書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

母の友人の話

 先日、所要があり、母と会って来ました。用事を済ませ、ランチを食べたりお茶を飲んだりして、5時間ぐらいお喋りしました。お喋りというか、母の話を一方的に私が聞く、という感じだったのですが。

 母はもう81歳なので、友人の多くが病気を患って入院していたり、老いてホーム暮らしをされていたり、らしく、アチコチにお見舞いに行くのが日課になっているようです。

 健康で一人で動けるご老人の方のホームは、まだ良いようですが、何らかのご病気を抱えていて一人では動けないご老人の場合、病院は勿論、ホームですらも、私物は一切持っていけないのだとか。持って行けるのは、枕元の小さな棚に置ける洗面道具ぐらいなもの。

 母のお友達が、そういうホームに入る際、「洋服はどのぐらい持っていけますか?」と聞いたら「何も持って来ないでください。そもそも洋服なんていりますか?」と言われたそうです。確かに、年中パジャマを着ているし、ホームから外へ出る事もないので、洋服は必要ないのだとか。

 その方は、唯一の趣味が裁縫で、小さなミシンを愛用しておられるので、「小さなミシンだけは持って行きたいのだけれど」と尋ねたそうですが、「何も持って来ないでください。置く所なんてありませんから」と言われてしまったそうです。「では、昼間、何をすれば?」と尋ねると、「テレビがあります」と言われたそう。

 はあ~。気の毒だなと思いました。でも、私物ががちゃがちゃいっぱいあると、お世話する方の邪魔になるのでしょう。効率的にお世話しようと思うと、みんな一律にパジャマを着せて、私物は持たせず、余暇はテレビに一任、というのが一番都合がいいのでしょう。

 体が不自由で、ご病気も持たれているご老人のお世話は、想像以上に大変だと思うし、できるだけ手間を省きたい、というホーム側の気持ちも分かります。

 でも、母の友人の方の立場になると、あまりにしんどい話です。死ぬ直前まで、病気をせず、自分の足で歩いて、自分の事は自分で始末できる状態でいたい、と改めて思います。

 同時に。

 今、曲がりなりにも好きな服を着て、好きな所に好きなようにお出かけできている事が、どれだけ幸せなことか、と思いました。

 母の友人の方は、これから死ぬまで、パジャマしか着れず、テレビ以外に暇つぶしの手段がなく、ホームから外には出られないのです。なぜならば、ご自身の足で歩けないし、病気を持っておられるから。なんと気の毒な話でしょう。そういう人生もあるのですねえ。厳しいです。

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