以前から疑問に思う事があるのです。
よく言うじゃないですか。
「我が子に、『発達障害』というレッテルを貼りたくない」とか。「『問題児』というレッテルを貼りたくない」とか。
「我が子にレッテルを貼りたくない」という言葉は、表面的には子供を思う親心、みたに聞こえるけれど、本当にそうなんだろうか。
そもそも、何故、レッテルを貼る、という事に、デメリットだけを感じるのだろう。デメリットは勿論あるけれど、同時にメリットもあるのに。
「発達障害」というレッテルを貼れば、様々な療育を公的に受けられ、配慮と支援の中で育てる事ができるというメリットがある。同時に、差別を受けるというデメリットがあるから、全ての人に言う必要はなく、担当教師など必要な人だけに打ち明ければいい。
「問題児」というレッテルを貼れば、どんな問題があるのか精査する事ができ、解決するのに、多くの他人の力を得る事ができる。同時に、子供の問題の根幹が親自身の言動にある、という結果が明るみにでる可能性もあるが、それはそれで反省し改善していけばいい。
レッテル貼り＝悪、と決めつけずに、レッテルを貼る事で分かりやすくその子を助けていく事ができる、という風に、捉える力が大事なのではないかと、私は思います。
もっと言えば。
結局は、その子がどういう大人になるか、その事が一番大事なのであって、レッテル貼りは過程にしか過ぎない。発達障害児や問題児というレッテルを貼られて育っても、無事に自立して幸せな大人になったなら、その子育ては成功で、逆に、頑なにレッテル貼りを拒絶して育てられた結果、心を病んで引きこもりの大人になってしまっては元も子もない。そう、思います。
とはいえ。
必要もないのに、我が子の「レッテル」を、関係のない赤の他人に、べらべらと知らせるのは、不適切だと思います。
伝える必要がある人に伝えるのは、仕方ない。でも、レッテルには差別されたり、忌避されたりする危険がいつもあるのだから、関係ない人間に不必要にべらべら知らせるのは、間違っていると私は思います。
そんな人いるの？と思われるかもしれませんが、よくいます。ブログ界隈でもよく見られます。
今日見たブログでは、ブログを使ってお仕事をされている方が、お子さんが、発達障害だと書かれていました。「幼稚園で障害を指摘されたが、病院に診断を受けてにいくが迷っている。子供に発達障害というレッテルを貼りたくないから」と書かれていました。ブログでお仕事されているので身バレしています。その状況で、お子さんが障害を指摘された件を、ブログに書いてしまうというのは、いかにも不適切だと私には感じられました。
「〇〇さんのお子さんは発達障害だ」という事が、何の関係もない赤の他人にまで知られてしまうからです。それが、お子さんにとって、益になる筈はなく、将来重い負担になる危険があります。
書く必要はないのに、何故書いてしまうのか。診断を受けさせるレッテルを貼る云々よりも、ブログに書いてしまう事のほうが、遥かにお子さんに不利益だと思います。診断を受けさせたって、誰にも言わなければそれでいいのですから。実質的には、何ら不利益はありません。でも、園からとはいえ、障害の指摘を受けた事を不特定多数の読むブログに書いてしまった事には、不利益だけしかありません。
悩んでいて色んな人に意見を聞きたいなら、匿名で別ブログを作って、そこに書けばすむ話です。なぜ、見バレしているブログに、そんなプライベートな事まで書くのでしょう。
私はこんなに悩んでいるんです、しんどい思いをしているんです、という事を、周囲の人に知ってもらいたいからでしょうか。であれば、子供の事より、自分が周囲に慰めてもらいたい欲のほうを優先しているという事で、それってどうなの？と思ってしまいます。
時には、フェイスブックで「子供が障害を指摘された。レッテルを貼りたくないから、診断を受けるか悩んでいる」と書いておられる方もいて、何故フェイスブックで公表？と思ってしまいます。親である貴方はいいでしょうが、障害を世界にバラされた子供の身になってみて欲しい。レッテルを貼るとか貼らないとか、そんな事を悩む前に、もっと考える事があるでしょうに、と思ってしまいます。
やるべき事をやり、やる必要のない事（やってはいけない事）はやらない。
これは当たり前の事ですが、実は、なかなか実行が難しい事なのかもしれないと思います。
私達は意外と、やる必要のない事をやってばかりいて、やるべき事はやれていないのかもしれない。
子供に「レッテル」を貼る事は、いったいどちらなのか。
子供の「レッテル」を、見バレしているSNSで公表する事は、いったいどちらなのか。
私は、（必要があるなら）子供にレッテルを貼る事はやるべき事で、見バレしているSNSで子供のレッテルを公表する事は、やってはいけない事だと思います。
