書くしかできない

子供、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

初めてバイアス

 私は何かを初めて行う時、勝手が分からず要領も悪くなり、思うように出来ない事が多い。

 例えば、初めてその土地に旅行に行く時、土地勘が無い為に無駄が多くなり、後で「あそこも回れば良かった」とか、「あそこで時間を使うのではなく、あそこで時間を使えば良かった」とか、「後で知った裏情報をもっと早く知っていたらもっと楽しめたのに」等々、色々悔やむ事が多い。そこで、二度目はもっと要領良く過ごせるからもっともっと楽しめる筈、と思い、再度その土地に旅行に行く。ところが、私の場合、どんなに要領よく過ごせても、初めて行った時ほどは、楽しめないのだ。新鮮さが薄れてしまって、驚きが減ってしまって、悦びが減じてしまって。

 「どんなに要領が悪くても、初めてそれを行う時が、一番それを楽しめる」これを私は勝手に、「初めてバイアス」と呼んでいる。

 輪廻転生、という言葉があるが、もしかしたら私の魂は、何度も生まれ変わっているのかもしれない。だが、今この生は、私にとっては初めての生で、過去生の記憶は全くない。だから勝手が分からず要領も悪く、思うように出来ない事が多々ある。「あの時、ああすれば良かった」とか、「あの情報をもっと早く知っていれば良かったのに」とか、悔やむ事も多々ある。だが、では、もう一度、全ての記憶を保持した上で、同じこの生を最初から生き直せたとしたら、私は人生を楽しめるだろうか。新鮮な驚きも悦びも、味わえないのではないか。

 この人生が新鮮であるという事を、初めてであるという事を、不安や後悔にするのではなく、喜びに変えてもいいのかもしれない、とふと思った。