書くしかできない

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発達障害児と勉強①(塾の選び方)

 発達障害の中学生の勉強について、以前書いたものをリライトし、更に加筆しました。今現在、中学生の発達障害児を子育てされている方だけでなく、発達障害児ご本人の方にも、お役にたてるように、と思って書きます。

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 私の息子は発達障害だ。2歳半で一言も話さなかった為、受けた発達検査で、中度の障害(発達遅滞)があり、「小学校には行けない」と診断された。が、小学校に入る直前に言葉を話しだし、なんとか小学校に入れた。が、勉強は、家庭学習を丁寧に行っていたにも関わらず、まったくできなかった(テストの点で言えば10点とか)。だが、中学生になって突然勉強ができるようになり、高校は志望校に入り、将来の計画を描きながら、現在機嫌よく無事に高校生活を送っている。今まで一度も、深刻なイジメに遭った事がなく、不登校になった事もない。中度の発達障害児のわりには、平穏に学校生活を送れているように思う。ここに書く事が、もしかして、どなたかのご参考になればとても嬉しい。

 このシリーズでは、成績が急に伸びた中学3年間、どういう風に勉強させたのか。なぜ無事に志望高校に入れたのか、について、書きたい。 

 まず、私の息子の、発達障害のタイプを先に書いておく。先に書いたように息子は、小学校進学も危ぶまれたほどの発達遅滞だった。発達遅滞の診断の根拠の主だったものは、「言葉の発達の遅さ」だ。息子は、言葉の発達に問題のあるタイプの発達障害だ。それ以外としては、単純に発達が遅れているだけではなく、通常のペースで発達していない、という特徴もある。ある事が、ある時期突然、急激に発達ペースが上がり、あっという間に平均を追い越すレベルになったりする。こういう彼の特徴は、高校生の今になってやっと明確に分かって来た事で、幼稚園、小学校、中学校の頃は分からなかった。周囲の人は、息子の事をただの馬鹿だと考えていたように思う。そう思っていなかったのは、私と息子本人だけだ。

 息子のような「言葉の理解に難がある」発達障害児は、子供のその「難」をよく理解している親が、マンツーマンで勉強を教えるのが一番良いと私は思う。学校や塾のような教室での一斉授業では、こういうタイプの発達障害児の脳にはフィットしないからだ。同じ「言葉の理解に難がある」発達障害児でも、また一人ひとりに、理解しやすい教え方のツボがあって、そこを外すとどうしたって頭に入っていかない。だからどうしても、その子の事をピンポイントで一番よく理解している親が、マンツーマンで教えるしかないと思うのだ。親が教えられない場合は、経済的に余裕があれば、個別塾に入ると良いと思う。また、親が教えられる場合でも、個別塾に入るのは、様々なメリットがある。

 というわけで、今回は、個別塾について書きたい。

 個別塾に入るメリットは、一つには高校受験情報を得る為だ。その為には、できるだけ大きな塾が良いように思う。それだけデータを蓄積しているからだ。

 また、それだけでなく、大きな塾は、先生の数も多い。これも良い点だ。相性が合わない先生だった場合に、すぐに別の先生に変えてもらえるからだ。個別塾の場合、全ての所がそうだというわけではないが、大抵は、先生は大学生のアルバイトが多い。これはいい面と悪い面があって、いい面で言えば、若い先生は素直なので親の要望が通りやすいし、子供と年が近いので、子供もなじみやすい、大学の話を聞ける、というメリットがある。悪い面としては、プロ意識に欠ける、大学の都合でよく休む(代替えの先生になる)、というデメリットがある。

 この「プロ意識に欠ける」という点が問題で、要は「発達障害に理解のない」というか、そもそも発達障害を知らない先生ばかりなのが実情だ。だから、担当先生には、イチから子供の特徴を話して、教える際の注意点を伝えるわけだが、理解してくれる先生と、してくれない先生がいる。プロの講師ならまだしも、アルバイトだからこれは仕方ない。理解してくれない先生だと分かった時点で、別の先生に変えてもらうしかない。その際、その別の先生が沢山いるほうが、選択肢に余裕があった良い、という事なのだ。だから、大きな個別塾のほうが、子供に合った先生を見つけやすいと思う。

 もう一つのポイントが、受付の人が良い人、というのが、良い塾の見分け方になると思う。「良い人」というのは、説明が的を得ていて分かりやすい、対応が親切で誠実、こちらの要望を理解するのが早い、この3点を満たしている事だと思う。ただ単に、「有能そう。有能ぶっている」というのとは全く違う。受付の人を見れば、その塾の在り方がよく分かると思う。 

 更に付け加えるなら、塾の雰囲気が、明るくてのんびりしている所、が良いと思う。あまりピリピリした所、暗い感じの所は、発達障害児には向かないと感じる。発達障害児の場合、塾に色々「例外」をお願いする事が多いものだが、決まりが沢山あって例外を認めない塾だと、うまくいかない。のんびりして融通の利きやすい塾を探すと良いと思う。

 

  

 息子が塾を探した時の状況を、書いておく。 

 中学校に上がった時に私が思ったのは、「さあ、高校はどうする?」だった。このままの成績では、ろくな高校に行けない事は目に見えていた。

 私一人で、いろんな塾を見学した。大手の教室の塾。小規模な教室の塾。大手のマンツーマンの塾、などなど。10か所以上まわったと思う。その中で、ここはいいかもしれない、と思った3か所で、子供に入塾テストを受けさせた。大手教室のテストには落ちた。小規模教室とマンツーマン塾のテストには通った。とりあえず小規模教室に通わせてみた。が、数か月で教室側から「ウチでは預かれない」と退塾を通告された。理由は、授業について来れなさそうだから、というもの。結局最終的に、マンツーマンの塾に通わせる事にした(なんだかサラッと書いているが、最終的に落ち着くまで、四か月ほどかかった)。

 ウチの場合、塾に通わせる目的は情報収集なので、最低限の時間枠しか取らなかった。たった2教科。国語と数学だけ1週間に1時間づつ。それでもマンツーマンだからそこそこの授業料になる。一時間5千円だから、、、、ざっと月4万。高い事は高いが、その分気配り目配りは充分で、様々な情報をテンポよく出してもらえ、高校受験素人の私にはとても心強かった。行政によってコロコロ変えられる受験の最新事情、高校ごとの最新事情、模試情報とその分析。塾に行かせていなければ、手に入らないものばかりだった。高校受験のプロの方々には常識であっても、ど素人の私には全く初耳な事が沢山あり、恥を忍んでいちから教えてもらう事もしばしば。本当に助かった。受験について疑問に思う事があったら、迷わず塾に電話して聞けた。

 受験に直接関係ない事、例えば「万一、学校の定期試験を欠席してしまった場合、試験はゼロ点になるのでしょうか」というような質問(←これは心配性の息子からの質問)に対する答え「大抵の学校は、過去の定期試験の結果の平均値を当て込んでくれるから、ゼロ点をつけられる事はまずないです。安心して」だった。

  相性が悪ければ変えてもらう事も無問題だったが、幸い、どの先生も優しかった。息子も嫌がらず通えた。お兄さんお姉さんという年齢の先生ばかりなので、それぞれの高校生活や大学生活についてあれこれ聞けた事も良かったし息子の知見は自然に広がった。息子が将来について、具体的かつ明るいイメージを持つ事ができるようになったのは、塾で親切な先生達と関われたからだと思う。

 それからこれは、最近やっと気づいたのだが、塾に行かせるメリットは、もう一つあった。それは「母子の距離を離す」という事だ。発達障害児の子育てには矛盾が多く悩ましいのだが、これもその一つで、「親しか教えられない」のも事実だが、同時に「母子が密接していると、母子同化が発生し、様々な問題を産む」のも事実なのだ。つまり、親は子供に勉強を教えながら、でも、母子同化は起こらない距離を確保しておかねばならない。その「距離の確保」に塾が役立つ。親と同じくらいの距離感で教えてくれる他人、を確保する事で、母子同化を回避できる。その為にも、マンツーマンの個別塾が適していると思われる。

 我が家の場合、情報収集を目的として塾に行かせ始めたのだが、実際には塾は、「母子同化の防止」にも役立っていた事が、最近やっと分かってきた。もちろん、塾に行かせていても母子同化を起こしてしまったが、それでも行かせていなかったら、もっと酷い事になっていたと思う。そう考えると、月4万円は安いかもしれない。

 以上が、塾を決めた経緯だ。

 誤解のないように書いておくが、何がなんでも塾に行かないといけない、というわけではない、と私は思う。親が教えられるのなら、それでOKだし、親も教えられなくても、本人が勉強の要領を自力で考えて一人でやっていく事も、不可能ではないと思う。次回は、学習の仕方について、書いていきたい。もし、個別塾に行かない選択をされた方にもお役に立てるような内容にしたいと思う。 

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