書くしかできない

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NHKBS 世界のドキュメンタリー「Why slavery」シリーズ

thetv.jp

 先日、ふと見た番組に目を奪われ、連日観ています。

 NHKBSで、夜11時から放送している「世界のドキュメンタリー」という番組です。不定期でやっているようで、過去にも世界の様々な問題を取り上げてきたそうです。今回は6回連続シリーズで、「slavery(奴隷)」を様々な切り口から報道しています。放送日は、上に貼ったホームページでご確認下さい。

 私は今のところ、第2回まで観ました(中東のメイド地獄、と、インドの人身売買)。

 最初、この番組の題名を見た時、「え、奴隷?本当?今の時代に?」と不思議に思いました。でも、番組を観てみたら、奴隷制度が現実に存在している事が分かりました。

 「中東のメイド地獄」でリポートされていたのは、アフリカから中東に送られる貧困女性達の現実です。彼女達は、家計を助ける為に中東に出稼ぎに行くつもりで、自国を出ます。しかし、中東では、雇い主家族にパスポートと携帯電話を取り上げられ、無給で、家事労働をさせられます。家から出る事も禁じられ、暴力や性被害に遭う女性達も多いそうです。その状況は、自国の家族には知らされません。病気になったり死んだり(窓からの飛び降り自殺も多いそう)すると、自国に帰されますが、自国の家族に補償金などが払われる事もありません。勿論、働いていた期間のお給料を払われる事もありません。

 おいしい目を見るのは、中東の仲介業者達(雇い主、メイド双方から斡旋料を取る)と、無料で家事労働の手を確保できる雇い主達です。いずれも中東側の人達。これはおかしいと声をあげるアフリカ国民の声は、中東のオイルマネー欲しさに国民の事など無視するアフリカ政府に揉み消されます。

 驚く事に、メイド奴隷制度を維持したいが為に、中東政府は、多額の援助をアフリカ諸国に行っているのです。

 自分の国の女性達が、他国で被害に遭っているのに、気にもしないアフリカ諸国の政府というのは、どうなんだろう?とも思うし、また、たかが無料の家事労働の手が欲しいだけで、国際的援助まで行って奴隷メイドを輸入したがる中東の政府もどうなのか、と思いますが。結局のところ、中東側の政府が考えているのは、無料の家事労働の手を確保して中東の家庭婦人を助けたい、という視点ではなく、奴隷メイド斡旋ビジネスに関わる斡旋業者達の仕事を奪いたくない、という事だと思います。奴隷メイド斡旋ビジネスは、中東ではすでに大きな一つの職業として定着しているからです。

 「インドの人身売買」では、インド国内で、主に、低カーストの貧困家庭の子供達が売られている現状が、リポートされていました。

 インドと言えば、経済発展、特にIT関連の発展がすさまじく、アメリカに次ぐ一大国家となりつつあります。インド人の知能の高さや数学的才能も、高く評価されているところです。しかしながら、インド国内では依然としてカースト制度が蔓延し、富める者と貧しい者との差が、益々広がっているそうです。それは、支配階級と、支配される側の階級、という図式です。インドでは、警察も全く機能していません。

 例えば。我が子がさらわれて売られたと分かっても、警察に届ける事ができません。親が警察に届けると、逆に親が逮捕されてしまう怖れがあるからです。さらわれて売られた子供達は、無料の働き手として使い捨てられます。

 また、経済発展の為の発電所作りなどで、政府に土地を奪われた農民達にも、代替えの土地が与えられるわけでもなく、仕事が与えられるわけでもありません。住む家も、農地も取り上げられた彼等は、子供を売るしか術がなくなるのです。また、生まれた時から雲母等の採掘場で働く子供達もいます。学校には勿論行けず、自分の名前も書けず、年齢を聞かれても答える事すらできません。危険な採掘場で、3歳の幼女が働いていました。彼女が死んでも、誰も気にしないのでしょう。

 貧しい自国民がどうなろうと、支配側の富めるインド人達には何の関係もないようです。いくら人口が多いからといって、いくらカースト制度があるからといって、信じがたい現実がありました。

 

 私はまだ、2つの番組しか観ていませんが(全シリーズで6つある)、それでも、今現在の世界には、奴隷制度が実際に存在する、という事は、分かりました。

 奴隷制度が現存している理由は、それを許しているその国の政府や関係業者人一人一人の人間性の低さにあると思います。例えば、中東でメイド斡旋業をしていた男性が、ある日自分の間違いに気づき、斡旋業から足を洗う場面がありました。そういう人もいるのです。ただ、圧倒的に数が少ない。

 奴隷にされてしまう側の人達には共通している点、すなわち「無教育と貧困」があります。日本にも様々な問題があるけれども、まだ教育を受ける事が出来るということだけには、大きく感謝せねばならないな、と思いました。勿論、日本にも想像を絶する貧困家庭があり、家を持たない子供達が闇ビジネスに引きずり込まれている現状はあるにせよ。

 当たり前の事ですが、私が子供に与えてあげるべきものは、教育と、世の中がどういう仕組みで動いているかの知識だと、改めて思いました。それがなければ、或いは足りなければ、簡単に人は弱者になり、場合によっては奴隷になってしまうのだ、という事を、この「Why slavery」は教えてくれている気がしました。