書くしかできない

発達障害の息子、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

みんなに愛されている、という誤解を正した。

 久しぶりに息子の事を書きます。

 勉強のほうは特に問題なく順調に推移し、学年で上位5%に入りました。幼稚園ではほぼ喋れず、小学校のテストは一桁ばかり、中学になって受けた有名どころの入塾テストはことごとく落ちた息子ですが、ここにきて、少しすづ知的な芽が芽吹いてきた感があります。遅咲きにもほどがありますが。。と同時に、得意と苦手がますますハッキリ見えてきました。

 国語が苦手なのは以前から書いていますが、得意であったはずの数学も、数A数Bは駄目だな、という事が分かってきました。図形や確率、証明が苦手です。頑張っても平均点、という感じ。逆に、意外と英語ができる、という事も分かってきました。同じ文系分野なのですが、国語が平均取れないのに対し、英語は放っておいても高得点になります。やはり暗記モノに強いんだなーと思います。しかし、一番得意なのは理科系三教科、特に化学が得意なようです。こんがらかった化学式をスイスイ~と計算していくので、唖然とします。

 数学ができる子だと思っていたのに意外と駄目だと分かって、三年で、数Ⅲを取るか取らないか、悩みました。息子が受けようと思っている大学の受験科目には数Ⅲが無いのです。それと、数Ⅲの難しさに息子が対応できるか不安に思ったからです。数Ⅲをやった人に聞くと、「数Ⅰ数Ⅱは算数、数Ⅲは数学」というくらい、難しさの次元が違うそうで。パスする事に決めました。高校で勉強しないとなれば、一生数Ⅲは勉強しない事になりますが、別にいいだろう、という結論です。

 まあ、こんな感じで、勉強についてはどんどん成長を見せてくれている息子なのですが、精神面ではまだまだ幼く、時々テコ入れが必要になる事があります。息子は、基本的にとても自己中なのです。優しい子なのですが、他人の気持ちが理解できないので、他人の苦しみにも無頓着なのです。他人が泣いていても苦しんでいても、可哀想だと感じない。それをする事によって他人が苦しむ事になっても、自分が満足できる結果になるなら、やるのです。彼はそこに罪悪感を感じないのです。

 息子は、自分から他人を苛めたり苦しめたりは絶対にしませんが(そこまで他人に興味がないし関わっていかない)、自分と他人の利害関係がバッティングした時は自分の利を取る、と躊躇なく考えます。それがどうして悪いのか、彼には理解できないのです。相手に「気持ち」がある、「心」がある、という事が、分からないのです。自分に「気持ち」がある事は分かっても、相手に「気持ち」がある、事は分からない。

 先日、あまりにも自己中心的な彼の考え方に、「自分さえ良ければ、他人が困ってもいい、というのでは、人の中で生きていけないよ。全ての人に愛される必要はないけれど、誰からも愛されないでは生きていけないよ」と言って聞かせました。

 息子は「僕、今でもみんなから愛されてるやん。自己中でも愛されてるやん。だからこのままでいいやん」と言います。確かに、私を含め周囲の大人は息子を甘やかしていますし、辛い目に合わないように気を配り、支援しています。息子は辛い目に遭った事がないので、今のままの自分で大丈夫、変わる必要はない、と思っているのです。

 ここは、厳しい現実を伝えなければいけない、と思いました。

 私は息子に「あなたは誰から愛されていると思っているの?」と聞きました。息子は「先生とか、お婆ちゃんとか、おばちゃんとか、従妹の〇〇ちゃんとか、△△ちゃんとか」と答えました。

 「先生は、先生だから、お仕事としてあなたを助けてくれているだけ。お婆ちゃんやおばちゃんは、身内だから優しくしてくれているだけ。従妹達は、別に何もしてくれてないじゃない。あなたから「会いたい」と言えば会ってくれるけど、向こうから「会いたい」と言ってくれた事は一度もないでしょう。従妹だから義理で会ってくれているだけだよ。愛されているわけじゃない。あなたがまだ子供だから、自己中でも大目に見てもらえていて、みんな助けてくれているだけで、愛されているわけじゃないんだよ。子供だから助けてくれているんだよ。あなたがそのまま自己中のままで大人になったら、大人を助ける義理はないから、今まで助けてくれていた人もみんな、あなたから離れていくよ。そうなってからでは遅い。今のうちから、相手にも「気持ち」がある、とう事を、考えるようにしなきゃ駄目だよ。普通の人なら自然に分かる事だけど、あなたは発達障害だから、自然にしてたんでは気づけない。相手にも気持ちがある、という事を、意識して考える努力をしなきゃ駄目だよ」

 厳しい現実ですが、ここまでハッキリ言わないと、彼は納得しないのです。「みんなが優しくしてくれているから、自分は変わる必要はない、今のままで良い」という思い込みが、間違っている事を理屈で説明しなければ、彼は納得しないのです。

 今までずっと、「僕はみんなに愛されている」ということを、彼が無意識に感じられるように育ててきました。世の中の人はみんな優しい、人生は楽しい、世界は面白い、そういう世界観を彼が育めるように育ててきました。なので息子はとても穏やかでポジティブな人間に育っています。ですが、発達障害児なので、「ほどほど」とか「常識」というのが分かりません。世の中の人はみんな優しいなら、自分は自己中で構わない、と短絡的に思い込んでいて、それを覆す事は困難でした。それで、今回、ありのままの現実を、彼に突き付けてみたのです。

 「自分はみんなに愛されているわけではない」という現実を、息子はどう受け止めたのか。彼の態度や表情では、心中は伺い知れませんが、自己中だった言動のうちのいくつかは、その日のうちに改まりました。本人が、納得した、得心した、という事だと思います。今後は、彼が落ち込み過ぎないように、丁寧にフォローしていきたいと思います。

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