書くしかできない

子供、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

発達障害療育NPOの先生と、10年ぶりにお話しした件。

 神社巡りを書いていてすっかり忘れてしまっていましたが、9月第一週に、子供が幼稚園の3年間通っていた、発達障害児専門の療育機関(NPO)の先生と、お茶しました。今日はその事を書きます。

 そもそもは、最近息子が、その先生の事を思い出して、NPOまで会いに行った事がきっかけでした。幼稚園当時の息子は、一言も話しができなかったし、とても内気で人みしりで、こだわりと癇癪が強く、小学校入学は無理、と言われていました。今の高校生の息子(結構おしゃべり、そこそこ外交的、そして超素直)の姿と当時とのギャップに、先生は驚かれ、「お母さんと会って話したい」と言われたのです。

 それで、先日、お会いしたんですね。大筋では、私がどんな風に子育てしてきたか、という事をお話ししました。先生がすごく突っ込んで聞いて来られたのは、「学校に対して、障害をカミングアウトしてきたか、どうか」でした。

 特に、「高校受験の際に、予め高校に対して、障害がある事を伝えたかどうか」について、かなりシビアに聞いてこられました。いつ、どういう手段で、どのような言い方で、と。

 ウチの場合は、高校受験が受かった直後に、入学金を収める連絡が高校から来たのですが、その時に文書で伝えました。もし、障害児お断りなら、せっかく受かった高校でしたが、入学は諦めるしかない、と思っていたからです。大阪の私立高校はすべて受験日が同じなので、断られたらもう他の私立を受ける事はできません。公立に行くしかないと腹をくくっていました。結果的には受け入れてもらえたので良かったですが。

 先生いわく、「学校に通り一遍の支援ではなく、発達障害児として特別な支援を求めるのであれば、発達障害児だと伝えないといけない、でもそれをしない(できない)親御さんが多く、それが子供を苦しめる事になっていると思う」との事でした。

 「なぜ、学校に、子供の障害を伝えない親御さんが多いのですか?」と聞いたら、先生は、「親御さん自身が、子供の障害を認められていないからだと思います。親自身が我が子が障害児だと受け止められていない為に、それを学校に伝える事に抵抗を覚えるのだと思います。学校に伝えてしまったら、我が子が障害児だという事が「事実現実」になってしまい、心の逃げ場がなくなるのだと思いますね」と仰っていました。

 なるほどと思いました。

 また、これは私の意見ですが、「学校に伝える事で、差別を受けたり、見下されたりするのが怖い、と考える親御さんもおられるのではないでしょうか。障害をカミングアウトするのは、リスクを伴いますから、そのリスクに耐えきれない人もいると思います。親御さんご自身が、もともと、少し不安症のような傾向をお持ちだと、子供の障害を他人に伝えるリスクに怯えて身動きとれなくなってしまう、という事もあるように思います。何も言わなくても、誰かが何とかしてくれる、とか、時間が解決してくれる、とか、子供の障害が治るとか(実際は障害は治りませんが)、希望的観測に頼ってしまうのではないでしょうか」と言いましたところ、先生も、それもある、と仰っていました。

 私の子供が、障害の重さから考えると、信じられないほどうまく学校という社会で生きていられるのは、幼稚園の頃からずっと障害を伝え、彼の特性と必要な支援を伝えて来たからだと先生はお考えのようでした。

 「もちろん、ご家庭で適切に対応し、一生懸命育ててこられたから、というのも大きいと思いますが、学校で過ごす長い時間が子供に与える影響もまた、とても大きいのです」と先生は仰っていました。

 学校に障害を伝えるかどうか、伝えるべきだと思うけれども、伝えたくない、という親御さんのお気持ちも、私は分かる気がしますし、難しい問題だなあと思いました。

 先生とは他にも沢山の事をお話ししました。その中で、息子が通っていた当時のメンバーと、息子を含め、同窓会のような事をしたいね、というお話も出ました。以前にも書きましたが、息子はそのNPOの発足時の最初の生徒(たった4人)で、3年間、週に1回通っていたんですね。週一で3年間会っていた子供達なので、私も、今だに全員のフルネームが言えるし、顔も浮かぶし、性格やなんかも全部覚えています。みんな一生懸命成長し、高校生になっているそうです(一人だけ、結局発語が出ず、支援学校に進まれたそうです)。今会えたら、息子もとても喜ぶだろうなと思いました。

 また私が、子供の手が離れたら、発達障害時専門の家庭教師をしたいと思っている、とお話ししましたら、それは良いですね、と言って頂きました。その上で、「発達障害児の家庭教師、ではなく、そのお母さんに対する家庭教師をされてもいいかもしれません。今の発達障害児のお母さんは、皆さん、とても一生懸命お子さんに勉強を教えておられます。でも、教え方が分からなかったり、成果が上がらなかったりで、皆さん苦戦されています。障害特性に合わせた教え方の手順やコツを、子供にではなく親に教えてあげるのも良いと思いますよ」と言われました。なるほど~、です。

 沢山お話しでき、別れ際には、またすぐに会いましょうね、とお約束しました。とても素敵な先生で、息子が結んでくれた縁に感謝しました。