書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

我が家の残念な平和の形

 前回の記事の続きです。

 夫から謂われない理由で責められてパニックになった息子ですが。翌朝は多少神経質な感じは残っていたものの、無事に登校しました。神経質な理由というのは、夫から責められた事ではなく、私の機嫌を損ねた事にあるようでした。つまり、「お母さんが怒っているのではないか。自分がお母さんを怒らせたのではないか。お母さんは、今はもう怒っていないかどうか」を、ずっと探っている感じ。私は「怒っていない。大丈夫」と連発し、息子は登校して行きました。

 で。学校から帰って来てから、です。息子は、「僕、考えたんやけど」と言いだしました。

息子:「僕、お父さんがこの家から出て行けばいいと思ったんやけど。よく考えたら、お父さんは出て行きたくないやろうし、お父さんがこの家を出て行くのは無理やろうと思う」

私:「そうやね」

息子:「でも、お父さんはいつも嫌な事を言ってくるから、それが嫌」

私:「そうやね。お父さんは、人が嫌がる事をわざわざ言う悪い癖があるんよ。お母さんも何回も止めるように言ってるけど、癖だから止められないみたい。だから、お母さんは、できるだけお父さんとは話さないように気を付けてるよ。お父さんが家に居る時は、できるだけ自分の部屋にいるようにして、お父さんと顔を合わせないようにしてる。だから、最近はお母さんとお父さん、喧嘩してないでしょ」

息子:「うん。ここ一年ぐらい、お父さんとお母さん、喧嘩してない」

私:「そうでしょ。お父さんと話さないように心がけているからよ」

息子:「僕も、お父さんと話さないようにする。お父さんが帰って来たら、自分の部屋に行くようにする」

私:「それがいいわ。そしたら、お父さんから嫌な事を言われる危険が減ると思う。お母さんからも、お父さんには『〇〇君(息子)には言う必要のない嫌がらせは言わないように』よくよく注意しておくから。そしたら今後は、大丈夫と思うわ」

息子:「分かった。そうする」

 ということで、一件落着というか、一応の解決に至りました。

 

 息子は基本的に、情緒の落ち着いた子供で、いつも機嫌が良く扱いやすい子なのですが、ある状況になると、パニックを起こします。その状況というのはごく限られていて、今現在分かっているのは3点です。

 一つ目は、私と夫が喧嘩した時です。私と夫が、少しでもきつめの言い方で会話しただけで、息子はワナワナし始め、「止めて止めて」と大騒ぎしだします。私がどれだけ注意して生活していても、夫が私の落ち度を見つけて嫌みを言う癖は治らず、その嫌みが正当なものであれば私も反省して終わるのですが、不当な言いがかりだとそのまま受け取るわけにはいきません。言い返す事になり、そうすると息子がパニックになる、という流れ。それで、夫とはできるだけ話さないことにしました。夫が家にいる時は、私は自室にこもる事にしています。そうすると、夫がどうしても私に何か言いたい時は、私の部屋に来る事になり、そうすると、夫が多少嫌みを言ってきても、息子に聞かれる心配は減ります。私と夫がリビングにいて、何気なく会話している時に、ふいに夫から嫌みを言われて私が言い返す、という危険が減るわけです。私も、息子のいる所では夫には何も言い返さない、と決めているのですが、つい油断して言ってしまう時があり、そうすると息子がパニックになって大変なので、とにかく夫を避ける、という手段で、息子のパニックを防いでいます。

 二つ目は、息子が学校を休みたいと言った時に、私が「休んではいけないよ」と言うと、息子がパニックになる、というケースです。というか、ケースでした。というのも、これは高3になってなくなったからです。息子は、担任の先生の休みの日だろうと、慣れない行事がある日だろうと、学校を休みたいと言いださなくなりました。むしろ、学校が好きで、できるだけ行きたい。行事も楽しい。そんな風に変わりました。なので、高3になってから、まだ一度も休んでいません。行事ごとですら全部参加で。無理やり「行け」と言っているわけではなく、本人が「休みたい」と言わないのです。なんなら、「高校がもう終わるのが寂しい」と言いだす始末。なので、二つ目のケースはもう考えなくてよさそうです。

 三つ目は、前回の記事に書いたような、夫が息子に嫌がらせを言うケース、です。夫は、人をくさしたり、責めたりして、面白がる悪癖があり、それを息子にも平気でやってしまうのです。健常者である私でも、とても不愉快な気持ちになるぐらいなので、息子には耐えられないのも理解できます。夫には、そういう事は止めるように、散々注意しているのですが、癖になっていて止められないようです。また、本人も「ふざけているだけなのに。このぐらいのおふざけが我慢できないようでは、社会に出てやっていけない。社会に出て困らないように、今から免疫をつけてやっているんだ」ぐらいな気持ちでいるようで、だから止めないのだと思います。

 この三つ目のケースについては、なので、息子自身が「お父さんを避ける。お父さんとは話さない」と決めました。「嫌な事を言われるから、お父さんが帰って来たら、自分の部屋に行くようにする」と。これで、3つ目のケースも、かなり減ると思われます。

 

 夫は、悪い人ではありませんが、発達障害について理解しようという気があまりない。夫は「自分がやって楽しくない事はやらない。避ける」という性格である為、そうなるのです。夫だけでなく、私の母もそうだし、姉もそうです。彼等は健常者だと私は思うので(観察していてそう思います。発達障害者ではないです)、彼等の場合は、息子と違い、「出来ない」のではなく、「やらない」。障害ではないけれども、自分勝手の度が過ぎる面があると感じます。

 彼等は、「障害」というものが嫌過ぎて、「障害」というものに関わりたくないのです。よって、「障害」について勉強もしない。母はともかく、姉は娘が発達障害なのにも関わらず、発達障害について一切勉強していません。本一冊読んでいないし、通院にもついていきません(姪っ子が一人で行っているそうです)。夫も同じ。息子が発達障害だというのに、発達障害について書かれた本一冊読んだ事がなく、通院にもついて来た事が一度もありません。小さい頃から、息子は、児童相談所、病院の発達外来、様々な療育機関に、沢山通い続けていますが、夫はただの一度も、そういう所について来た事がありません。関わりたくない、直視したくない、のだと思います。

 夫も姉も、自分は健常者であり、障害とは無縁で生きていたいのだと思います。そのほうが気楽ですから。障害に関わるのが面倒なのだと思います。考えるのも面倒で嫌なのだと。

 とはいえ。

 そういう人に、それを治すように言ったところで、治してくれるはずは絶対ないので。相手を変える、という事は無理なのです。相手は絶対に変わりません。変える事ができるのは、自分だけです。

 となれば、迷惑をかけられる私達の側が、夫を避けるしかありません。残念ながら。

 とはいえ、私も息子も夫と普通に穏やかに会話もするし、笑いもするし、和やかに生活はしているのです。でも私達は、リビングでの用事を終えると、速やかに自室に消えます。夫は気が付けばリビングにぽつんと一人、という。それが我が家の平和の形になってしまいました。

 不幸な事かもしれませんが、息子をパニックにさせない為には、こうするしか方法はありません。

 夫が、「息子はどういう時にパニックになるのか」を理解してさえくれれば。夫が、「息子は発達障害児であり、健常者とは根本的に異なる人間で、様々な支援やサポートを必要としているのだ、夫自身も多くの忍耐を持って息子と接しなければならないのだ」という事を、真に理解してくれればと思いますが、それは無理な話なのです。私は夫にそんな事を期待するのは、とっくに止めているので、期待はしていません。

 今、現実的に出来る事をする、それがたとえ残念な形であっても、今できる最善をやっていく、そう決めています。