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書くしかできない

子供、夫、私。過ぎていく日々を書き留めています

「なぜ、『怒る』のをやめられないのか」片田珠美さん

読書記録

サッカーの前園さんがやっている事でちょっと有名になった「アンガーマネージメント」をはじめとして、「怒り」をコントロールする、もしくは「怒らないようにする」テクニックが、流行っている。

しかしながらこの本は逆に、「怒りをコントロールしてしまう弊害」について書いてあり、とても興味深かった。

正確には、「怒りをなかった事にしてしまう」事の弊害について、書いてある。

端的に言えば、「怒り」は一旦湧き起こったら、出してしまわないと消えないらしい。

(著者《阪大卒の精神科医》によると)

しかしながら、「怒り」をそのまま出してしまうと人間関係が崩れる。

それで、多くの日本人がやりがちなのが、「受動的攻撃」というヤツらしい。

「受動的攻撃」とは、こそこそと怒りを表現する方法。一見自分を責めているように見せて、実は他人を責める。他人に必要なこと、助けになるようなことを「忘れる」「しない」「ぐずぐずする」。不愉快な感情を他人に投げ入れる。黙る。相手の欲望を満足させない。あえて共感せず正論を吐く。相手の意義を認めない。やる・やらないの間で揺らぐ。やきもきさせる。等々。

人は、以上のような受動的攻撃手法を駆使し、怒りを見えない形で放出した後、自己正当化をする為に延々と話し続けるそうだ。まかり間違っても、「怒り」のような忌まわしい感情が、自分自身の内部にある事を受け入れず、「自分は怒りなんか抱かない寛大な人間だ」と思い込む為に。

中には、怒りを他者に投影し、「私はあたなに対して怒っている」が逆転して、「あなたが私に対して怒っている」になる人もいる。この逆転によって、「あなたが怒っているから、私はあなたに敵意を感じるのだし、怒りたい気持ちにもなるのだ」というふうに、自己正当化のすりかえが可能になる。また、このタイプの人によくあるのが、自分自身内部の敵意の存在を認めず、それを過去の誰か(親の育て方とか)や社会全体ののせいにするパターンだそう。

受動的攻撃は、連鎖反応を引き起こす。誰が何に対してどうして怒っているのかが全く見えないままに、不愉快な感情だけが行き来し、問題は解決しない上に、受けた側はひどくダメージを被り、場合によっては精神科に通う事になる人も多い。

ちなみに、受動的攻撃を受けない方法は、普段からモノゴトをうやむやにせずハッキリ言う傾向を見せておくこと、人に譲歩しがちだと思われたり、優しくて問題回避型だと思われる人は、受動攻撃のターゲットにされやすいそう。

 

考えてみると、私自身が、誰かに対して受動的攻撃をした記憶もあり、またされた記憶もある。「怒り」を出しては駄目だと思っているせいだ、と言われたら、そういう気もする。

著者は本書の最後に、適切な「怒り」の出し方マニュアルを書いてくれていて、これはかなり役に立ちそう。