書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

結婚が幸せとは限らない、という事を、若い人には言えない。

 今日は少し涼しいですね。雨が降ったりやんだりで、気温が上がらないのと、風があって。蒸し暑さ、一歩手前で過ごしやすいです。皆様の所は如何でしょうか。

 さて。今日も、勉強記事を中断して、別の事を書きます。

 私の知人友人は、発達障害やグレー児を持つお母さんが多いのですが、そういう方のお一人(Aさん)から聞いたお話で、うーんと考えてしまった事があります。

 Aさんのお嬢さんは大学生で、グレー児(発達障害という診断はは出ていないが、医師からも『傾向はありますね』と言われている)です。

 お嬢さんは、人付き合いが難しいので、アルバイトが出来ません。それでも、お小遣いを増やしたいという事で、Aさんが、用事を頼んでやってもらった時に、お嬢さんにアルバイト代をあげているのだそうです。

 「例えば、どういう事を頼んでやってもらっているの?」と聞いたら、Aさんは「私の背中に薬を塗るとか」と答えられ、えっ薬?と思ってしまいました。

 Aさんは、今、数日置きに背中に薬を塗らないといけない状態なのだそうで、自分では手が届かないので、お嬢さんに塗ってもらっているのだそう。お嬢さんは、指にベタベタしたものを付けるのが嫌いなので、タダでは頼んでも塗ってくれないのだけれど、お金をあげると塗ってくれるのだそうです。

 だから、それが「アルバイト」なのだそう。

 うーん。

 なんか、ひっかかってしまった、私がいました。

 確かに、親に何かしてあげて、お金をもらう事ってありました。私も。例えば、20分間肩を揉んであげたから、500円とか。小学生の頃。

 でも、肩もみ20分間って、子供にとってはなかなかの労働です。だからそれを「労働=アルバイト」として考えても違和感はなかったですが、「背中に薬を塗る」って、一瞬で終わる事です。ベタベタを指に付けるのが嫌だとしても、ビニール手袋をすればいいし、いずれにしても「労働」と呼べるほどの仕事量ではないと思われる。

 誰かの背中に薬を塗ってあげる事って、「ちょっとした親切」の一環だと思うのです。「労働」じゃなく。

 親子の間で、「ちょっとした親切」に、お金を払うって、どうなんだろう。

 Aさんは、「ウチの子は、嫌な事はしない性格だから、お金払わないとやってくれないの。そういう子なの。そういう性格的な特徴がある子なの」と、それを発達障害特性の一つかのように仰っておられて、それが多分、一番の違和感でした。Aさんには申し訳ないのだけれど。

 確かに、発達障害者は、「〇〇が出来ない」という特性を持ちますし、その〇〇は発達障害者一人一人で異なりますが、「嫌な事ができない」のは、特性ではないとおもいます。なぜなら、お嬢さんは、お金をもらえば、それができる、のですから。

 発達障害が「〇〇が出来ない」という時、その〇〇は、どう頑張っても出来ないのです。お金をもらおうが、なんなら殺されそうになろうが、出来ないのです。だから障害なのです。

 Aさんのお嬢さんの「親の背中に薬が塗れない」というのは、発達障害特性ではなく、「親切心の欠如」というものだと思われます。母親に対して、優しくしてあげよう、という気持ちがない、という事だと。

 Aさんが、「ウチの子は、人に優しくしてあげようという心が無いの。そういう特性なの」とお子さんの特性を把握しているのであれば、まだ分かるのですが、そうではなく、「嫌な事はしないの」という風に把握している事に、私は違和感がありました。

 また、お嬢さんの「親切心の無さ」は、他人に対する関心の薄さ、から来ていると思われるのですが、親は他人ではないので、他人に対するように関心が薄い(親切心が持てない)というのは、ちょっと不思議だなと感じました。

 何が書きたかったかというと、こういうお嬢さんは、主婦や母親に、なってしまっては不幸だなと思ったのです。好きな男性には親切にできるかもしれませんが、結婚して数年たてば、最初の頃の「好きな気持ち」も薄れてきます。そうなってからも結婚生活はずっと続いていくわけで、「人に親切にしてあげようとは思わない」という特性を持っている女性が、主婦になってしまったら、毎日の家事育児は苦行でしかないと思います。

 でも。Aさんは、お嬢さんの将来設計の中に、結婚、というものを、かなり現実的に入れて考えておられるのです。理由は、「この子に就職は難しいから」と。

 いや。職業を選べば、就職のほうが、そういう方には、結婚よりはマシじゃないかと、私は思ってしまいました。でも他人様のご家庭のことなので、何も言えませんでしたが。というか、もし言えたとしても、やはり、夢いっぱいの若いお嬢さんに、「結婚しないほうがいいかもしれない」等とは、とても言えないです。本当に私がそれを心から思っていても、やっぱり、言えないです。

 この「就職は無理だから結婚」という流れは、わりと発達障害女児あるあるなのです。男児の場合は、結婚しようがしまいが、とにかく就職は絶対にしなければならないのですが、女児の場合は、「結婚すればいい」と本人も親も就職に対する悲壮感はないケースが多いように思います。でも、「人に対する関心が薄い。共感力が低い」タイプの発達障害女児の場合、主婦や母親ほど向いていない職業は無いと思われます。でも、発達障害者は先を読み取る力が弱いので、本人は主婦や母親というものの仕事についてあまり考えないままで、流れのままに結婚してしまうケースが多いように思うのです。

 私は、Aさんのお嬢さんのようなタイプの女性は、無理なく働ける職業について、自分で自分のことだけを賄えばいい人生を送られるほうが、むしろ幸せなんじゃないかと思いました。でも、私に確信があるわけではないし、結婚を夢見ている若い女性に対して、そんなことはとても言えるものではないです。健常者の幸せと、発達障害者の幸せは同じではないのですが、じゃあ、何がその人の幸せかを、誰かが断言してあげるわけにもいかないです。難しいなあと改めて思いました。

 

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