書くしかできない

発達障害の息子、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

「駒姫」竹内涼

 最近、時代小説や歴史小説を読むようになりました。以前は全く面白さが分からなかったのですが、年のせいでしょうか、読みたいなあと思うのです。今回は、歴史小説「駒姫」を読んでみました。

 基本的には、史実に沿った内容ですが、細部の味付けに作者の書き込みが成されている為、普通の小説と同じ感覚で読めました。そして、最後は号泣です。久しぶりに本を読んで泣きました。

 時代は安土桃山。最上義光の娘である駒姫は、東国一の美少女に育ち、15歳で秀吉の甥、秀次の側室になります。といっても、駒姫が秀次のもとに着くのと入れ違いに、秀次は秀吉によって呼び出され、謀反の疑いをかけられて自害させられます。何故そんな事になったのかと言えば、秀頼が生まれたからで、秀吉は、我が子の敵になりそうな人間を、ことごとく殺していったからです。そして、39人にもなる秀次の子供達と側室達もまた、処刑される事になります。その中に、嫁いだばかりの駒姫もいるのです。

 忠臣に篤い最上家家臣達は、姫君を救い出す事ができるでしょうか。いたいけな駒姫の描写が、何よりも光る小説だと思いました。

 歴史小説の良さというのは、小説世界が現在でもみることができるからだと感じます。庄内平野の肥沃さは、駒姫のたぐいまれなる賢さ美しさを偲ばせますし、今まで何気なく訪れていた京都・三条河原町は、秀次の幼い子供達と若い側室達の、処刑場であったと初めて知りました。

 私が大好きな桜井識子さんによれば、現在、秀吉さんの霊は京都の豊国廟にいるそうです。生前、あまりにも多くの残虐な行いをしてしまったが為に、まだ成仏できていないそうなのです。ただ、秀吉さんは、悪い行いも多々しましたが、一方で、情け深い行いも多くした為、地獄に落ちる事はなかったようです。かといって成仏して次のステップに進む事ができず、この世とあの世の間に宙ぶらりん状態なのだそうで、ずっと豊臣廟でたった一人孤独にいるのだそうです。桜井さんは、秀吉さんはとても反省し生前の自分の行いを深く後悔しているが、誰にもどうする事もできない。彼の霊は未来永劫、ずっと永遠に、豊臣廟に留まるしかない、と書いておられました。ただ、その本が出た後、桜井さんの読者の方々が沢山豊臣廟に行き、秀吉さんの霊を慰めた為、今、秀吉さんの霊は、少し良い方向に進んでいるそうで、もしかしたら、遠い未来のいつか、無事に成仏できるかもしれない、その可能性も少しだけ出て来た、と桜井さんは新しい著書に書かれていました。

 ちなみに、信長さんはあまりにも残虐過ぎた為、地獄の入り口で苦しんでいるそうです。こちらは本当にも、誰にも助けられないのだそうです。

 話がそれましたが、、。この「駒姫」を読むと、罪もなく処刑された沢山の人達の悲しみに胸をふさがれ、またそれだけ、秀吉さんの残虐さに怒りを覚えるわけですが、その秀吉さんの霊が、まだこの世とあの世の間で、先の事が分からず一人孤独にとどまっている、という事に、何とも言えない哀れを感じます。

 

駒姫: 三条河原異聞

駒姫: 三条河原異聞