書くしかできない

過ぎていく日々を書き留めています

私の子育ての失敗部分について

 自己肯定感も、ある部分で現状維持バイアスの一種であると考えるなら、自らの子育て方法を否定する事は、現状維持バイアスを逸脱する行為になるわけで。なかなか冷静にフェアに考える事は難しいだろうなあと思われるのですが、現段階で、明らかに「私の子育てのあの部分は間違っていた」と分かっている事が出て来たので、今日はそれについて書いておこうと思います。

 きちんと自分を否定できず、どこかいやらしい自己肯定が出て来てしまっていたら、すみません。

 まず最初に、私が一番間違って考えていた事を書きます。それは、

発達障害である我が子は、外で沢山のストレスを感じている。それでも、外では我慢して、人に迷惑をかけず、一生懸命頑張っている。なので、家に帰るとそのストレスを発散してバランスをとる事になる。ストレスの発散相手は、母親である私になる。それは、子供が私には遠慮なく甘える事ができる、という意味なので、良い事なのだ」という考え方です。

 私はこれを、ずっとやってきました。子供の発散を際限なく受け止める事は、母親としての役目だと思っていたし、ここで私が受け止めてやらなければ、子供の心は壊れてしまうか、外で発散する事になって周囲に迷惑をかける事になるか、どちらかだと思っていました。

 ですがこれは、完全なる間違いであったと、最近になってやっと分かりました。

 間違いだと気付いた直接的な理由は、息子の私への発散が、年々酷さを増してきたからです。私の漠然とした計算では、息子の私への発散は、年齢を重ね精神的に成長するに従って、減っていくと思っていました。それが、真逆だったのです。

 息子は、自分の頭の中に描いた「理想的な状況」が、現実と食い違うと(往々にして食い違います)、不安でたまらなくなり、「現実と一致させて」と私に要求してきます。それが無理だとどれだけ説明しても、右から左に聞き流し、私が「分かった。現実と一致させてあげる」と答えるまで、何時間も私に絡んでくるようになりました。中学の頃にはそれが、1時間になり、2時間になり、高校に入った頃には6時間ぶっ続けで私に絡み続けるようになりました。

 そこまで来てもまだ私には、息子のこの態度が、「おかしな事だ」とは思っていませんでした。息子は、私に絡んでくるこの悪癖以外は、とても素直で優しく、外でも何の問題も起こさず、一生懸命頑張っていたからです。つまり、発達障害児である息子が、健常児社会で無理をして頑張っている反動が、この悪癖の原因である、息子が私に長時間絡むという事は、それだけ、息子が外で頑張っているストレスをためている、という証拠なのだ、と思っていました。

 なので、高校とよく話し合い、学校での息子のストレスが減じるように、できる限りの手を打ちました。

 にも関わらず、息子が私に絡んでくる時間は、減らないのです。考えうる限りのストレスを減らしてあげても、それでも、息子は新たに別のストレスの種を拾ってきては、私に絡んでくるのです。

 これではキリがない。という事に、ようやく私は気づきました。

 同時に、「もしかして、息子が私に長時間絡んでくるこの悪癖の原因は、外でのストレスの反動、だけではないのかもしれない」と、ようやく考えるようになりました。

 それで、やっと、担当医に相談してみよう、という考えに至ったのです。もっと早く相談していればよかったのですが、自分では、「息子の発散を受け止める事」は母親の役目だとかたく信じていたので、それが問題行動だという事に、思いが至らなかったのです。

 担当医に相談して、初めて、目からうろこが落ち、以後、息子への対応を変えていく事になります。担当医に相談した時の記事を貼っておきます。

 

oinor-i.hatenablog.com

 

 

oinor-i.hatenablog.com

 

 

oinor-i.hatenablog.com

 

 担当医は私に、「そもそも最初に、お子さんの発散を受け止めてしまった事が間違い。そういう悪癖は、どんどんエスカレートしていくだけで、放っておいて勝手になくなる事は絶対にない。今日からでいいので、お子さんが絡んで来たら、キッパリ拒絶するように」と言いました。同時に、私に拒絶されて息子が荒れた時の為にに、薬も処方してくれました。

 結局、その薬は飲む事はなく、私は、息子をなんとか説得して、私への悪癖を止めさせる事に成功しました。なかなかに壮絶でした。そのへんの様子は、こちらの記事↓に書いています。

 

oinor-i.hatenablog.com

 

 上の記事以降、息子がピタッと悪癖を止められたわけではなく、まだ時々は顔を出すのですが、確実にその頻度も時間も減っていく方向にあり、今現在ではほとんどなくなりました。

 なくなってみて初めて、私は、心から安堵できたし、改めて自分の間違いを冷静に振り返ってみる気になりました。今までは、あまりにも痛すぎて、何度も心をよぎったのに蓋をしていた疑問があったのです。

 その疑問とは、「息子は、私を心から信頼している筈。だからこそ、甘えて絡んでもくるのだ。息子は、誰よりも私を信頼し愛している筈。なのに、誰よりも愛している筈の私を、息子はなぜ、こうも酷く苦しめるのか。私が、『あなたに長時間絡まれるのは苦しいから止めて』とどれだけ頼んでも、息子は止めない。私が苦しんでいると分かっていても、止めるどころかエスカレートしていくのは何故か」というものです。

 その答えは、「母子の同化」でした。

 発達障害児は、健常児よりもはるかに、母子の同化が起こりやすい、という事実。

 息子が私をストレスの発散相手に選んだのは、私を心から信頼し甘えているから、ではなく、単に、精神的に同化している相手だったから、に過ぎない、という事実。

 つまり、ストレス発散は信頼の証ではなく、単なる同化の帰結である、という事実。

 これに気が付いた時、あらためて「ああ、この説は正しい」と思いました。今まで、見て見ぬふりをしてきた疑問に、この「同化説」がピタリと答えをくれたからです。

 息子は私を、「尊重すべき別の人間」とみなしてはいなかったのです。自分の中の一部、というか、「自分の所有物」と考えていて、だから、「何をしてもいい」と思っていたわけです。自分の所有物なのだから、自分がどう扱おうが自分の自由だ、と。

 発達障害者には、こういう「人との距離感」が分からない人がいるのです。発達障害者の同化相手は、母親である事が多いですが、長じては配偶者になったり、子供になったりします。同化相手にされた人間は、際限ない悪癖をぶつけられる羽目になり、苦しみます。また、発達障害者自身も、悪癖をぶつける相手を確保した事で、益々悪癖をエスカレートさせてしまい、苦しみます。

 「同化」というのは、起こしていけないのです。

 どうやったら、母子の同化を防ぐ事ができるのか。これについては、以下の記事↓に書きました。いつも拝読しているスカイさんのブログの引用をもとにしたものです。

 

oinor-i.hatenablog.com

  

 最後にまとめておくと。

 私の子育ての大きな失敗部分というのは、「同化の危険」を知らなかった、という事です。スカイさんがご存じだったという事は、私も、もっと発達障害について深く勉強していれば、知る事ができたはずなのです。つまりは、発達障害についての勉強不足が、失敗の原因だったという事です。

 私の子育ての失敗は、端的に言えば、「勉強不足」でした。

 子供が発達障害なのに、発達障害について勉強しない親御さんに対して、私は以前から不思議だと感じていました。でも、私自身がまさに、そういう親だった、わけで、自分に対して唖然としてしまいます。今まで、何をやってきたのだろう、、、。

 とまれ。気づいた今、ここから修正していけばいいのです。今後は、発達障害について、もっと深く広く勉強していこう、と思います。

 もし、私のように「我が子が私に長時間絡むという事は、それだけ外で頑張っているストレスをためている、という証拠なのだ。また、子供が私を信じ甘える事ができている、母子関係が良好である、という証拠なのだ」と考えてしまっている方がおられたら、それは間違いかもしれません。この考え方は、健常児には正しい考え方で、子育て本にも推奨されていますが、発達障害児には向かないのです。今のままお子様の悪癖を受け止め続けていると、悪癖は治るどころか、年々エスカレートしていく可能性がある、という事を、知って頂ければと思い書きました。

 健常児(者)に対しては正しい考え方が、発達障害児(者)には使えない事が、とても多いです。親子や夫婦といえど、人間関係である事には違いなく、発達障害児(者)との人間関係の構築は、健常児(者)とのそれとは、全く違う、という事を、折々に思い出す必要があります。

 私には勿論、自分で気づいていない(あるいは、気づいていても現状維持バイアスのせいで見て見ぬふりをしている)子育てにおける間違いが、まだまだ沢山あるのだろうと思います。あまり神経質にならず、かといって怠惰に流されず、一つひとつ学んでいこうと思っています。先は長いです。

 

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