書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

我が子(幼児)の偏食が気になる親御さんへ。

 先日、ある医療従事者の方のブログを拝読していたところ、ある一文を見て、深く溜息をついてしまいました。

 その方に対して私は全く遺憾は無く、その方は多分、無意識に気軽にその一文を書かれたのであろう事も、了解できました。なので、ここでその一文を取り上げて、語る事で、その方に不快な思いをさせてしまう事を、申し訳なく思います。

 一瞬、その方のブログのほうに、コメントをさせて頂こうかとも思いましたが、お伝えする内容が長文になるので、コメント欄では不適切だと考え直し、自分のブログに書く事にします。

 その方には寝耳に水な話で、「何、いちゃもんつけてねん」というお話で、大変書きづらいのですが。やはり書いておかないといけない、と思うので。誠に勝手ながら、コピーさせて頂きます。

 その記事には、↓こういう事が書いてありました。

「(ビタミンやミネラルが不足すると)小児や成長期の子どもでは成長不良や発達障害、感情の不安定に繋がることもあるそうです」

 ビタミンやミネラル(煩雑なので、以下ミネラルは省略)が人間の体に良い事は、広く知られている事実ですし、ビタミン摂取を勧める事自体は正しいと思います。ですが、不足したからといって、発達障害にはなりません。

 

 その方同様、誤解されている方も多いと思うので、改めて書いておきます。

 発達障害は、生まれながらにして(先天的に)持っている、脳の機能障害です。ですから、後天的な環境で、発達障害を発症する事はありません

 発達障害は、精神疾患の一種、ではないです発達障害は、先天的な障害です。

 精神疾患による後天的な障害は、生きている環境次第で発症もし、治癒もします。

 でも、発達障害は、先天的な障害なので、環境次第で発症したり、治癒するものではありません。

 健常者が、人生の途中で、発達障害に「罹る」事はありません。健常者として生まれたのなら、一生、健常者です。(人生の途中で発達障害が判明したのなら、その人は、生まれながらにして発達障害だったのです。診断名がついていなかっただけです)。

 

 でも、その方のブログ記事は、「健常者がビタミン摂取を怠ると発達障害に罹る」という内容です。医療従事者の方が、こんな根本的な思い違いをされていた事、また、私は、その方のブログ記事が好きで、読者登録もして、毎回更新のたびに、楽しく拝読していたので、尚更、深く考えてしまった次第です。そして、ですが改めて心を落ち着けて思い出すに、「こういう事」意外と多いのです。

 「こういう事」、というのは、二つあって。一つは、「この方、いい方だな。知識も豊富だな。人間的にも素晴らしいな。誠意のある方だな。しっかりされている方だな。そう思っていたら、発達障害だけには誤解や思い違いをされていて、驚く」、という事です。

 また、「こういう事」のもう1つは、「発達障害を、後天的な精神疾患の一種だと思っている人が、多い。なんなら、不定愁訴や精神不安症と同系列の疾患だと、思っている人が、本当に多い」という事。

 発達障害を理解するのは難しいし、身近に発達障害者がいなければ、積極的に知ろうとも思わないと思います。それは、当然です。それでいいのです。でも、正確には知らないのに、漠然と耳にした間違った知識を正しいと思い込んでしまっている方が、多いように感じるのです。

 

以下、当事者なので、過敏過ぎていたらすみません。間違った知識が蔓延する事の不備について書きます。

 ビタミン不足が発達障害を引き起こす、という文章を読んだ人は、「発達障害って、ビタミン不足でなるような、単純な疾患なんだな。だったら、発達障害者は、ビタミン摂取で治るのか。ビタミン取るなんて努力すれば簡単にできる事なのに、努力不足の人間に、どうして支援してやらなきゃいけないんだ」と、偏見を深めてしまう懸念があります。

 また、子供の偏食に悩む親御さんが「ウチの子、ビタミン不足で発達障害になったらどうしよう」と、いらぬ怖れを持ってしまいます。親というものは、我が子が障害児になる可能性に対して、強い恐怖を抱くものです。「見守っていればいずれ治る」幼い子供の偏食に対して、過剰に叱りつけて無理やり食べさせるような間違った対処を、してしまうかもしれません。それによって、逆に偏食が進んだり、子供の心に傷をつけたり、という懸念もあります。

 そのブロガーさんは、医療従事者というお立場から、健康に関する啓蒙記事を書いておられるので、記事を読んだ人は、一般的な記事よりは、書いてある事を信じてしまいやすいと思われますので、余計に案じられます。

   

 発達障害は先天的な障害であり、努力で治るものではありません。また、努力不足から発症するものでもありません。

 ただ、療育や、適切な配慮や支援といった、環境を整える事で、発達障害の生きづらさを軽減する事はできます。でも、あくまでも軽減するだけであって、発達障害者が健常者になるわけではありません。

 もちろん、ビタミンを摂取する事で、脳の働きがスムーズにいく、という効果はあるのだと思います。だからといって、脳機能障害である発達障害が、ビタミンで軽減するのか(逆に、ビタミン不足で障害が重くなるのか)、といえば、少なくとも私はそういう事が書かれた本は読んだ事がないし、担当医からも一度もビタミン摂取を勧められた事はありません。発達障害の専門病院に、もうかれこれ15年通っています。偏食の激しかった幼児期から通っています(当時、息子は4つの食品しか食べれませんでした。5歳になるまで、その4つしか食べずに育ちました)が、担当医から、ビタミンなどの薬を処方された事はありません。勧められた事もありません。

 ちなみに、息子の偏食は、5歳のある日突然治り、その日を境に、好き嫌いなく何でもおいしく頂けるようになりました。特に、偏食を治す為に何かしたわけではありません。高校生の今、彼は平均よりも高身長で、健康です。息子の一例だけで語るのは間違いだとは思いますが、発達障害児に偏食はつきもので、悩みだすと深みにはまる恐れがあり、親はできるだけゆったりと構える事が大事かなと思います。発達障害児の味覚過敏は、成長と共に変わる可能性があるからです。

 一つだけ確かに言える事は、偏食だから発達障害になった、わけではない、という事です。だから、親御さんが、子供の偏食を治せないからといって、過剰に自責する必要はないです。また、偏食が治り、ビタミンやミネラルを十分摂取したからといって、発達障害が治るわけではありません。

 

 そのブロガーさんは大変良い方だと思うし、一切悪気はなく、つい気軽に書いてしまったのだと思われます。そのお気持ちはよく分かります。私もきっと、沢山の思い違いや勘違いを、このブログに書いてしまっているはずです。だから、責めるつもりは全くありません。ちょっとした間違いは、誰にでもあることです。

 私が問題視してしまった一文は、ちょっとした間違い、なのです。私がたまたま当事者なので、とても気になってしまった、というだけで、一般的な方々には、気にもならなければ、どうでもいい事、だろうと思います。

 ただ、私自身は気になってしまったので、あまり意味はないかもしれませんが、正しておこう、と思って、ここに書きました。関係ない方には、本当に関係ない記事で、すみません。また、ブロガーさんには、神経質に、記事の一文を取り上げてしまい、本当に申し訳ありません。私が誰かに同じ事をされたら、とても嫌だと思うので、本当に申し訳ないと思います。どなたの記事かを明記していない事が、お詫びになるとは思えませんが、せめてもの気持ちです。すみません。

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