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麻生氏「産まなかったほうが問題」発言について

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 麻生氏がまた問題発言をされたそうで。この方、毎回こりないですね。悪い方ではないと感じるので、多分、本音をつい仰ってしまう癖がおありなのだと察します、、。

 今回の発言は、「少子高齢化は問題です」と。そこはほぼ万人が頷くところでしょう。そして「老人が長生きする事が問題なのではありません」と。そこもまあ、多くの人が頷くでしょう。ですが「子供を産まない方が問題なのです」と、ここにくると、「え?」となる。まあ、子供を産まない、と言わずに、子供が生まれない、と言えばまだ良かったのになあと思わずにはいられませんが。

 麻生氏が仰りたい事は分かります。

 少子高齢化を解決するには、国民の女性が、もっと出産すべきなのだ、と言いたいのだと思います。

 確かに、国民の女性が、もっと出産すれば、数の上では少子高齢化は解決するでしょうが、別の問題が浮上するでしょう。

 ①虐待される子供の増加

 ②子育てで病む母親の増加

 ③子育てのストレスから家庭不和になり離婚する家庭の増加

 ④経済的に暮らせなくなり、生活保護に頼る家庭の増加

 ⑤心身を病む人達の増加(①の子が成人した結果)

 ⑥生活保護や福祉に頼る人の増加(⑤の結果)

 

 ①~⑥は、少子高齢化よりはマシなのでしょうか。私には、むしろ少子高齢化のほうがマシな気がします。

 

 出産というのは、一種のギャンブルです。どんな子供が生まれて来るのかは、運次第です。

 育てやすい健康で発達も早く自立も早いしっかりした子供が生まれたら、母親が子育てに割くエネルギーが少なくてすみます。母親は残ったエネルギーで、仕事を含め自分のしたい事をすることができます。ストレスもたまらず、経済的にも困らずに、人生を充実させていけます。

 でも、生まれた子供が病弱で育てにくく、発達も遅く、障害持ちであれば、、、母親は子育てに多くのエネルギーを注がねばなりません。余分のエネルギーは残らないので、自分の為に生きる時間がなくなります。仕事もできないので経済的にも苦しくなる。ストレスと不満が満載の人生になります。

 

 どんな子供が生まれても、その子を育てあげる事に人生を費やせる人なら、問題ありません。でも、そういう人ばかりではありません。

 子育てだけに自分のエネルギーも時間もお金も吸い取られてしまう事に、不満を感じるタイプの人は、子供を産まないほうが安全だと私は思います。産まない事で、家庭の平和を守る、自分の健康を守る、社会の無駄な支出を防ぐ(福祉や生活保護費の面で)、という事も、言えるのではないでしょうか。

 もちろん、産みたくても産めない人も沢山おられると思いますが、安全策をとって産まないという人も多いと思います。私も、1人しか子供は産みませんでした。もし二人目も障害児だったら、とても私には育てる事ができないと思ったからです。私も子供達も共倒れになるだろう、家庭も崩壊するだろうと思いました。リスク回避で、二人目出産は諦めました。

 産まない方が問題、と言われると、だって産んだ後のリスクを考えたら、産みたくても産めないじゃないですか、と言いたくなります。

 北欧のように福祉や無料の公共教育機関が万全な社会ならまだしも、日本は「子供は家庭で育てるべき」が基本。それが女性にどれだけの負担をかけるのかなど、麻生氏は想像もできないのだと思います。

 麻生氏も、育てにくい発達障害児を0歳から、お一人でお育てになってみられたら、少しは意識がお変わりになるのではないか、と思ったりします。

 子供を産むという事が、今の時代、女性にとって、どれだけのギャンブルであり、どれだけのリスクを負う事になるのか、少しは理解されるのではないかと思うのです。そうすれば、少子高齢化やむなし、という意識に切り替わり、「どうやったら女性に子供を産ませる事ができるのか」ではなく、「どうやって少子高齢化の中で国力を維持していくのか」に、焦点を絞って知恵を出して頂けるのではないかと思います。

     とはいえ、私は麻生氏のこの発言、別に嫌な気持ちにはなりませんでした。この年齢の男性は、みんなこう考えるのだろうなあ、と思うし、子育て経験がなければ(自分で全責任を負っての子育て経験)、こう考えるのは当然だろうと思うからです。

     何事も、自ら経験していない事は、分からないもので、それは仕方ない事だと思います。