書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

発達障害児と勉強④(数学)

 息子にどのように勉強を教えていたのか、各教科ごとに書いている。今日は数学について。

 親の私自身が数学は苦手だったので、まず、私がしっかり勉強する必要があった。その日教える部分について、前もって予習し、一通り理解した上で、どうやったら息子に分かりやすく説明できるのか、を考えメモを作った。特に息子が苦手する図形と文章題について、アプローチ方法を練る必要があったからだ。

 

私の予習

①前回紹介した教材「まるごと」の、該当単元を読み理解する。出てくる例題、確認問題も全部も解いてみて、ひっかりそうな部分、ロジックに飛躍があり理解が難しそうな部分をチェックしておく。

②「まるごと」でチェックした問題は、前回紹介した教材「くわしい」の参考書で、より分かりやすい説明を探しておく。また、同じく「くわしい」の問題集で、類似問題を探して解いておく。

③該当単元に対する、息子への導入、説明方法を考えメモを作る。

 

息子に教える

①「まるごと」と、私が作ったメモをもとに、該当単元を教えていく。

②「まるごと」の例題、確認問題を解かせ、ひっかかる所を説明。繰り返し解かせてひっかかりがなくなったら、「くわしい」の問題集で、類似問題にあたらせる。こちらも、ひっかかりがなくなるまで、丁寧に繰り返しやる。

 

 勉強の手順は以上です。

 

 数学は、英語に比べて手数が少ない分シンプルなのだが、だから教えやすいというものではなかった。一つひとつの問題を解くのに、時間がかかるからだ。息子の場合、文章題の意味を理解するのと、覚えた公式のどれを記憶から引っ張り出して利用するのか、でつまづく。

 文章問題はとにかく数をこなす、というやり方もよく聞くが、私はその前に、まず一つひとつ息子が納得できるまで、時間をかけて考えさせる、という方法を取った。

 また、1つパターンが理解できたら、すぐに次の問題に移るのではなく、理解できたそのパターンの類似問題をいくつも解かせる。最初は、1つの問題の答えまで納得して辿り着くまでに1時間かかる事もあったが、類似問題を繰り返しやっているうちに、数分で解けるようになる。そこまで定着させてから、次の問題へ進む。そういう方法で勉強した。

 だから本当は、色んなパターンの問題が次々載っているのではなく、1つのパターンの類似問題がまとめて載っている問題集が欲しかったなあと思う。でも、そういう問題集は見つけられなかったので、私が手作業で探して、息子に提示していくしかなく、それに時間と手間が結構かかった。それと、息子にさせる問題はすべて、私が前もって解いておかねばならなかったので、予習にもすごく時間がかかった。

 面白いもので、ここまで徹底して勉強してみると、私ですら数学は楽しくなってきた。数学の問題が解けた時の「わ、解けた!」という瞬間の喜びというのは、凄い。これが英語の問題だと、答えが書けたところでいちいち嬉しいわけではなく、結果的に良い点がとれたという事に、喜びを得られるだけなのだ。数学というのは、一問一問解けるたびに、「わ、解けた!」という歓喜が得られる教科なのだと改めて分かった。最初の頃は億劫だったが、だんだんと数学の予習をする事が、パズルを解くようで楽しくなってきた。半日ずっと数学の問題に取り組んでいて、あ、と気づくと日が暮れていた(どれだけ苦手なんでしょうか)という時もあったが、独特の充実感で心地よかった。息子のおかげで数学の楽しさが理解できて(ど素人なりに、という意味ですが)嬉しい。

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 自分一人で勉強される人も、ここに書いた手順で勉強されたらどうかなと思います。理数系が大の苦手の私でも、出来るようになったので、いけるんじゃないかと思うのです。ただ、論理的思考(論理を積み上げて解を得る)が特別苦手な人は、一人で勉強するのは難しいかもしれません。一人でやってみてどうしても無理だった場合は、数学だけでも個別塾に通う、という方法を検討されてみたらどうかなあと思います。

 ただ、ずっと塾に通い続けなければいけないか、というとそうでもないと思います。

 私の息子も、論理的思考が特別苦手なタイプでしたが、数学を真剣にやっているうちに、論理的思考が身についてきて、高校生の今は、一人でどんどんやっています。そして、驚くことに、数学は一番得意な科目となっています。

 ちなみに、中学数学で必要な論理的思考というのは、A=Cを証明する為に、A=B、B=C、を証明する、というような事です。A=Cを証明する為に必要な要素は何なのかを、頭の中で組み立てる作業が、論理的思考です。かなり抽象的作業になるので、「見えないものは分からない」という特性を持つ発達障害児には、苦手分野だと思います。

 発達障害の「苦手分野」というのは、どんなに努力しても出来るようにならない場合が多いですが、何もかもがそうではないです。今出来ない事も努力しているうちに、突然コツを掴んで一気に出来るようになる、という事が、あります。息子にはそういう事が沢山ありました。

 なので中学生の間は、まだまだ「自分はこういうタイプだ。発達障害だからこれは出来ない」と決めつけるのではなく、色んな可能性を追ってみられたら、と思います。今はまだ、コツが分かっていないだけ、という事も十分にあると感じます。勿論、やっても出来ない事は、無理してやる必要はなく、「やっぱり無理だ」と判断したら、キッパリ方向転換するのも有りです。割り切る事も重要だと思います。

 

 数学は以上です。

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