書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

「熊と踊れ」A・ルースルンド&S・トゥンベリ

 スウェーデン人のミステリ作家、A・ルースルンド&S・トゥンベリ。過去の作品「制裁」も面白かったし、「3秒間の死角」は今まで読んだミステリーの中でも最高だと思ったものだが、新作「熊と踊れ」は、これはもう、過去の作品の何倍も面白い。怖いぐらい面白かった。

 内容は、17歳から20歳前半の3兄弟が立て続けに銀行強盗をする、という、それだけ聞けばなんという事もない話だ。だが、3つの銀行を同時に襲う、9回立て続けに成功する、そして、3兄弟の生い立ち、3兄弟を捜査する側の刑事の過去、今という時代に必然的に生成される人格と人生模様が絡まってくると、ありふれていたはずの銀行強盗話が、重みと息苦しさ、厚みと恐ろしさを持って迫ってくる。驚くばかりに面白い。分厚い上下二巻だが、読み止める事ができなくて一気読みした。日本のミステリー小説で、こういうものはあまり読めない。重厚でシンプルで複雑で嘘のない、正味の真実味のある世界。人情味とか書いて読者におもねる部分が一切ない。

 北欧小説だけに、独特の暗さはあるので、それが苦手ではない人なら、必ず楽しめる本だと思う。面白い本が読みたい、という人、時間を忘れて没頭できる本が読みたい、という人には、この作家ぜひおすすめしたい。「熊と踊れ」「3秒間の死角」は特におすすめ。

 

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