書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

なんて簡単なんだろう、と拍子抜けした話

  昨夜、おお!と思うほど、息子の成長を感じたので、今日はその事を書きます。

 基本的に、我が家の夕食は、私と息子の二人でとります。夫は帰宅が遅いので、帰ってから10時頃に1人で食べます。

 息子は、夫がいるとあまり喋りません。何を言っても、ちゃかされたり、否定されたりするのが分かっているからです。逆に、そういう事を一切しない私に対しては、ものすごく喋って来ます。夕食時は、なので、ずっと喋っています。

 その内容は、息子が興味のある事に限られていて、また、その話題の背景を前もって私に説明する事に気が回らないので、言いたい事だけバーッと話します。私は精一杯推測しつつ、息子の話を聞いています。息子は話しながら、私がきちんと自分の話を聞いているかを確認する為に、ちょいちょい質問をしてくるので、上の空で聞くわけにはいかないからです。

 でも、まあ。話題が息子の興味に限っていても、背景がさっぱり分からなくても、とにかく、普通に話が進んでいるうちは、傾聴するのにさほど労力はかかりません。そこまでストレスにはならないのです。

 ただ時々。壊れたレコードのように、息子が一つの事にひっかかる時があります。そうなると、その1つの事について、繰り返し繰り返し、話して来ますし、また、繰り返し繰り返し同じ質問をしてきます。

 これの相手をするのが本当にしんどい。

 以前の私は、これの相手をする事も、息子を受容する事だと思っていて、延々我慢して相手をしていたのですが、2年ほど前にそれが間違いだと気付いてから、相手をするのを止めました。

 息子が同じ話を繰り返し始めたら、しんどい顔を隠さない事にしました。難しい事ではありません。そもそも本当にしんどいわけですから。気持ちをそのまま顔に出すだけです。私の表情や態度に敏感な息子は、すぐに気を悪くします。ピリピリしてくる。

 昨夜は、早速、私にこう言ってきました。

「お母さん、疲れてる? 疲れた顔しないで」

 私は、こう答えました。

「疲れてるよ。あなたが同じ話を繰り返してるから。あなたは発達障害だから、健常者のお母さんとは、脳の構造が違うのよ。あなたは、同じ話を繰り返しても全く疲れないしむしろ楽しいと感じるのだろうけれど、お母さんは同じ話を繰り返すのは疲れるの。時間の無駄だと感じるから。あなたが悪いわけでも、お母さんが悪いわけでもない。ただ、あなたとお母さんとでは、脳の構造が違うということ。あなたが全く疲れない事でも、お母さんはとても疲れるという事。それだけよ」

 すると。

 息子は、同じ話をするのをピタッと止めました。傷ついたようには見えません。明らかに、私の言った事を正しく理解して、なら止めよう、と思ったようです。 

 

 ああ、なんて簡単なんだろうと、拍子抜けした気持ちでした。

 あれほど、息子のしつこい絡みに悩んでいたのに。ただ一言、事実を伝えただけで、一瞬で息子は私に絡むのを止めました。

 ただ一言「あなたは発達障害だから、健常者とは脳の構造が違うのだ」と事実をそのまま伝えただけで。

 何故今まで、私が息子に対して、こういう説明の仕方をしなかったかというと、息子が傷つくのではないかと恐れたからです。自分は「発達障害」という劣った人間なんだと、自己卑下してしまうのではないかと、心配だったからです。

 でも、今の息子には、その心配は杞憂だったのだと思います。息子はもうすでに、自分が人と違う事、障害者である事を、正面から受け止めて、何ら落ち込む事もなく、心平静でいられるまで自己を確立していました。

 それが可能だったのは、手前味噌で申し訳ないですが、私達親子間で、信頼関係が出来上がっているからだと思います。息子が一ミリでも私の事を疑っていたら、私が意地悪でそういう事を言ったのだと思ったでしょうから。息子は、私が事実を告げていると信じているので、私の言葉を歪めずそのまま受け取ってくれたのだと思います。また、息子が周囲から愛されている事を日々実感していることや、息子がある程度実績を積み上げている事なども、息子の自己構築に役立っていると思います。いや、こっちのほうが大きいかもしれません。

 息子が、自分に対してしっかりと自信を持っている事が、障害を正面から受け止める力になったのだと思います。

 これからは、息子に対する困りごとについて、誤魔化さずありのままを説明していこうと思います。彼はもうそれを、受け止められると確信しました。たとえば、就職、恋愛、結婚についても、息子が発達障害である事からくる様々な問題について、きちんと話しておく事が必要です(息子は高校生です)。今までは、どこまで話そうかと悩んでいましたが、きちんとありのままを伝えるべき、伝える事が可能だと感じました。

 子供というのは、親が気づかないうちに、確実に成長しているのだなと思いました。有難いことです。

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