

 子供が不登校になる原因理由は、①子供が発達障害である、②子供が精神障害である、③親子関係に問題がある、の3つだそうです。

 ①子供が発達障害の場合、障害が重いと、小さい頃に親が気づいて子供は適切な治療や教育を受けられるので不登校にはなりません。が、障害が軽い場合は、障害に気づかれないまま健常者と同じ教育を受ける事になります。すると、小学校高学年になる頃には、授業や友達関係についていけなくなり、不登校になるそうです。よって発達障害からの不登校は、小学校高学年から中学にかけて、つまり十代前半が多いそうです。障害の内容と程度を正しく理解し、その子にあった教育環境をととのえることが必要です。

 ②子供が精神障害の場合、原因となる病気は統合失調症がほとんどだそうです。この病気は、思春期になって脳神経のある部分の物質代謝がうまくいかなくなって起こります。初めは理由もなく人を避けるようになり、ついで幻覚や被害妄想が出て来ます。原因はまだ十分解明されていませんが、細胞の代謝にDNA異常があるそうです。本人にも親の育て方にも責任はなく、脳機能の病気なので、疾患の治療が第一となります。これは、高校生から大学の頃、十代後半から二十代に発症するそうです。

 ③親子関係に問題がある場合、子供は親の影響で不登校になることがあり、これを①②のケースと区別して「社会的引きこもり」と呼んでいるそうです。この本では、この③のケースを中心に書かれています。

 

 ここまでの段階で、「子供の不登校は、親が変われば解決する」というよくありがちなアドバイスは、雑過ぎるという事が分かります。

 なぜならば、子供の不登校の原因が③ならば、親が変われば解決しますが、原因が①や②なら、親の対応が変わっても、何ら解決しないからです。

 「子供が不登校になるのは、親の子供への過干渉のせい。親が子供に干渉するのを止めて、自分の人生を楽しめば、解決する」というよくありがちなアドバイスに、私はいつも違和感を感じていたので、この本を読んで「やはり」と納得しました。  

 

 

 次に<2>親が子供を虐待する原因理由について書きます。

 上の③、親子関係の問題について、この本では様々なケースが書かれていますが、その中の1つに、虐待があり、かなりの分量を占めているので、特に取り上げて説明します。

 児童虐待とは、親の不満や怒りのはけ口が子供に向かってしまった結果としておこるそうです。子供が親の抱えている心の問題の「犠牲」になるのです。まだこの世界の生き方を知らない子供は混乱し、自分は歓迎されていないと理解し、生まれてきたことを後悔し、産んでくれなければよかったのに、と思う。最初から否定された人生が始まるのです。

 親の抱えている心の問題、つまり児童虐待の原因は、大きく分けて2つあるそうです。

 まず①親に、発達障害精神障害がある場合です。障害故に、親が子供を十分にケアすることができず、多くの場合ネグレクトが起きます。性的虐待が起こる事もあるそうです。

 また②親の心理的ストレスが原因で起こる虐待もあります。虐待されて育った子供が母親になって、今度は自分の子を虐待するという「世代間の連鎖」が問題になるのはこの場合です。

 二つの原因をきちんと分けて扱う必要がある、と著者は強調しています。なぜならば、対応の仕方がまったく異なるからです。

 ①の場合、親の障害の治療が優先されます。それを行わないと虐待はなくならないし、程度が激しく子供に危険が迫っていれば、母子分離する必要も出て来ます。

 ②の場合は、親のケースワークや心理的ケアが重要になってきます。投薬などの治療ではなく、親の持つ生活苦や孤立などへの福祉的援助や手助け、ストレスを軽減するカウンセリングなどです。

 

 長くなるので、記事を分けます。<3>については、次回に書きます。