書くしかできない

発達障害、神社仏閣、読書記録、日々のつぶやきを主に書いています。

歯磨きしなくても虫歯にならない。

 人から聞いて拝読し、「う~ん」と考えてしまったブログ記事があるので、今日はそれについて書きます。かなり長文になってしまいました。ネガティブな内容なので、リンクはやめておきます。

 その記事の主張は、こういうものでした。

「小さい子供で、親に歯を磨かれるのを泣いて嫌がる場合、歯磨きしてはいけない。そもそも、歯磨きしなくても虫歯にはならないし、むしろ、無理やり歯磨きしたほうが虫歯になる。子供を泣かせてまで歯磨きしてはいけない」

 という内容。

 このブロガーさんは、4歳の発達障害児のお母さんで、主婦の方々を対象にしたカウンセラーさんをしておられます。セミナー等も開いておられるようです。

 そのブログには、「そうなんですね、無理に磨かせなくてもいいんですね、安心しました」という母親達からのコメントが多数入っていました。

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 乳幼児の歯磨きは、してあげないと虫歯になる、というのは、常識ですから、この方は、その常識の逆をあえて主張しておられるわけです。カウンセラーとしての知名度を上げる為の炎上目的でないのなら(その可能性もゼロではありませんが)、本気でそう思っておられるのでしょうか。この方が勝手に思うのは自由ですが、まだお子さんは4歳。歯磨きしてやらなくても虫歯にならなかった、とご自身の経験として証明できたわけでもありません。それなのに、何故他人に向かって、「歯磨きしなくていい」と自信を持って推奨なされるのか、不思議でなりません。

 そもそも「歯磨きすると虫歯になるが、歯磨きしないと虫歯にはならない」という確かな説は、存在しません。

 そもそも、江戸時代までは誰も歯磨きなどしていませんでした。竹か何かを割いたもので、口の掃除をするのがせいぜいで。なので、大人はたいてい虫歯持ちで、30歳40歳になると、口の中は黒い虫歯だらけ、が普通。それを隠す為にお歯黒の習慣があったわけですから。いずれにしても当時の平均寿命は40歳ですから、40で歯が抜け落ちてもさして問題にはならなかったのです。それが、歯磨きをする習慣ができて、大人になっても虫歯のない人が出てきたわけです。

 古典を読むと、虫歯が痛い、虫歯で歯が抜けた、という表現が時々出て来ますが、その時代、誰も歯磨きなどしていなかったわけです。「歯磨きしなくても虫歯にならない」という説が事実なら、何故過去の日本人は虫歯になったのでしょうか。

 また、「イヤイヤ歯磨きさせると虫歯になる」説についてですが。私は息子が小さい頃は、歯磨きをしてやりました。感覚が過敏な発達障害児ですから、当然、狂ったように泣き叫んで抵抗されましたし、そもそも口を開いてくれませんでした。だから、体を抑えこんで、上の歯と下の歯の間に割り箸を挟んで口が閉じないようにして、隙間に歯ブラシを差しこんで磨いていました。ものすごい手間と忍耐でした。正直、しんどかったです。今、高校生の息子には、虫歯は一本もありません。「イヤイヤ歯磨きさせると虫歯になる」説が事実なら、何故息子には虫歯がないのでしょうか。これもツジツマが合いません。

 今時の小学生は、全く虫歯のない子供達と、虫歯だらけの子供達に、二極化されています。前者が「歯磨きしない派」で、後者が「歯磨きする派」なのでしょうか。とてもそうは思えません。多少の個人的体質的例外はあるでしょうが、それを省けば、基本的には、前者が「歯磨きする派」で、後者が「歯磨きしない派」である事は、間違いありません。勿論、平常心で磨けるのが一番良いわけですが、イヤイヤでも、磨かないよりは磨いたほうが良いのです。

 私は頑張ったんだよ、という自慢が書きたいわけではありません。発達障害児でも工夫すれば歯磨きをしてやれる、という事が書きたかったのと、あとは、こうやって泣かせてまでも磨いた結果、今虫歯がない事について、息子は喜んでいるという事を、書きたかったのです。息子に聞いたところ、

 「小さい頃に磨いてくれて良かった。歯磨きが嫌で泣いたことや抵抗した事は全く覚えていない。今虫歯がないことがとても嬉しい」とハッキリ答えました(発達障害児ですので嘘は言えません)。

 息子は歯医者さんが大の苦手です。抜けない乳歯があった時に一度行っただけですが、その時は大変でした。この年まで虫歯が一本もないという事はもう、息子は一生虫歯にはならないでしょうから、歯医者とも無縁で生きられると思います。泣かせても磨いてやった事が良かったと思っています。

 虫歯は、3~4歳ぐらいまではできないようです。歯磨きを怠っていて虫歯になってしまうのは、私の見聞きした感じでは5~6歳の、乳歯から永久歯へ生え変わる直前が多いようです。なので、一番歯磨きさせるのが大変な3歳ぐらいまでに歯磨きさせなかった「ツケ」は、6歳頃に時差をおいてやってくる。乳歯が虫歯になってしまうと、その後に生えてくる永久歯も虫歯になりやすく、また歯並びも狂います。

 なので、上のブロガーさんの主張は、私としては頷きずらいところがあります。確かに、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中に虫歯菌はいません。虫歯菌がいなければ、歯磨きしなくても虫歯にはなりません。でも、幼子が成長していく中で、誰かの使った箸やスプーンをそのまま使う、というケースは多々あり、そこで他者の口内の虫歯菌を口に入れてしまいます。一旦虫歯菌が入ってしまえば、あとは虫歯菌の餌が口内にあれば虫歯になります。また、ストレスがたまって口内が酸性になると虫歯になりやすい、というのはありますから、イヤイヤ歯磨きする事でストレスがたまって口内が酸性になる可能性はありますが、たとえ口内が酸性になっても、虫歯菌の餌である食べ残しが歯磨きによって除去しておけば、虫歯にはなりません。

 それでも、このブロガーさんが「私は子供をこう育てたい」という意志でやっておられる事だから、私がとやかく言う筋合いではありませんし、この方に対して、何かを言っていこうとは思いません。私は、ただ、この方のブログを拝読して、私の中で「う~ん」と考えてしまった私自身の考えを、ここにまとめたかっただけなのです。

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 あともう一つ。

「私は、子供を泣かせてまで、歯磨きさせたいとは思いません」

 というこのブロガーさんの記述には、何かしらスッキリしないものを感じました。この方が、お子さんの歯磨きをしてやらないのは、「お子さんを泣かせたくないから」ではないと思います。というのもこの方のブログを拝読すると、親が自由にやりたい事をやる、というのを主義としておられるからです。子供が泣こうが困ろうが、そんな事を気にしていては駄目。親はやりたい事をやるべき、と。例えば、子供が泣いて来て欲しがっても、参観日には行かず自分の用事で出かけるほうを優先する、とか。

 であれば、歯磨きに関してのみ、「子供を泣かせたくないから」という理由を挙げるのは、嘘だろうと思うのです。本当は、「泣いて嫌がる子供の歯磨きは、面倒だからしたくない」、これに尽きるのではないでしょうか。お子さんが、「ママ、歯磨きして」と自ら喜んで口を開いてくれるのなら、当然歯磨きしてあげるでしょうから。

 「私は、嫌がる子供に無理やり歯磨きさせるのが面倒だから、歯磨きしてやりません。歯磨きしなくても虫歯にならないといいなあと思います」

というのが、実際ではないでしょうか。

 完璧な親でいる事は無理です。でも、自分が子育てに対して手抜きをする時、その理由を正当化してはいけないと思います。

 子育てに手抜きは、して良いと私は思います。でも、手抜きをするその理由を、自分できちんと自覚しておく必要があると思います。「面倒くさいから」「しんどいから」「子供がかわいく思えないから」「子供より自分のほうが大事だから」などきちんと自覚していれば、手抜きがエスカレートする危険はありませんが、

 「子供を泣かせたくないから」等の、いかにも愛情あふれる親心にすりかえてしまうと、手抜きは際限なくできてしまいます。止まりません。それが、私は、怖いと思います。

 私も先日、おひるごはんは冷凍パスタ専門だ、と書いたのですが、「子供が喜ぶから」等とすり替えてはいけないわけです。「冷凍パスタは私がラクだから」なのですね。そこを分かっていないといけない、と改めて自分に言い聞かせました。

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 その方のブログを拝読して、他にも「う~ん」と思った事があったので、私自身が考えたいので、次回の記事に書きたいと思います。次回も長文になると思います。