書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

神様に好かれる人とは。

 大好きな桜井識子さんが、ブログに、こんな事を書いておられて、なるほど!と思ったので、勝手ながら引用させて頂きます。

神様に歓迎される人とは

「心が美しい人(完璧な人のことを言っているのではなく、人に優しくしようとか、正しく生きようとか、もしもまだ出来ていなかったとしても、そうなろうと努力している人は心が美しいです)です」

 神様に好かれる人とは、「完璧な人」ではなく、「努力している人」なのだ、という事。結果でもなく現状でもなく、その過程の心根のみで、神様は判断されるということ。人間は、結果や現状しか見えないのでそこで判断するしかないわけですが、見えない世界の神様は逆に、見えない部分で判断されているのだという事に、納得するとともに軽い感動すら覚えました。

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 つい最近、「龍が哭く」という小説を読みまして、主人公はまさに「努力する人」なのです。幕末の騒乱の中で、貧しい長岡藩(現新潟)を救おうと孤軍奮闘する一塊の武士(河井継乃助)なのですが、志を叶える事なく最後は無残に死んでしまうのです。生涯をかけて、命をかけて守り抜こうとした長岡藩も取り潰され、焦土と化してしまいます。

 河井継乃助という名前自体、決して有名ではなく、私はこの本を読んで、初めて知りました。ですが彼は、歴史に名を残してもいいだけの、目覚ましい活躍をしたのです。当時、彼の名前は、幕府は勿論、諸藩の間で「恐るべき出来物」と知れ渡っていました。が、結果を何も残せなかった、いやむしろ、藩を取り潰させてしまった張本人として、不名誉な終わり方をしてしまいました。

 幕末という変化の激しい時代、彼は全国各地を飛び回り、沢山の人達との知己を得(中には多くの外国人も含まれている)、最新の知識を取り入れ、それを臆する事なく上に報告し、長岡藩が時代に取り残されないように、発展していけるように身を粉にして動きます。また、藩の中の賄賂や利権を厳しく取り締まります。それぞれの者が、己の本来の役割を当たり前にこなせば、国は正しく動くものだ、という信念のもとに。

 戦の方法は、刀から鉄砲に変わりつつある時代、河井は、貧しい長岡藩が高価な鉄砲を大量に仕入れる事ができるように、知恵を絞り動きます。が、情報にうとい長岡の武士達は、武士の誇りである刀を捨てさせようとする河井に激怒し、河井の命を狙います。そういう古い武士達に対し、河井は「俺を切りたいなら切ればいい」と逃げない。

 主人公のまっすぐさ、熱情、優秀さ、人間的魅力を、存分に感じつつ読み進めていただけに、無残で非情なその最期に胸が痛みました。彼は、あれ程の努力をしたにも関わらず、戦の最中に苦しみの中で犬死にし、何一つ成し遂げられなかったのです。

 この小説を読んで、私は、結果の出ない努力、というものに、何の価値があるのか、と憂い、とても暗い気持ちになりました。

 でも、桜井さんのブログを読んで、ああ、そうか、と思ったのです。見えるものしか分からない人間は、結果でしか判断できないけれど、神様は結果など見ていないのだ、ということ。神様はその魂の「心根」の部分だけを見ておられるのだ、ということに気づいたのです。

 河井継乃助の魂は、ああいう生き方をしたわけですから、ずいぶんと高次元にまで上がった事でしょう。神様に好かれたことは間違いありません。結果が出せなかったことなど、何の関係もないのです。 神様に好かれたからといって、必ずしも結果が出せるとは限らない、という事なのでしょう。世界は神様が牛耳っているわけではないから。世界は世界として動いていて、神様はその中で、人間を助けようとしてくれる存在だ、ということ。結果を出させる事が助けることだとは限らない場合もある、また、結果を出させる事が不可能な場合もある、ということなのだと思います。

龍が哭(な)く

龍が哭(な)く

 

  

 ピョンチャンオリンピックが終わりました。結果を出せた方々の努力には、胸を打たれます。でも、結果を出せなかった方々が努力が足りなかったのではない、と思うのです。全ての人が努力をした、中で、結果を出せた人もいれば、出せなかった人もいる。それだけの事。結果を出せなかった人の努力を、私は忘れたくないと思います。後世に名前は残せないけれど、その努力は、というか、その人に努力させたその人のその心根は、正しかったのです。価値があったのです。結果が出なかった、報われなかった今、そういう方々がどういう心根で今後生きて行かれるのか、腐らずしっかり前を向いていけるかどうか、そこを神は見ているのだろうなあと思います。

 この世に名前を残すことより、神様に好かれることのほうが、大事ではないかと私は思います。今回のオリンピックで結果を出せなかった全ての人達を、今、神は全力で見守って下さっている、そんな風に感じます。

 今日もあたたかい良いお天気です。 

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